2011-01-01(Sat)

今日は、私が卒業した蜆塚中学校へ行ってきました。そこでこの写真を撮って「蜆広会」のメンバーへあけおめ・メールをしました。
また、年末年始の休日を利用して、本を読んでいます。藪中三十二「国家の命運」(新潮社)、岸宣仁「財務官僚の出世と人事」(文芸春秋)、そして細谷雄一「倫理的な戦争」(慶応大学出版会)です。
藪中前次官は、著書の第4章「外交交渉の要諦」の中で六つの点を挙げていますが、その筆頭に「敵を知り、己を知る」ことを挙げておられます。私のこの孫子の言葉をもじって、人事をやる上では「職を知り、人を知らば百戦危うからず」(2008/08/24)と言いました。「敵を知り、己を知る」のは勝つためではなく、負けないための基本です。
岸宣仁氏の「財務官僚の出世と人事」の第6章「入省成績と出世の相関関係」では、「主計にあらずんば人にあらず」という財務省において、主計から異動した途端にやる気を失っていく職員が多いことに触れ、そうした方々の処遇に問題があることを指摘しています。地方自治体でも同じようなことが言われています。どこの組織にもエリートコースというものがあり、地方自治体では「人事」「財政」「企画」といった管理部門の部署がそれに当たります。終身雇用制の役所では、こうした人事のコースは、キャリア形成と密接な関係があり、それが職員のモチベーションを維持していく上で非常に重要な位置を占めています。中には「管理部門と現場」との関係を卑屈で屈折した見方をする人もいますが、人事という組織の大局をこのような軽率な一般化の下に捉えることは適当ではありません。
また、キャリア形成が単線型の出世主義的なものだけでなく、複線型にしていくことも人事の課題です。財務省のように次官の椅子を求めてほとんどの職員ががんばるというシステムも人事管理をする上では楽でしょうが、地方自治体には、もっと多様なキャリア形成が求められています。
終身雇用制の中では、組織内での職務経歴がキャリア形成に大きな意味を持つことは当然です。事務次官という一つの椅子に対しては、一定のコースのようなものができるのは仕方のないことです。しかし、椅子は一つである必要はありません。従来の単線型キャリア形成は、人事管理をする上で非常に楽ですが、人材の有効活用と高齢化していく組織の活性化のためにも、複線型人事制度の構築など人事屋にとって喫緊の課題を避けて通ることはできません。
それから、細谷雄一先生の著書は、どれを取ってもおもしろく読めます。「倫理的な戦争」も例外ではありません。トニー・ブレアが自分の理念に基づく政策を国内と国際社会の中で合意形成して実現していく、というスケールの大きな話の検証をした本です。
政治家には、この「理念」が求められると思います。公務員には、どのような理念が求められるのでしょうか。