2010-01-03(Sun)

つるの剛士さん:「2カ月間育休とります」 1男3女の父大いに語る
2010/1/2 9時30分配信 毎日新聞
(写真撮影は小林努氏)
「みなさん、明けましておめでとうございます。僕は今日から2カ月間、育休をいただきます」
1月1日から、念願だった育児休業に入ったタレント、つるの剛士さん(34)。元日に贈るメッセージを、晴れやかな笑顔で宣言してみせた。
1月1日から、念願だった育児休業に入ったタレント、つるの剛士さん(34)。元日に贈るメッセージを、晴れやかな笑顔で宣言してみせた。
つるのさんは、2009年8月5日、都内で行われた映画「ナイトミュージアム2」のジャパンプレミアの席上で2010年1月から2カ月間、育児休暇を取ると発表していました。浮き沈みの激しい芸能界で、2カ月間、視聴者の目に触れないでいるリスクは小さくはないでしょう。非常に勇気のいる決断であったと思います。
芸能人の産休というと、安室奈美恵さんも1998年に1年取りました。その年の1月にベストアルバム『181920』をリリースして、5月に長男を出産、12月にはシングル「I HAVE NEVER SEEN」でカムバックしました。その年のNHK紅白歌合戦に出場し、約1年ぶりに公の前に姿を現したときは、私も少し感動しました。その時歌った歌は「CAN YOU CELEBRATE?」だったですが、正に復帰をお祝いしたい気分でした。
芸能人の場合は、その世界ではオンリーワンの存在ですから、その価値が求められる限り、仕事を休んでも問題ないのかもしれません。産休の期間がどれくらいまでならば、自分の価値がオーディエンスから求め続けられるかという読みが必要なのだろうと思います。芸能人の産休については、それを取るか取らないか、また、産休を取るのであれば、どれくらいの期間ならば自分の商品価値が持続できるか、復帰の際に打つ手は何かなどと戦略的に考える必要があるでしょう。
会社組織の場合、一人ひとりの職員が、その組織の中でオンリーワンの存在であることは求められていませんし、欠員に対する代替が利くようにフォローするのが組織の機能でもあります。そういう意味では、我々組織人は芸能人より遥かに育児休業が取得しやすいはずで、すべての職員に制度的保障がされており、育児のために身分を失うことはありません。
私はワークライフバランス(WLB)は人事戦略であると考えています。しかし、この欧米発祥の思想が、日本に馴染むものなのかという疑問はあります。なぜなら、欧米は日本のように過労死があったり、サービス残業があったり、残業が恒常化しているような社会ではありません。また、男女の性別による社会的な役割分担や、組織内でのそれについても、日本よりは意識的に先進的なはずです。そのような社会に暮らすそのような意識の欧米人たちが言うところのWLBと、我々が認識しているものとでは、自ずと違いがあるのではないでしょうか。WLBという用語を用いるまでもなく、仕事中毒ぶりが国際的にも有名になり、褒め言葉のはずであったエコノミックアニマルが揶揄的に用いられ、否定的に捉えられるようになった当時から、職業生活と私生活の調和の取れた生活の探求は、心豊かな人生を送るため、日本人に必要な思想ではなかったのか、という問題意識が私にはあります。
組織は、WLBの支援に戦略的に取り組まなければいけません。そうでなければ、WLBも日本式経営の強みの源泉として欧米から賞賛された終身雇用制が、組織に大きな負の効果をもたらしてきたことの二の舞になりかねません。それでは、何を切り口にしてWLBに取り組むかと言えば、それは組織が職員の「多様性」を「制度」としてではなく、「風土」として受容することであろうと考えます。