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2020/09
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庁内分権と組織設計 2
 庁内分権は、組織設計の面において、意思決定の速さとその質の高さを求めたものだといえます。
 しかし、経営学の歴史を読んでいると、役所で言われている庁内分権は、非常に古い問題の延長ではないか、と思うことがあります。つまり、役所では、一般的に管理部門と事業部門が分離して、時として対立関係にあります。このような関係は古くは、フレデリック・テイラー科学的管理法が招いた弊害だとして批判がされました。テイラーの理論は20世紀初頭の話です。それがまだ役所組織では解決されていない、というのは不思議な話です。

 さて、管理部門と事業部門の分離により、意思決定を管理部門が行うことの弊害が指摘されます。具体的には、先に挙げた「意思決定の速さとその質の高さ」の逆で「意思決定の遅さとその質の低さ」です。庁内分権が言われるとき、こうした合理的な理由のほか、事業部門の職員のモチベーションの低下にも配慮されているのではないか、という感触があります。

 確かに、働く職員は機械ではなく、血の通った人間です。効率ばかりを考えても納得のいかないこともあるものです。牧瀬稔氏の指摘「分権の前に集権」は、このようなヒューマニズムで組織設計をすると失敗する、ということではないかと考えています。その組織に見合った人材が育成されていないと、理想の組織をデザインしても機能しない。組織設計の理想形はさまざまであり、構成員である職員の資質も組織デザインをする際に配慮すべき要素である、ということです。他の組織のベストプラクティスの真似は競争優位を与えないために採られる戦術ですが、同一の施策が他の組織で同じ効果を生むとは限りません。(コンティンジェンシー理論)牧瀬氏の見解は、組織設計を人事の面から見ると、分権化を行う場合には、権限を行使する人材が下位の職員層にいるのかということと、その職員が権限に伴う責任を負う用意があるかという見極めが重要だということです。

 今後、職員の高齢化が進む結果、勤務年数が長く、経験豊富な職員層が増えることになります。そうした職員層が厚く構成される場合には、管理者の負担は減ると仮定すれば、フラットな組織は、将来的に有用な組織デザインである可能性があります。ピラミッド型で上意下達式の組織でポストに就けないよりも、ベテラン職員にとってフラット組織での分権は、モチベーションの維持がしやすいといえるかもしれません。

 思えば、学生時代、クラブでいろいろな活動に取り組み、また学生寮で共同生活を送る上では、分業と調整というルールがありました。そのルールは、問題が起こったり、誰かの発想があったことをキッカケにみんなで話し合い、時にはチョットずつ、時には抜本的に修正を加えたものでした。学生時代の生活は、イベントがあるたびに話し合いを行い、目標やルールを決め、そして、そのルールの修正を行う繰り返しでした。このような話し合いをするときは、責任追求よりも原因追求にみんなのベクトルが向いていたのを思い出します。あの時代、みんなのベクトルを一定方向に向けさせた力は一体なんだったのでしょうか。

(参考)
野中郁次郎「私と経営学-コンティンジェンシー理論」(PDF)

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庁内分権と組織設計
 私の専門である人事からは少し外れますが、「組織設計」について考えてみました。
市役所は行政サービスを提供するための「組織」です。この組織をどのように組み立てたら、限られた人的資源や予算を効率的に活用できるか、という問題意識があるからです。

 一人でできることには限界がありますから人は組織で仕事をします。したがって、まず行政サービスを分業することから組織設計が始まると考えて良いでしょう。分業するとはいえ、本来は行政という一つの仕事であることを考えれば、当然、分業された役割分担間の調整や情報伝達の流れを決める必要があります。また、組織の中で働く人たちの仕事の進め方のルールを決めておく必要があります。以上のうち、最後に指摘した仕事の進め方のルールは、処務規程等により詳細が決められています。本市は5市町村の対等合併によりできたものなので、このルールの調整には手間取るかと思っていましたが、役所間で大した違いはなかったようです。

 分業については、本市の場合、まず「部」が最大規模の単位で、次いで「課」、そして「係」となっています。「課」に準じた単位として「室」があります。室は、課の中にあり、将来的に事業が本格化した場合に独立した課となります。また、課とは独立した室というのもありますが、この位置づけは不明確です。出納室のように、市長部局から独立した組織が室の名で呼ばれた名残のような感じもします。
 組織設計は、こうした分業単位の段階分けと各単位の役割分担、そして分業単位の調整機能の設計と言えるでしょう。

 庁内分権が盛んに言われ、予算編成や人事権について「部局別枠配分」を行う自治体が多いようです。予算権や人事権を持った管理部門は「現場(市民の求めるもの)を知らない」ということで、こうした権限委譲が行われてきました。しかし、各部局の予算や人事をやりくりするために各部局に置かれた「総務課」の職員は、従来の人事課や財政課の職員と同じように部局内の職員に嫌われる存在となった、という笑うに笑えない結果になっているところもあるそうです。

 予算について枠配分を行った自治体では、「最初に配当される枠自体が小さ過ぎる」という批判が各部局から出されたそうです。このような発想では、従来の予算配分方法と何ら変わりはありません。また、人事に関して庁内分権を進めたところでは、優秀な人材の部局内への囲い込みが起こり、他部局から非難の声が上がるものの、部局同士の間では調整ができず、結局、どの部局でも欲しいと言われる優秀な人材の各部局への配分は、人事課が強制的に行う必要が生じ、人事課は分権後も従来どおり批判されていると言います。これも笑うに笑えません。

 現状に対する批判は常にあるものです。改革をしたらしたで批判は絶えません。では、組織設計は、どのようなスタンスに立って行えば良いのでしょうか。
 時津薫氏は、次のように言っています。
私たちが機能する組織を設計する際に、最も留意しなければならないのは、理想的な組織を設計することではなく、働く人が業績をあげ組織の目的を達成することができるようにすることです。各種の活動を位置づけ各種の関係を秩序づける組織構造が健全であるかどうかの判断基準は、そこで働く人が業績をあげているかどうかです。組織は、たんに目的達成のための手段にすぎません。
 財政状況が厳しくなり、職員数が削減されていく中、限りある経営資源を最大限に活用するためには、組織設計も重要な経営課題であることが分かります。

 また、牧瀬稔氏は、「庁内分権・・・その前に集権だろ」の中で次のようにおっしゃっています。
庁内分権しても、その分けられた権能・権限をいかすことができる人材がいないことには、何も変化が起きないからです。
 たとえ、理想的な組織をデザインしたとしても、その組織の中で機能する人材がいなければ、理想のデザインも絵に描いた餅、ということです。

 どの部長も課長も人事や予算に関心があります。予算があれば、やりたい仕事がやりたいようにやれます。部下がたくさんいれば、部下たちも楽に仕事ができて、上司は仕事が大変だと部下から文句を言うことも少ないでしょう。また、優秀な人材がたくさんいれば、仕事を任せても危なっかしいところがなく、議会での説明にも万全の態勢で臨めるからです。
 しかし、人と金が潤沢にあれば、誰でも良い仕事ができます。限られた資源の中で市民から求められる高度かつ専門的なサービスをいかに提供するかが経営です。部長職が首長と一体となり、経営層を構成する由です。

 部局に経営責任を負わせ、人事課や財政課などはその支援を行うという形式の組織編制とした自治体に佐賀県があります。事業部局は「○○本部」と呼ばれ、当該分野の行政経営に責任を負います。そして、人事課や財政課は「経営支援本部」に属する、という構造になっており、各部の中でも経営支援本部は、行政組織規則上の最下位にあります。これは、事業部制のような考え方による組織設計といえます。県レベルの大組織ならば、こうした組織編制も可能でしょうが、組織規模の小さなところでは非効率を招くでしょう。

(参考)
ガルブレイス「組織設計のマネジメント―競争優位の組織づくり 」(生産性出版)
管理会計のナカミ「事業部制とカンパニー制」(2009/2/24)
ドラッカー学会ブログ「事業活動を組織化する-その9-組織設計の原則とアプローチ」(2008/09/30)
ドラッカー「マネジメント〈下〉―課題・責任・実践」(ダイヤモンド社)
チャンドラー「組織は戦略に従う」(ダイヤモンド社)
県立病院の独法化検討
県立病院の独法化検討
県、公務員型の道探る

2008年11月09日(日)山梨日日新聞
 山梨県立病院(中央、北)の経営形態見直し論議で、県は8日までに、非公務員型の一般独立行政法人化(一般独法化)に加え、職員の身分が公務員のまま改革が進められる特定独立行政法人化(特定独法化)の導入の可否について本格的な検討に入った。一般独法化には職員組合からの反発が強い上、県議会内にも慎重論が少なくないことから、県は“落としどころ”として特定独法化の道を探っていく考えだ。

 総務省の公立病院改革ガイドラインは、自治体病院をどこへ連れて行こうとしているのでしょうか。

 同ガイドラインは、
同法(地方公営企業法)の全部適用によって所期の効果が達成されない場合には、地方独立行政法人化など、更なる経営形態の見直しに向け直ちに取り組むことが適当である
としています。また、指定管理者制度の導入はもとより、地方独立行政法人化(非公務員型)や民間譲渡にも言及しています。武雄市では、議会が武雄市民病院の2010年2月までの民間譲渡案を可決し、佐賀県医師会を含めた地元医師会が譲渡に反対しているそうです。

 

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病院経営と定員管理
鳥取市立病院:職員増で医師確保 条例改正案、9月議会に提案へ
毎日新聞 2008年8月8日 地方版
 鳥取市の竹内功市長は7日の定例会見で市立病院(同市的場1)の正職員の定数を増やすための条例改正案を9月定例市議会に提案すると発表した。市立病院は医師不足のため小児科の休止に追い込まれる見通し。医師の人数を増やすことで労働条件を改善し、医師確保につなげたい意向だ。

 市立病院を持つ自治体において、定員適正化は、非常に頭の痛い問題になる場合があります。

 国は総人件費改革として、公務員定数の削減を国是として掲げ、市立病院を持つ自治体も持たない自治体も一律に4.6%の人員削減を求めています。この4.6%に病院を含むことにも、当然、意味はあります。

 しかし、鳥取市くらいの規模の自治体にとっては、病院における職員数の増減が、定員管理に非常に大きく響きます。つまり、医師や看護師の採用退職者数が、そのまま定員の増減率に大きく反映されるのです。

 また、医師や看護師不足がこれだけ大きな問題として取り上げられていることから明らかなとおり、病院経営を継続することは非常に困難なことですが、市立病院の医師や看護師が数多く退職していってしまい、病院経営と市民生活に支障が出ているような自治体では、逆に行政職員の削減に努力しなくても、定員適正化は達成できてしまう、という笑うに笑えない現象がおきます。

 病院定数を増員することは、行政職員の更なる減員を求められます。それでも、地域住民の安全・安心のため非常に賢明な選択であり、市民本位の勇気のある政策であると評価できます。

 それでも、行政職員の削減にも限界があります。そこで、行革推進法第55条第5項は、地方公営企業の独法化を求めてもいます。

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総務事務の効率化
総務事務効率化、自治体で広がる 大阪市が一括処理センター
nikkei.net 2008/8/5
 給与計算や出張旅費の精算など総務事務の処理を民間委託や一括処理することで効率化する動きが近畿の自治体で広がってきた。大阪府、京都府などに続き、今年度は大阪市が事務を一括処理する総務事務センターを10月にも設立、京都市や堺市も2009年度の導入を目指し動き始めた。職員のための業務処理を効率化し、本来業務である住民向けサービスの労力を増やす狙いだ。

 大阪市は10月にも総務事務センターを設立する。給与関係業務、福利厚生制度に関する相談業務などを一括処理し、一部は民間委託する。庶務業務にかかわる約1160人の職員を3分の1に当たる約390人まで減らせると試算している。センター設立に着手した06年度から10年度までの5年間の累積で関連費用を差し引いて約9億円のコスト削減効果を想定している。

 県や政令市のような超大規模な組織だとアウトソーシングによるメリットがありますが、同じ業務を委託してもその事業規模によりメリットの規模も異なります。

 自治体職員が政策職員としてプロの仕事に専念するためにも、総務事務のほかルーチンワークは委託することが好ましいと考えます。

 また、国は法定受託事務に関して、今後も委託規制を緩和する施策を推進するべきでしょう。そうでなければ、定員削減のために、自治体は、その本来の仕事である「自治事務」における行政サービスを縮小せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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