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平成22年人事院勧告 No.2 マイナス勧告の方針固まる
50代後半の給与引き下げ 人事院勧告、2年連続減 
47News 2010/7/20
 人事院は20日、2010年度の国家公務員(一般職)給与に関する8月の勧告について、月給、ボーナス(期末・勤勉手当)ともにマイナスとする方針を固めた。同時引き下げは2年連続となる。

若年層の給料月額は据え置き、50代後半からは一定率を乗じて減額する特別措置を検討しているそうです。また、中間層は据え置くか減額するか調整が続けているそうです。こうした給料の官民格差を年齢層で傾斜配分する方式は、従来から取られていました。

 同記事にもありますが、国家公務員の場合は、55歳を過ぎた職員の天下りが抑制されるようになったため、当該職員の人件費圧縮という意図もあるでしょう。この年齢による特別措置については、労働組合にも既に非公式に提示しているそうです。

 先のエントリーでも述べましたが、高齢職員の給与の高止まりは、平成18年の給与構造改革の時点から自治体の給与担当者の間では問題視されていました。給与政策について、地方自治体は国家公務員に準拠することが求められますが、それも程度の問題であり、これからは、国家公務員の給与制度の枠を超えない範囲内で、自治体が自ら考え給与政策を決定し、人件費の職員間における配分のあり方を生み出す時代が来たと言えるでしょう。平成18年の給与構造改革で現給保障をするのは制度設計上、やむを得ないこととは思います。しかし、その当時はまだ民間準拠という考え方が強く、民間の給与実態調査の結果により、その水準や制度が客観的に決まってくる、というような発想があったと思います。そういう考えのうちは、人件費を行政組織のコストとして捉える意識は弱かったのではないでしょうか。
平成22年人事院勧告 55歳以上下げ幅大に
人事院:公務員給与、傾斜配分検討 55歳以上下げ幅大に
毎日新聞 2010年7月14日 15時00分
人事院が国家公務員の給与水準に関して8月に行う勧告で、引き下げ幅を55歳以上でより大きくし、30歳代以下で小さくする傾斜配分方式の導入を検討していることが14日、分かった。ベテラン公務員の給与が民間企業の同年代の社員を上回っている実態を踏まえた措置。省庁のあっせんによる天下りの禁止で滞留する公務員に自発的な退職を促す狙いもありそうだ。

 人事院は昨年の勧告で月給を0.22%引き下げるよう求めた。今年も引き下げ勧告になる見通しだが、傾斜配分方式にすることで、ベテランへの退職勧奨に加え、新卒者の「公務員離れ」を抑制する効果も期待している。

 ただ、導入には困難も予想される。傾斜配分方式にしても、全体を一律に引き下げた場合と総人件費は変わらない。政府は公務員制度改革でみんなの党との連携を模索しているが、同党は「公務員給与の2割カット」を掲げていることから隔たりは大きく、より抜本的な給与体系の見直しを迫られるのは必至とみられる。

 平成18年の給与構造改革の時から、給与担当者の間では、公務員の世代間における「給与格差」を懸念する声がありました。また、それを是正する方法として、この給料表の傾斜配分方式は一つの案として提案されてもいました。

 つまり、給与構造改革により給料表の構造が変わり、給与カーブがフラットになり、また、枠外昇給も廃止され、若い世代は昇格しない限り給料は頭打ちになったのです。しかし、経過措置により、後者については現給が保障がされ、同じ級にいても高齢世代は給与カーブがフラット化される前の高い給料を受給しています。また、給料表の構造が変わったことにより、給料表の水準自体が下げられました。これによる現給も保障されていますので、高齢職員は、それより若い世代の職員が到達しえない、言い換えれば、構造改革後の給料表には存在しない高い水準の給料月額を受給しているのです。

 給与構造改革の結果、給料表の水準が下がり、給与カーブがフラット化したことにより、単純に考えても、高齢職員の生涯賃金と若手職員のそれとの間には「格差」が生じることになります。この格差には例外もあるでしょうが、例外が生じるとすれば、その若手職員が例外的に早く昇格して、少しでも長い期間、少しでも高い水準の級に在級すること以外は想定できません。

 公務員の人件費改革は、定数管理という形で行われています。これは、公務員はクビにはできないので、定年退職による職員数の自然減に対して、新規採用を抑制することにより実現されます。しかし、これからの給与政策は、定数管理ではなく、文字通り「総人件費管理」になっていくだろうと想定されます。

 総人件費管理によれば、人件費の総枠が決定しており、それを職員間でどのように配分するか、という給与政策により具体化されます。能力主義とか実績主義として10年程度前に持て囃された「人事考課制度」による査定昇給等もこうした総人件費管理の必要から生じた給与政策の一つといえます。しかし、いわゆる人事考課と給与とを結びつける人事給与政策は失敗しました。

 次に考えられるのは、年齢層ごとの傾斜配分になります。総人件費改革は、指定管理者制度などを活用した行政の外部化により名目上の人件費を下げることによるよりも、公務員の給与水準のあり方自体を問うようになってきているといえます。そして、給与構造改革による職員の世代間に生じた「給与格差」を是正する、という意味でも傾斜配分は合理的です。

 ただ、これにも問題があります。国は一律にこれを行うことができますが、合併した自治体の一部では、以前読売新聞の記事で問題とされたワタリにより、給料が高止まりしている高齢職員が存在するからです。高い級から順に削減率を高く設定して傾斜配分していくこともできますが、これから昇格していく若手職員は、せっかく高い級に到達しても、結局は低い水準の給料を受けることになります。ただし、これは相対的な話であります。

 したがって、こうした点に配慮した場合における方法としては、「年齢」により傾斜配分を定める方法があります。いずれにせよ、人事院が「ベテラン公務員の給与が民間企業の同年代の社員を上回っている実態」というのは、軽率な一般化であり、傾斜配分の理由付けとする言い訳という印象があります。なぜなら、民間企業においては、若いころの給与水準が公務員より高い、という一面もあるからです。業種にもよりますが、民間では若い頃から高い給料をもらい、55歳で役職定年となり、その後60歳の定年までは給与水準が著しく下がるという例もあるからです。

 もちろん、傾斜配分には合理的な面もあります。それは職能資格制に対する反省としての面です。つまり、年齢とともに昇格し、ポストがなく、また特別な職能を求めることなく給与水準のアップを保障したこれまでの運用の行き詰まりです。この職能資格制度が働く人のモチベーションを維持向上させることに役立った、というか考え方に対して私は懐疑的です。なぜなら、賃金は衛星要因であると考えているからです。

 また、公務員の場合、クビになることがなく終身雇用制が保障されています。それが当然のこととして受け取り、有り難味がなくなっています。雇用を保障されていることに有り難味を感じ、公務に忠誠を抱いている職員などいるとは思えません。それと同じで、定期昇給や、定期昇格も制度として運用される限り、人はそれを「当然の権利」と捉え、逆にそれがなくなると不満を覚えるものではないでしょうか。

 団塊世代の弊害として、若い世代の昇格の遅れが指摘されています。職能資格制による定期的な昇格においても、これが遅らせることにより、キャリアプラトーという現象が生じたわけです。この昇格の遅れの結果として、高い給料水準に到達するのも遅れることから、生涯賃金が相対的に低くなることになります。こうした面の是正策としても、傾斜配分という人事院が取り組もうとしている給与政策には合理性があるのではないでしょうか。

 実際には、多くの自治体においては、給料表を人事院勧告に則って改正するだけであるでしょうが、各自治体が実際に運用されている給与政策の中で以上のことを議論するとしたら、その自治体における「高齢職員」と「若手職員」を明確に定義する必要があります。
分別と多感
 能力考課の考課項目は、通常「規律性」「協調性」「責任感」などといった一般化された抽象的なものです。こうした抽象的な項目をもって部下指導をしたり、人事評価を行う際、用語の選択や表現の仕方によって、非常にデリケートな問題になりますから、管理者は注意が必要です。

 たとえば、「協調性がない」と管理者が部下に言ったとすると、これは問題です。「ない」と言うということは、その部下は協調性をまったく持ち合わせていない、という意味です。また、協調性に「問題がある」と言うのも好ましい表現とはいえません。どのような「表現の仕方」で部下に指導すべき内容を伝えるかは、自分が相手の立場になって考えてみれば分かりやすいと思います。
 
 人間の営みは複雑怪奇です。たとえば「協調性」という抽象的な言葉で表すことには、これまでのさまざまな行動特性から管理者の頭の中でたまたま「協調性」という言葉で一般化された概念に過ぎません。相手に理解してもらうには、その基礎になった相手の行動特性を個々に指摘しながら指導しなければいけません。いくつかの行動が完了してしまってから、結果として一般化した言葉で指導されても相手は理解できないと考えるべきです。

 たとえば、「協調性」の場合、次のような着眼点から相手の具体的な言動を評価しなければいけません。
1 誰かが忙しそうにしているときに、その人の仕事を自発的に手伝ったか。
2 和を図るような言動があったか。
3 人間関係に悪い影響を与えるような言動はなかったか。

 管理者としては、こうした着眼点を一つでも多く持ち、評価(指導)のキッカケを多く持てるように、管理者としての能力を高めなければいけません。部下の言動のすべてを何らかの評価項目で評価できるのが理想です。もちろん、そんなことは不可能ですが。

 部下指導に熱心な管理者ほど声を荒げたりとか、多感で自分の常識に自信のある上司ほど分別のない表現の仕方で部下指導をしてしまうようです。これはいかがなものかと思います。管理職には、部下指導について「自分のやり方」があろうかと思います。しかし、いくら管理職が部下指導に熱心であっても、相手に伝わらなければ意味がありません。怒鳴らなくても、言い方しだいでは、部下に対する侮辱となり、パワハラにもなりかねません。

 これは、管理者のかたの中には、長年管理者でいることにより「部下は上司の言うことを聞くもの」という先入観に染まっているかたがいることも考えられます。例えば、役所の場合、管理部門に長くなると、その職員は現場を知らない頭デッカチと思われるようになります。また、現場に長くなると、組織管理を覚えず何かと効率の悪い職員になります。管理職の人は、それなりの年数を管理者として経験を重ねることにより、部下指導や人材育成が、上司から部下への一方的な職務命令のように捉えているかたもいらっしゃるようです。「職員として成長せよ」とか「能力開発をせよ」と命じて、部下がそれらの指示を実現できるほど簡単なことであれば、管理者は誰がやっても良いどころか、その存在さえ必要のないものになってしまうのではないでしょうか。

 管理者の役割は、人間という複雑怪奇な生き物を取り扱う難易度の高いものだと私は思います。
「一番を目指すの当然」
蓮舫大臣が発言修正 「一番を目指すの当然」
2010/6/17 20時53分 産経新聞
 蓮舫行政刷新担当相は17日、産経新聞などのインタビューで「(日本が)科学技術の分野で一番を目指す。あるいは他の分野でも一番を目指すのは当然だ」と述べた。昨年の行政刷新会議の事業仕分けで、次世代スーパーコンピューター開発に関し「2位ではだめか」とした自らの発言を修正した格好だ。
 
 蓮舫さんの発言があれだけ注目を浴びたのは、「一番を目指すの当然」という当然のことを否定した発言だったからこそです。競争において「2位ではだめか」などということはありえません。
 人間の営みは複雑怪奇であって、仕分け作業による結果に正解はありません。説明をする人と説明を受ける人の関係における戦術の巧拙で結果は変わってきます。当事者の「説明の仕方」や「説明の聞き方」についてさまざまな戦術があります。説明をする側は、一円でも多く予算を獲得することが勝負の分かれ目であり、説明を受ける側としては、一円でも安く「一番を目指させる」のが戦略目標になります。つまり、「2位ではだめか」という「説明の聞き方(説明のさせ方)」は、戦略目標を達成するための戦術の一つに過ぎません。また、この戦術は、蓮舫さんの側が「2位でよい」という理由を説明する立場に立つというルールの下では使えない戦術であることは言うまでもありません。
職務分析・職務評価
 厚生労働省では、「職務分析・職務評価実施マニュアル」と「試行ツール」を作成して公開しています。

 これは、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成19年5月24日)の中で触れられている事業主の職務分析を支援策として世に出たもので、パートタイム労働法に沿った職務評価の手法に関するものですが、公務の場合、フルタイム労働者である我々正規職員の職務についも、職務分析が十分にされているとはいえないのではないか、というのが私のかねてからの問題意識です。

 管理監督者は、「要素比較法」などにより係内の業務を分析して、職務構成要素を決める必要があります。各要素ごとのウェイトは、仕事の与え方も係員の職務経験によって変わってきます。それは管理監督者の裁量の範囲でしょう。私が他の係へ異動した場合、異動先の課や係で、このような職務分析がされていないとすれば、係長の職務を行うに当たって不安があります。この職務分析は、単なる「事務分掌」ごとの仕事の配分などとはまったく異なるものです。

(参考)
厚生労働省「職務分析・職務評価実施マニュアル及び試行ツールについて

プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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