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2020/09
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労働判例と人事実務
 今日は、朝5時に起きて東京へ行き、労務行政研究所の「重要労働判例と実務への影響」というセミナーを受講してきました。講師は弁護士の丸尾拓養氏です。

 丸尾先生の考え方は、使用者側の弁護士の見解として、非常に参考になりました。80人くらいいた参加者は、民間企業から多くいらしているようでした。休憩時間に回りの参加者間でされている会話は、公務ではあまり経験することのない分野のこともありました。また、逆に、公務員には馴染み深い「年次有給休暇の時間単位での取得」について議論をしている人たちもいました。

 人事担当課へ配属されてから、労働関係法令と判例、裁判例をよく読むようになったのですが、特に、判例は読んでいておもしろいものです。今日は、自分の不勉強を痛感した一日でした。これを機会にもっとたくさんの労働分野とそれに係る判例を勉強していこうと思います。

 そういえば、セミナーの会場は、表参道の青学会館でした。渋谷駅から歩きましたが、渋谷や青山を訪れるのは何年ぶりだったでしょうか。迷子になり、渋谷消防署で道を尋ねました。この消防署の前は「ファイアー通り」と呼ばれているようです。
昇給延伸取消し命令 東京地裁
教諭昇給先延ばし「根拠不十分」取り消し命令 東京地裁
asahi.com 2010/05/13
 東京都世田谷区立小学校の男性教諭(57)が、人事考課の結果を理由に定期昇給を先延ばしされたのは不当だと訴えた訴訟で、東京地裁(青野洋士裁判長)は13日、不服審査を担当した都人事委員会の判定を取り消し、慰謝料など計約14万円の支払いを都と区に命じた。

 原告の代理人弁護士によると、教諭の業績評価をめぐる訴訟で行政側が敗訴したのは珍しいという。

 判決によると、この教諭は区立小の併設施設として神奈川県三浦市に設置された「健康学園」(現在は閉園)の教諭だった2004年度に、5段階(Sを最高にA~D)で下位から2番目の「C評価」を受け、当時の人事考課制度に従って定期昇給が3カ月先延ばしされた。05年8月に先延ばしの取り消しを求めたが、都人事委員会は08年3月に退ける判定をしたため、その取り消しを求めて提訴していた。

 判決は、評価する立場にいた施設の副園長の男性が、実際はこの教諭の授業を2回しか見ていなかったのに多く見たように記載するなど、事実に基づかずに評価したと指摘。「公正に評価すべき義務に違反している」と認めた。

 さらに、都人事委員会の判定についても、教諭が求めた聞き取り調査(審問)を実施しないなど、判断の前提となる事実の把握が不十分で、違法だと結論づけた。

 判決後に会見した教諭の代理人弁護士によると、教諭と副園長は人間関係が良くない時期があったという。
 判決をよく読んでみたいです。

 経営不振を理由した昇給停止を違法とした例があります。しかし、これは、結局、経営不振とは認められなかったという内容です。

「昇給停止は不相当」会社に750万支払い命令 地裁
千葉日報 2010/03/20
 「赤字」を理由に定期昇給と一時金の支払いなどをしなかったとして、産業機械製造会社「三和機材」(東京都中央区、栗田五郎社長)の千葉工場などの従業員9人らが、同社を相手取り、昇給分の賃金と一時金など計約6600万円の支払いを求めた訴訟の判決が19日、千葉地裁であった。菅原崇裁判長は「昇給を停止したことは相当でない」として、昇給分の賃金など計約750万円の支払いなどを同社に命じた。一時金の支払いについては退けた。

 判決で菅原裁判長は「昇給停止は被告(三和機材)の裁量によるものでなく、従業員が被る不利益の程度、労組との交渉経過を考慮して決めるのが相当」などと指摘。同社の資金内容について、「極めて優良。定期昇給による支出も多額にならないと推認される」と述べた。同社の元社長が約28億円の会社資金を持ち出していたことも認定した。



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民主研究会「公務員庁」新設も浮上
公務員2割削減を堅持 民主研究会「公務員庁」新設も浮上
2010.4.22 19:33
 民主党の参院選マニフェスト(政権公約)を検討する同党の地域主権・規制改革研究会(玄葉光一郎会長)は22日の会合で、昨年の衆院選マニフェストに盛り込んだ「国家公務員の人件費2割削減」を堅持する方向でほぼ一致した。

 同研究会は、公務員の労働基本権を回復し、労使交渉を担当する「公務員庁」の新設も検討する。公務員庁は定員管理を担う総務、財務両省の一部を移管し、担当大臣が労使交渉にあたることを想定。ただ、公務員の給与水準を勧告している人事院の不要論につながることに慎重な意見も出て、議論を続けることにした。
給与明細書に広告
給与明細書に広告 亀岡市が財源確保
Kyoto Shimbun 2010年04月21日
 亀岡市は新たな財源確保策として、市職員に手渡す4月分の給与支給明細書から民間企業の広告を入れた。年間の広告収入は12万円で、全職員分の明細書作製経費がまかなえるという。

 はがきサイズの明細書には、表面に職員の氏名や支給額などが記されており、月給と6、12月の期末・勤勉手当の振込日前に一人一人に手渡している。約720人の職員が毎月目にする明細書を広告媒体として活用しようと、市のホームページで広告主を募集。本年度は2金融機関と旅行代理店、市内商業団体から応募があった。

 明細書の裏面に設けた広告枠は四つで、広告費は年間契約で1枠あたり3万円。総収入は年12万円だが、1年間に手渡す明細書約1万500部の作製費に相当するという。

 市の出版物に広告を掲載するのは、広報紙や市指定ごみ袋の帯封などに次いで4例目。市人事課は「厳しい市財政の少しでも足しになれば」としている。

 このような取り組みは、多くの自治体に広がっています。私が市役所に就職したのは今から22年前ですが、その頃は、給与明細書や公用車に民間企業の広告を入れたりすることなど、考え出しても「できない」「してはいけない」「何をバカなことを言っているんだ」で終わってしまうようなことでした。

 時代が変われば、物事は変わって行くものだと思います。人の考え方や価値観も変わって行きます。たとえば、私が20年前に人事担当課にいた頃は、人事異動をする職員には全員に辞令書を交付していました。その辞令書の中でも、昇格に係る辞令書は「筆」による「手書き」でなければならず、当時、段々と普及してきていた「ワープロ」による作成は許されませんでした。「辞令書」とは、それくらい「重要なもの」ということになっていました。

 しかし、今ではその重要なものである辞令書を廃止している自治体もあります。辞令書は、役人としてみれば、もらって嬉しいものです。一般的にそういうことが言えます。それでも、自分の意に反した内容の人事異動であった場合には、そんな辞令書はもらいたくもないと思います。それも人情です。人事異動に不満はつき物ですから、職員の多くは辞令書をもらいたくないものであると考えているのかもしれません。ですが、辞令書とは公務員にとって大事なものであり、組織としても職員に対する発令として非常に重要なものである、言い換えれば「市役所という組織は辞令で動く」ものだとずっと考えていました。

 4~5年前のことでしょうか。市民の方から問い合わせの電話を頂きました。その問い合わせとは、「磐田市では辞令を出しているか」というものでした。私は辞令を交付している旨を回答しました。民間企業でも辞令書に相当するものを交付している、と認識しています。しかし、その方からいただいたのは、「辞令を貰わないと、役人は仕事をしないのか。命令されて言われないと、仕事をしないのか?」というお言葉でした。その方は、どこかの自治体で「4月1日から全力で市民のために働きます」ということで、辞令書と辞令交付式を廃止した、というニュースを読まれたそうです。

 民間企業の場合の辞令書の意義は知りませんが、公務員の辞令書は、きっと公務員が「天皇の官吏」とされていた時代から続く歴史と伝統のあるものであり、その意義は大きいのではないかと感じています。人事担当課の職員として、普段は職員を相手に仕事をしていますが、人事担当課の職員も現場の職員も公務員であり、市民に仕える公僕であることに変わりはありません。そのお電話を頂き、辞令書を廃止した自治体があると知ったときは、人事担当課の職員である私は「辞令書のように大事なものが廃止できるのか?!」と飛び上がって驚きましたが、一職員として一公務員として、とても貴重なご意見を頂けたと思いました。

 それからしばらく経ち、私は「辞令書は廃止できるのか」という疑問に取り組みました。

(参照)
ある地方公務員の隠れ家辞令書の廃止」(2007)
人事院、民間給与調査へ
公務員プラス勧告は不透明 人事院、民間給与調査へ
Kyoto Shimbun 2010年04月20日(火)
人事院は20日、2010年度の国家公務員の給与改定勧告に向けた基礎資料とする民間企業の給与実態調査を5月1日から始めると発表した。

 このほか国家公務員の定年を65歳まで延長するのに向け、民間企業の60歳以上の給与や、一定の年齢で役職を離れ給与も減額される「役職定年制」の実態も調査する。調査結果に基づき、人事院勧告とは別に、定年延長の在り方について国会と内閣に年内にも意見を提出する方針だ。(共同通信)(抄)

 定年延長のあり方については、年内に意見が出そうなようなので、一安心というところです。どこまで具体的な意見が出されるのかは不明ですが、いつもこの意見(勧告)に基づき政府が法律案を作成していくのですから、それなりに具体的に踏み込んだ内容になることを期待しています。

 役職定年は、どのような制度になるのでしょか。役職定年になり、給与を本当に下げられるのでしょうか。民間では本当に役職定年を導入している場合、給与を下げているのでしょうか。下げているとすれば、どれくらい下げているのでしょうか。私は定年延長が自治体で実現した場合、役職定年は必須の制度だと思います。いくら能力があっても、年齢とともに、落ちるものは落ちます。上がるものもあるでしょうが、若手職員にその上げるべきものを上げる機会を与えなければ、上げられる能力も上がりません。

 年齢構成が逆ピラミッドのようになっている状態で、なおかつ年功序列的な要素の大きな自治体人事の中で、いつまでも高齢者に管理職を任せていたのでは、若手を幹部に養成するのにかけるべき時間が十分に持てません。いまの55歳から私も含めた45歳くらいまでの間の職員でポストについているものは、そのポジションを退くか、あるいはポストについていないものは、退職までポストにつかない、ということをキャリアの前提としたキャリア形成や人事制度、そして、意識改革が必要なのではないでしょうか。

 磐田市のような小さな市では、外部団体などはありませんから、行政内部に高齢職員の雇用を確保する機会を考えなければなりません。組織活力を維持しつつ、高齢職員の雇用を確保するためには、ポストにつくことや出世することに大きな価値を抱いている人には、気持ちの切り替えが要請されますし、そうでない人にも定年までやりがいを持って仕事を続けていけれるように、専門職や専任職という新たな人事制度を創ることが求められています。

(参考)
JILPT「高齢者継続雇用に向けた人事労務管理の現状と課題
JILPT「高齢者雇用
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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