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2020/09
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行政経営の多角化のため
 今回の人事異動の要因は、これです。
行政経営の多角化のため

 これは稀な例ですが、実際に起これば大きな要因となります。職位の改廃や入れ替えといったもので、大規模な組織機構の改革などに伴って行われる人事上の措置です。

 職位(格付け)に対しては敏感な公務員ですから、こうした要因による異動は、劇的な変化を避ける傾向があります。その結果、その是非は別にして、新設の職位は職能的なものになる傾向があります。

 劇的な経済成長等の社会情勢の変化がない限り、ありそうもないことですが、具体的な例を挙げると、地方自治体の場合は、市町村合併による職位の整理が挙げられます。

 また、国においては、専門スタッフ職の創設が、天下り防止策としてではなく、国家公務員のキャリア形成の一つとして真面目に運用される場合は、これをこの人事異動の要因に含まれると考えて良いと思います。
昇進のための人事異動
 配置と昇進といった人事は、組織人にとって最もデリケートな問題であり、また公務員にとっても最大の関心事であると言われています。人々の関心が高いだけに、真摯な研究もある一方で、稚拙な風説も流れるところです。後者に囚われず、組織経営を考える上で、経営資源である「人」に対する合理的な組織活動として人事異動を捉えるのが、本カテゴリ「人事異動」のテーマです。

 このことを最初にことわった上で、今回扱う人事異動の要因は、これです。
昇進のため

 一般的なゼネラリストのキャリア形成は、様々な部署を経験しながら組織のピラミッド構造を上へ上へと登っていく「縦」の動きと考えてよいでしょう。配置の変更を伴わず、職位だけの変更も人事異動の一つです。

 一般的に、すべての職員に平等に昇進の機会が与えられている組織はありません。また、各組織によって昇進率の高い部署と低い部署というものが存在するといわれています。したがって、キャリアプランを考える際「やりたいこと」よりも「就きたい職位」に重点を置く職員の場合は、昇進率の高い部署を希望することになります。

 部署ごとの昇進率については、人事課でそれを公開している自治体など存在しないことを考えれば、これは職員間の「風説」に過ぎず、科学的なものではありません。一般的には、管理部門の中でも総務、人事、企画、財政が挙げられますが、同じ管理部門でも出納や監査が挙げられることは少ないようです。

 いずれにせよ、人事異動を考える上では、その前提として職員の昇進計画があります。これには、現配属先での昇進を計画している場合、昇進の予定があり、事前に異動させて当該ポストの補佐役を務めることにより、その準備をする場合のほか、昇進を伴う異動をさせ、異動先のポストは当該職員が教育異動期間で経験済みあるいは経験済みの部署に関係するところに配置する場合などがあります。

 昇進については、別の機会に触れる予定です。行政においては、昇進といった「縦」のキャリア形成に係る研究は多く見られます。しかし、私は、組織経営を考える上で、「縦」のキャリアのほか、「横」のキャリア形成にも深く関心を持っています。しかし、これに係る研究はあまり盛んではありません。この原因は、キャリア形成のコアが昇進であると捉えられていることの結果であろうと思います。

 この「横」のキャリア形成と組織規模ごとの人事異動サイクルや異動要因に関する研究については、中嶋学氏・新川達郎氏の「地方自治体におけるキャリア形成」(同志社大学)を読まれることをお勧めします。

(参考)
中嶋学・新川達郎「地方自治体におけるキャリア形成(PDF)」(同志社大学学術レポジトリ)
中嶋学・新川達郎「地方自治体における人事異動に関するアンケート調査報告(PDF)」(同志社大学)
徳岡晃一郎「人事異動」(新潮社)
職務経験の蓄積のため
Escomb Church 2001
My second visit - Escomb Church in Co. Durham
7世紀、サクソン人によって建てられた今でも現役の教会です。




 人事異動の根拠となる2番目は、これです。
職務経験の蓄積のため

 人事異動は、個々の職務の知識や技能の修得のために行われます。この知識等の習得のための異動も職員の勤続年数により、その意図が異なります。一般的に新卒の新規採用職員の採用後の10年間を「教育異動期間」と呼び、部局をまたぐ異動が計画されます。

 このいわゆる教育異動期間におけるジョブ・ローテーションは、県のように大規模な組織では徹底的に行われ、一般的には当該期間中に部局を異にする3部署を経験するのが好ましいとされています。また、この広範囲な職務間の頻繁な異動はゼネラリストの幹部養成手法としても広く知られているところです。

 教育異動期間後は、当該職員の適性等を判断した結果としての異動となり、教育異動期間における異動よりも一般的には在課期間は長めになると言われています。この期間は、係長などの中間管理職になるまで続きます。

 係長などのポストに就くと異動サイクルは、再び短期化するのが好ましいと言われていますが、ポストに就くと数の制約もありセオリーどおりにはいきません。

 しかし、課長などの管理職に昇進すると、異動サイクルは1~2年と極端に短くなります。これは、管理職が実務から極めて距離ができることの裏返しとして、当該職務の権限を握ることから、異動をさせ易くなる面と短期で異動をさせなければならないニーズが合致することによります。

 こうしたジョブ・ローテーションによるゼネラリスト育成は、一般的な支持を得ていますが、その弊害も指摘されています。

 その一つとして挙げられるのは、職員が各部署において職務の表面的なことしか捉えないようになり、配置先で修得すべき職務知識や期待されるような職務経験の蓄積に至らない、ということが挙げられます。こういう職員は、頻繁な異動により、自分が幹部候補生であることの自覚を持ちますが、そういう意識が返って職員を夜郎自大にしてしまったと言えるでしょう。そういう素材は、そもそも幹部としての資質に欠けます。

 また、これと対となる弊害は、幹部候補でない職員で、異動サイクルが相対的に長い職員のモチベーションが著しく低下するということが挙げられます。

 このような弊害を避けるためには、教育異動期間における「10年3部署」といった異動ルールを徹底して守ることでしょう。そして、その異動部署も一部の部門に偏ることなく、多様な部門を経験させることとし、その部門の組み合わせも多様とすることです。

 若手職員は、学生時代の部活の経験等により「集団で仕事」をすることは知っています。しかし、それとはまた異なる「組織で仕事」をするということを理解するために、教育異動期間中に総務、人事、財政、企画といった管理部門を経験すべきであると考えます。 

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)
掛川市例規集「掛川市職員の配属及び異動の基準に関する規程
静岡県「静岡県キャリアデベロップメントプログラム
適材適所のため
Durham Cathedral

Durham Cathedral in 2006 by 曽野田欣也





 人事異動が必要であると判断する理由として、その部署が当該職員に合っていないという事実は合理的です。

 当該職員が適材配置でない場合、それに誰かが気づきます。考えられるのは、次の3つの場合です。
 1 監督者の判断によるもの
 2 本人の判断によるもの
 3 第三者の判断によるもの

 監督者は、職員の日々の業務遂行の中でこれに気づき、人事考課やヒアリングの中でで人事課へこの情報が提供されます。

 本人自身が適材でないと判断する場合、自己申告書等により上司に告げることができます。

 情報ソースが以上3つのうちのどれであれ、人事課としては「情報の検証」をすることになります。

 「適材適所でない」という配置上の一つの致命傷に関して、それを「事実」であると認定するかどうかは判断の伴うところです。

 監督者、本人あるいは第三者が適材でないと判断する理由や根拠について、それが合理的であり、事実として認定すべきかどうかの検証は、情報源に限らず行われます。

 時には、本人は適材だと思っていても、監督者は適材でないと判断する場合もあるのです。

 また、本人が適材でないと言う場合は、間違いなく適材適所ではないとして間違いなさそうですが、必ずしもそうは言えません。本人がそのように考える理由や根拠を掘り下げて検証する必要があります。

 配属当初は適材であった人が、当該部署に長期在課することにより適性を失って不適在となる場合など様々な場合もあります。

 ゼネラリストとして多様な部門間を異動する職員においては、「辞令書一枚でどこへでも行って、何でもやらなければならない」と言われています。

 職員には、異動により様々な適性を身に付けることが期待されています。つまり、職員には万能性が求められています。この個人に対する万能性の要請と組織の求める適材適所の要請は、微妙な関係になることもあります。

 余談ですが、部署やポストによって、情報ソースに傾向が異なることにも関心があります。

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)
人事異動の必要性
イングランドの旧家

妻の生家 - 私の思い出もたくさん by 曽野田欣也



 人事異動は、職位の上昇である昇格と同列職位のまま他部署へ配置の替わるもの及びこれらのコンビネーションで行われるものです。

 行政職員のゼネラリストの場合、多様な部署の異動を重ね、その中で昇格をし、各職位においてまた複数の部署を経験することがキャリア形成の基本となっています。

 こうした個々の人事異動は、様々な必要によって行われます。
 
 以下に代表的なものを挙げ、後日個々に触れたいと思います。
A 適材適所のため
B 職務経験の蓄積のため
C 昇進のため
D 組織の活性化のため
E 経営の多角化のため
F 業務繁閑の是正のため
G 職員の意向に応じるため
E 職員の個人的事情のため

(参考文献)
中嶋学「地方自治体における異動と人材育成に関する考察」には、地方自治体の人事異動に関する一般的な実情が記述されています。
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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