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2023/03
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久しぶりの異動
今日は、定期人事異動の内示がありました。
4月からは政策企画課勤務になりました。
政策課では行革を担当します。

人事には8年いました。非常に長く感じました。
市町村合併、給与構造改革、育児短時間勤務の導入など大変な思いをしました。
そうしたタフな業務をしながら、いろいろな課題を解決していく8年は、非常に充実した日々でしたが、やり残したこともたくさんあります。

また、8回経験した人事異動では、人と組織は日々変化していることを感じました。
それらの変化を追い続ける役割は、時にはバトンタッチをして、一人の目に任せず引き継いでいくことも大事だと思います。
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人事と判断
青空を撮るのが好き

写真は「Plumerian cafe -365photo-」から
青空を撮るのが好き」 by nanami


 人を評価するに当たって、注意すべきことを事例を交えながら考えてみました。

 人自身や人の行った仕事を評価するのは難しいことです。
 人事考課制度を運用している自治体では、評価の客観性や公正性の担保をどのようにしたら良いかに頭を悩ませていることでしょう。一般的には、評価者(考課者)訓練とそのための研修の重要性が説かれます。こうした研修の目的は、評価基準の統一です。つまり、「評価対象であるもの(判断材料)」と「評価対象でないもの」を明確にし、「評価対象であるもの」だけを「評価する」、言い換えれば、人事評価上、判断材料とすべきものだけについて基準に基づいた判断を下す、ということです。

 前段の「評価対象であるもの」は、研修するまでもなく自明のことのようですが、実は管理者によって十人十色です。具体的な例を挙げてみましょう。
 以下のようなケースがあったとします。
 A係長は、B課主催のC会議に出席することになっていた。
 A係長は、所用のため、この会議に出席できなくなり、上司であるA課長とC会議の主管課であるB課の担当者に理由を告げ、C会議に欠席して良いかどうか、あるいは代理出席が必要かなどを尋ねた。
 A係長の上司であるA課長は、B課の指示に従うようにA係長に伝えました。
 B課の担当者は、自分の上司であるB課長の判断を仰ぎ、代理出席は不要であり、欠席も可とした上で、後でC会議の関係資料をA係長へ送付するよう指示した。
 C会議の当日、出席者の一人であるC部長がA係長の不在に気づいた。
 C部長は、A係長が欠席している理由をB課長に問い、B課長がA係長の欠席を良しとしたことを知った。
 C部長は、A係長はC会議に出席すべき職にあると考え、またA係長の所用は、C会議の方を優先すべきであると判断した。

 この場合、C部長の判断がB課長のそれと異なることを、C部長はB課長に伝える必要があります。それにより、これ以降の会議では、会議参加者の欠席事由の是正がされるでしょう。

 しかし、実際に問題となりがちなのは、その後におけるC部長のA係長に関する「評価対象であるもの(判断材料)」です。
 A係長は、「C会議欠席」というC部長の意向に沿わない行動を取りました。しかし、会議の欠席に当たっては直属の上司のほか関係部署の課長の許可を取っており、A係長に非はありません。
 組織で仕事をしていて、概してあり得るのは、たとえ適正な手続に沿って取った行動であっても、自分の意向に沿わない行動を取った者の評価を自分の中で下げてしまう、ということが挙げられます。「評価の基準はオレが決める」というエラーがここにあります。評価の対象となるものは、組織の必要が決めるもので、個々の管理者が決めるものではありません。また、評価基準ごとのウェートも管理者によって様々ですが、これは別の問題です。

 さて、A係長がA課の職員であり、C部長はA課の所管部長である場合、A係長の第二次考課者は、C部長となるように制度設計される場合が多いでしょう。
 そうした場合に、例えば、C部長がA係長のC会議の欠席を理由に、A係長の人事考課の能力項目中「責任感」をマイナス評価したとします。C部長はその評価の根拠であるA係長の「行動」を具体的に示す必要が出てきます。評価はそれがプラスであれ、マイナスであれ、職員の具体的な「行動」に基づいて行われなければならないからです。人事の判断は、まず、ラインの課長がするものです。そして、それを部長が検証の上、調整します。所属長である課長は、部下の職務に係る行動に常に注意し、そのうち判断材料たる行動について指導しつつ評価することが役割です。そして、課長の上司である部長は、課長の注意が十分か、その注意に基づいた評価が妥当なものかどうかを評価します。言い換えれば、部長は課長の行った個々具体的な評価を通じて、課長の管理能力という抽象的なものを評価するのです。部長の職が課長のそれより困難とされる由です。

 こうした評価の積み重ねを連綿と続け、人事考課票や執務記録書などの文書に記録していく必要があります。特に、昇進昇格の判断に当たっては、基本的には現職の級の全在職期間の人事記録を参考にして、各種「昇格選考のフィルター」に通して判断すべきです。終身雇用で、かつ、日本的な大部屋主義で仕事が進められる組織においては、人事記録の蓄積が必ずしも十分ではなく、評価対象も分からない、評価基準も分からないという意味で、評価は暗黙のうちに行われていました。それでも概ね衆目の一致するところに人事の判断は落ち着いていたものなのですが、記録に基づかないという意味では、恣意的に行われる余地のある運用であることに違いはありません。

 C部長のA係長に対する評価が、人事考課には表れないところで行われるのであれば、なおさらで、これは人事の判断を誤ったとされるケースになる蓋然性が高くなることは自明です。また、個々の職員の評価をする上で最も重要なのは、ライン管理職の判断であり、人事課のそれではありません。したがって、まず、ライン管理職の判断の客観性が肝要であると心得るべきで、ライン管理職が自分流の基準に拘ることは、恣意的な人事につながり、結果として職員の人事に対する信頼を失います。人事課の役割は、ライン管理職がどれだけ部下の評価を説明できるか、という検証を行うことであり、それは、同じくライン管理職である各部長のサポートでもあり、全体の調整です。人事課が行う判断は、人事評価の主役ではありません。

 人事考課制度は、評価の対象となる職員の行動等を明確化し、その対象となるものだけ「評価をする」ということを明らかにした点で、自治体の人事管理に貢献したと言えます。これは評価をする側だけでなく、評価される側にとってもメリットです。上司は、面接制度等を通じて、こうした評価を自信を持って部下にフィードバックすべきです。

 「評価する」ことの課題は、別の機会に取り上げたいと思います。
人事異動は本当に恣意的か
 総務省の地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会の委員をされている西村美香教授は、ご自身の論文の中で、職務分析について、次のように述べられています。
 職務とポストを一体的に捉える「官職」概念から距離を置いて従来よりも詳細な職務分析を行い、職務遂行に必要な資格や能力を特定し、その分類を体系的にまとめた新しい人事管理の基盤を確立しなければならない

「都市問題」第95巻 第12号(2004年12月号)
「地方公務員制度のおける任用の多様化・弾力化の限界」から引用

 これは、『「職」と「人」の理解』について考えたときに、私も不満を覚えたところです。というのも、これまでの役所では十分な職務分析がされておらず、その結果、人事評価は人物評価となり、職に必要とされる職務遂行能力や個人の適性などが科学的に検証されていないからです。

 改正地方公務員法では、職階制を放棄し、人事評価を新たに規定しています。立法上はそれで良いでしょう。しかし、職務分析とその職務を遂行する上で必要とされる能力などが明確にならずして、果たして適正な人事評価が行えるのか、というのが私の疑問です。職員が能動的に自らのキャリア形成について考えようとしても、ゼネラリストを中心とした公務員は、能力開発の目標が立てられないのではないでしょうか。
 
 以前、私は「昇格選考のフィルター 3」で次のように述べました。
 人事課へ配属された職員は、最初は「職」の理解から始め、最終的には自分なりのこうした仮説を持つようになります

 この仮説を立てるのも、また、それを検証するにしても、人事担当者個人の職務経験等だけによるとすれば、客観性や妥当性という点で、現代的な価値を付与する必要はあるのではないでしょうか。仮説について人的資源管理の研究を参考にする担当者もいれば、歴代人事課長相伝としている組織もあるかもしれません。しかし、人事はそのような属人的なものでも職人芸でもなく、ただ単に合理的なものであるべきです。

 人事が恣意的だ、と回りから捉えられる要因は、科学的な「職」の理解、つまり職務分析が行われておらず、こうした人事担当者の力量に任されている日本型人事に内在するものなのではないでしょうか。もちろん、職務分析が科学的にされて「職」の理解が進んだとしても、「人」の理解が個人的に行われるのでは問題は解決しません。「人」の理解のためには、人事考課制度を活用することが考えられます。人事考課がこの役割を果たすためには、今とは異なる内容の考課者研修が必要となります。
 また、研修ではありませんが、所属長には部下の能力や適性等の評価を人事考課票に記入させるだけではなく、人事課長との面接により、資料を用い口頭で説明させるのも一法です。その際、説明する相手は人事課長ではなく、外部に委託した人事コンサルタントでも構いません。各所属長は、この面接を通じて自分自身の説明能力のほか管理者としての各種能力を測定されることになります。

 話は逸れますが、職務分析の結果として、終身雇用を前提とし長期雇用の中で能力を開発、向上させていく必要のある職ばかりではないのではないか、ということが言えます。これを認めれば、常勤の職が普通であると捉える必要はなくなります。そうした職には、常勤の職とは異なる給与・人事制度により運用したほうが合理的です。任期付短時間勤務職員制度を導入するまでもなく、職の科学的分析を行い、任用の多様性を認めて地方公務員法の整備をすれば、現在の非常勤職員制度にある給与面や雇用面での課題も解決されるのではないでしょうか。
人事の要諦
 懇意にして頂いている他自治体のかたで、最近人事課へ異動されたかたがいらっしゃいます。
 お仕事は大変でしょうが、そのかたへ励ましの気持ちを込めて。

かわもと文庫「世相百断」第6話「人事異動」から
 人事の目的は何だろう。社員の力を発揮させ、組織をいきいきと機能させるためのものであろう。どんな人にも長所はある。その長所を伸ばす人事を行うことが社員を幸福にし、幸福な社員が多ければ会社もいきいきと発展する。危機に見舞われても反発力が強い。

 人間のやることだから、人事に情実はつきものだ。人は愚かなもので、すぐに学閥派閥で群を作りたがる。そうしないと不安になる。だからこそ、人が人の運命を左右する人事という仕事は恐ろしい。愚かで間違いやすい人間が人の運命を左右しかねない人事を行っているのだという自覚と、縁あって同じ組織で行動を共にしている仲間への温かい心遣り。これが人事の要諦である。

 この要諦が身についている人事権者は会社を発展させる。身についていない人事権者は会社を滅ぼす。
(2000年4月8日)
昇格選考のフィルター 3
第6のフィルターは、
新しい経験は古い経験より有用である

 異動により若いときに配属されていた部署に戻ることがあります。これは、教育異動期間といわれる採用後10年間を経過後に、適性を判断された上で起こりえることです。こうした異動はあくまで適性をみた配置であり、「前にいたから、その時の知識が役に立つ」という安易な考えによる配置ではありません。同じ部署に同じ立場で配属になっても、当該職員の経歴(キャリア)にとってプラスになることは少ないと思います。いずれにせよ、古い知識は役に立たないばかりか、本人が忘れているものです。


第7のフィルターは、
責任の重い業務の経歴は、軽い業務の経歴より有用である

 このフィルターは、昇格管理を行う上で難しい一面を有しています。例えば、広範な領域における管理経験を持った職員は、組織上は高位であっても単純な繰り返し作業の部署における管理には適格であるとは限りません。理想は、職員の経歴がそうした職務上の経験を段階的に踏んで来ていることです。

第8のフィルターは、
進歩性のある経歴は、その程度の低い経歴より有用である

 これは第7のフィルターとも関連しますが、段階的に職務の責任と複雑性が増加した人の経歴は、それが減少した経歴よりも有用であるという意味です。参考文献には、理由は述べられていませんが、「経歴を実際に評価する場合、適用するにはなかなか問題が多い仮説である」としています。私はこの仮説(フィルター)の問題は、仮説自体の妥当性ではなく、職員の経歴が当該職員の能動的な意思により形成されるものではないので、公平性の点で問題があるのだと考えます。

 こうした仮説(フィルター)に基づく検証は、配属先の経歴や担当事務分掌、人事考課の結果などの人事記録のほか各配属先で誰と一緒に仕事をしたか、というところにまで及びます。

 以上、演繹法で昇格者を選考する場合について、今では古いと思われるような古典的な仮説を含めて紹介しました。これらのフィルター自体の仮説としての有効性は個々の判断に任せます。人事課へ配属された職員は、最初は「職」の理解から始め、最終的には自分なりのこうした仮説を持つようになります。人事担当者の「人」の理解は、基本的にライン管理職からの情報によるところが大です。「人」の理解に対する人事担当者の視界の広さは、組織規模に反比例します。

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)

(参考)
鷺板由紀子他「昇格選考における論文評定の分析:多変量一般化可能性理論を用いた信頼性の検討」(PDF)
江口克彦「平均的大企業の平均的人事規定」(公務員制度の総合的な改革に関する懇談会(第5回)資料1 委員提出資料)(PDF)
三鷹市「異動・昇任昇格
三鷹市「人財育成に貢献する諸制度
宝塚市「宝市職員昇格審査委員会規程
宇津木誠「企業の昇進昇格制度と人事評価の現状と問題点」(PDF)
寺畑正英「人事考課における客観的評価と昇進・昇格システム」(PDF)
上原克仁「大手企業における昇進・昇格と異動の実証分析」(PDF)
丸山悠司「研究開発管理の問題点 : 資格構成と昇格評価の方法」(PDF)
みずほ総合研究所「みずほリポート(2008/8/20)」(PDF)
島貫智行「人材マネジメントの分権化と組織パフォーマンス」(PDF)
W.A.スピンクス「シンプル評価主義への提案」(PDF)
安田均「富士通新人事制度における成果主義と能力主義」(PDF)
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
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