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in my heart of hearts
I think I knew in my heart of hearts that once Graham Taylor was appointed England manager I wouldn't be around for long.
(Chris Waddle)

 グレアム・テイラーがイングランド代表監督になったときのことを回想したクリス・ワドルの言葉です。ワドルは、テイラーが監督になったら、最終的には自分を代表に招聘しないことが分かっていました。

 イタリア代表監督のリッピもユベントス監督時代、天才肌のロベルト・バッジオを好まず戦力外としました。また、アリゴ・サッキもアメリカ・ワールドカップの時に、大事な試合でバッジオを彼の体力の弱さと守備面での貢献度の低さを理由に途中交代させています。しかし、あのときのイタリアがブラジルとの決勝戦まで進めたのは、ロベルト・バッジオの天才性のお陰でしょう。日本では、岡田監督がカズと北沢を外したのは有名な話です。

 自分は戦術という分別をわきまえている合理的な人間だと考えている監督ほど、私は人間味を感じます。それは、本人が「合理」と信じているものが、まったく理性的なものではなく極めて人間臭いものだからです。私は、それを監督の「戦術」という名の「好み」だと考えていますし、「好み」で人を選べるのは、結果に全責任を負う監督の特権だと考えています。監督が「自分の戦術に合わない」選手を外すのは当然のことです。しかし、その戦術とは「理性」や「合理」ではなく本質的に「好み」なのです。

 なぜなら、フットボールは芸術なのですから。
勝つときには多少汚くても良いが、負けるときには美しく
(ヨハン・クライフ)
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Germany 4-1 England
BBC Sportsでは、2010ワールドカップ決勝トーナメント1回戦ドイツ対イングランドのコメントを掲載していました。

その中で、クリス・ワドルのコメントを取り上げてみましょう。
BBC Radio 5 live's Chris Waddle
"It's totally embarrassing. There were 20 minutes when England competed but Germany were the better team technically and tactically."

BBC Radio 5 live's Chris Waddle
"Why don't the FA look at other countries and say 'how do they keep producing this talent?' Where is our Plan B? We haven't got one. The back four can't control the ball, can't pass, we lack so many ideas it's frustrating."

 チーム力も戦術もドイツがイングランドより上だったことを指摘しています。また、イングランドのディフェンスが機能していなかったことにも言及しています。何よりも若手というか、次に続くタレントがいないことを憂いているようです。今のイングランドにはタレントは豊富だと思うのですが、勝負強さに欠けます。クリス・ワドルは既に今後のトーナメントのことを考えています。イングランドフットボールに対する長期的なビジョンを感じさせるコメントです。

 ハーフタイムにおけるドイツの指示は、イングランドの緩いディフェンスラインに対して、カウンターを狙えということもあったでしょうが、他には疑惑のゴールが認められていたとしても、それを跳ね返す点差で勝つということだったでしょう。それがドイツの意地だったと思います。なぜなら、それは1966年大会におけるイングランドのドイツに対する勝ち方と同じであるからです。
 カペッロは、ハーフタイムでディフェンスラインに対してどのような指示を出したのか関心があります。

 なお、元イングランド代表監督のグレアム・テイラーは、今回のイングランドが4-4-2のフォーメーションを採用したことを敗因とするコメントをしていました。しかし、これは素人のコメントでありまったく意味がありません。サッカーにおけるフォーメーションは大事な戦術の一部ですが、フォーメーションで勝敗が決まることはありません。私は、フラットなディフェンスラインの4-4-2のフォーメーションが好きです。これは好みの問題であり、フォーメーションの是非を語るのは愚かなことです。サッカーはシンプルなゲームですが、フォーメーションで勝負が決まるほど単純なものではありません。こんな人物を代表監督にしたから当時のイングランドは勝てなかったのです。

(参考)
杉山茂樹「4-2-3-1」(光文社新書)
One Night In Turin
 「One Night In Turin [Blu-ray] [2010]」を注文しました。
 90年のイタリア・ワールドカップは、私の好きな大会の一つです。一番好きな大会かもしれません。その理由は、この大会におけるイングランドの試合がイングランド・サポーターにとって前評判を裏切る熱い内容のものが多かったからです。

 それでは、振り返ってみましょう。

 カメルーン戦では、ゲイリー・リネカーのPK狙いのプレイの連発と、ことごとくPKを決めたその勝負強さ。特に、2回目のPKでど真ん中に蹴り込んだリネカーの度胸は、たいしたものです。後日、インタビューでリネカーのこのPKに関して、相手ゴールキーパーがダイブすることを読んでいたと発言しています。確かに、ゴールを決められたキーパーは「やられた!」という感じで頭を抱えています。しかし、キーパーのダイブした方向が逆であったら、脚で止められていた可能性もありました。つまり、ど真ん中、というにはリネカーのキックは甘いコースでした。PKを誘ったリネカーの狡猾なプレイやスルーパス一発でゴール前に通したポール・ガスコインのセンスが光る試合でした。

 ベルギー戦は、ベルギーにとって気の毒なものでした。シーフォ個人の才能は際立っており、両チームの中でもベストだったかもしれません。また、チーム全体としてのパフォーマンスもベルギーはイングランドを上回っていたように感じます。しかし、終了間際のデビッド・プラットのボレーがゲームを決めました。このアシストもガスコインでした。そして、このアシストはフリーキックでしたが、このフリーキックを取ったファールもガスコインが誘ったものではなかったかと私は思っています。それは、ファールを取った後のガスコインの相手プレーヤーに対する仕草から推し測ることができます。間違いなくこのセットプレーは練習を重ねたものです。ゴールからは少し離れた位置からの直接フリーキックで、フワリとゴール前に浮かせたガスコインの絶妙なフリーキックは芸術的でした。練習を重ねなければ、思いつきであそこへあのようには蹴れません。プラットは、後日インタビューで「あのゴールを決めたとき、これでイタリアへ移籍できると思った」と言っています。

 準決勝は、この大会の優勝国の西ドイツでした。サッカーに「判定」による勝ち負けがあったとしたなら、間違いなくこの試合に勝ったのはイングランドだったでしょう。延長戦が終わっても勝負はつかず、PK戦になります。このPK戦では、スチュアート・ピアースが真ん中に蹴り込んだところ、キーパーはピアースが蹴るなりダイブして、カメルーン戦におけるリネカーの2回目のPK同様に、ゴールが決まるはずでした。しかし、西ドイツにとっては運よく、イングランドにとっては運悪く、ダイブしたキーパーの脚にボールが当たり、普通だったらそれでもゴールするところ、ボールはゴールの外へ弾かれました。それに対して西ドイツは全員がPKを決めてきました。イングランドのキーパー、ピーター・シルトンは、いずれもボールの飛んだ方向にダイブしていますが及びません。こうしてイングランドが不利になった状態で最後のキッカーはクリス・ワドルでした。私が最も好きな選手です。彼がPKを外し、イングランドは西ドイツに敗れるわけです。ピアースは、ユーロ96の準々決勝のスペイン戦のPK戦で、この時の雪辱を晴らしますが、ワドルには二度とチャンスはありませんでした。

 私の手元にメル・スタインが書いたクリス・ワドルの伝記「CHRIS WADDLE The Authorised Biography」(Simon & schuster)があります。その序文でワドルは次のようにこのPK戦を回想しています。
I think the real problem was that I hit it too well. I made proper contact, but if I'd mis-hit it, I felt it might have gone in.
 私も彼の言うとおりだと思います。
 
 89年、ワドルがトットナム・ホットスパーからフランスのマルセイユに移籍した当時、マラドーナルート・フリットに次ぐ世界三番目の移籍金が生じました。それくらい偉大な選手でしたが、そのキャリアは華々しいものではありませんでした。プロになる前には、コベントリーサンダーランド、そしてニューカッスルに「背が低い」という理由で入団を断られます。その結果、ソーセージ工場で働きながら、パートタイムでノンリーグでプレイを続けました。その後、ニューカッスルに安い契約で拾われたのは、遅咲きといえる20歳のときでした。

 私がワドルを好きな理由は、彼が才能はありながら、長年冷や飯を喰ってきた苦労人だからかもしれません。イングランドでも彼は「労働者階級の英雄」と言われています。マラドーナとフリットは日本でも知らない人はいないのに、ワドルの日本での知名度は低すぎます。

 世界最高のディフェンダーといわれたACミランのパウロ・マルディーニは、引退のインタビューの中で、「対戦したくない選手は誰か」という問いに対して、ワドルの名を挙げたと聞いています。

 チャンピオンズカップ 1990-91の準々決勝では、ミラン対マルセイユのカードがありました。その日の試合でもミランのディフェンスラインは、芸術的なフラット4でした。そのディフェンスラインの一翼を担う当時22~23歳のマルディーニはワドルに翻弄され、ハイボールに競ったときには、後ろからワドルの後頭部に頭突きを喰らわせ失神させます。しかし、その後、左サイドからのクロスを中央にいたパパンがヘディングで右サイドのワドルにフワリと上げたパスで繋ぎました。ワドルはそのパスを右足のボレーでゴールに叩き込みます。左サイドのクロスからこのボレーに至るまで、ボールは一度も地についていません。まさに「神がかり」なボレーシュートでした。その時ワドルをマークしていたのもマルディーニでした。

 なお、私はこの右ボレーを見ても、またWikipediaのクリス・ワドルの紹介に彼の「利き足」が「右足」とされていても、彼の利き足は私と同じ「左足」だと思います。

(参考)
Youtube「Chris WADDLE but contre MILAN AC」(ワドルの右ボレー)
Youtube「Chris Waddle」(ワドルのマルセイユ時代のプレー集)
サッカーは世界の言葉
 土曜日は、娘の高校へダンスを観に行きました。小中学校の参観日なども含め、私が子供の学校へ行くのは珍しいことです。
 私はダンスが好きで、娘にもダンス部を勧めました。

 イングランド人の妻と一緒に出かけましたが、高校ではトリニダード・トバゴ共和国から来ているカップルと知り合いました。

 その時の会話の中で、私は彼らの出身国について次のように尋ねられました。
 当然、YesかNoで答えるべき疑問文です。

 それに対する私の答えは、
 でした。

 カップルの男性のほうは、大笑いして親指を立てながら「YES!!」と反応してくれました。
 しかし、女性のかたはまったく反応してくれませんでした。

 英国系の人たちとのお付き合いでは、ユーモアのセンスやウィットが非常に大事です。私の妻は純粋な英国人ですが、私は、英国系の女性とは機転の利く会話はできません。

ドワイト・ヨーク(Dwight Yorke)
トリニダード・トバゴ、カナーン出身の元サッカー選手、元同国代表。現役時代はイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドの三冠獲得に貢献したフォワード。
1999年4月チャンピオンズリーグの準決勝、ユベントスとの第2戦で、ヘディングで同点弾を叩き出す。また同じ試合の84分、敵ゴール前でボールをキープしたドワイトは、相手ディフェンス2人を相手に果敢にドリブルで中央突破を試みた。それが、アンディーコールの決勝ゴールにつながった。
カリブの島国トリニダード・トバゴの国家的英雄。
代表選考と人事考課
“サッカー通”キムタク、カズ落選「ビックリ」
2010/05/11 スポニチアネックス
岡田ジャパン23選手が発表された10日、サッカー好きで知られる「SMAP」の木村拓哉(37)が報道陣に対応し、カズこと三浦知良(43)の代表漏れを嘆いた。「落ちてビックリ。ユニホーム姿のカズさんがいるだけでチームに元気が出たはず。現実的な選抜になった」と感想。一方で「若い人を試してほしかった」と指摘した。

 プロスポーツのように、実力主義が明確な世界における代表選考でさえ、人の評価は難しく、見る人によって評価が大きく異なります。ここには、組織における人事評価の難しさに共通したものを感じます。

 スポーツの場合、勝つための戦術には、監督が全責任を負いますから、監督が選手を選ぶことに全権を持つことは当然です。サッカーのようなオフサイド以外は特に複雑なルールもないシンプルな団体競技で、監督が戦略を明確に示し、なおかつ選考までの間には予選やJリーグなどでの実践における実績を白日の下につぶさに観察した上でも人の評価は異なります。

 それが仕事であれ、スポーツであれ、こと人というのは複雑怪奇なものです。人の言動を、まるで物理学や数学のように、論理や合理で説明できるものではありません。「評価の納得度を高める」ためには考課者研修が重要だ、というようなことをおっしゃるコンサルタントの方々がいらっしゃいます。私は、このような発言を耳にすると、「これは研修の売り込みだな」と思います。

 こうしたコンサルの発言について私が言いたいことも、真意を測ることのできない人間らしさに帰することなのですが、結局、こういう話には、人事評価の客観性に、まるで絶対的な指標があるかのような神話を聞かされているような「感じ」がするのです。

 サッカーの場合、我々の個々の選手やチーム、戦術などに対する熱い思いが、選手の選考に一喜一憂したり、選考結果の論評をする要因となっているのでしょう。代表選考において、選手の評価基準を作り、その基準に基づき選手を評価して選考する人も監督というただ一人の人間であり、指標を合わせる研修などというものは元より必要ありません。

 私もサッカーに人一倍熱い人間として、こうしたサッカー代表選考に常に納得しているわけではありません。
 思えば、1994年アメリカ・ワールドカップでは、イングランドは予選落ちしました。イングランドは、ヨーロッパ予選は、オランダ、ノルウェー、ポーランド、トルコ、サンマリノと同じ組で、当然、オランダとともに予選を通過するものと思われていました。しかし、1993年4月、ホーム・ウェンブリーで行われたオランダとの試合では、プラットバーンズのフリーキックで2点を先制したものの、デニス・ベルカンプの1点から2-1のまま時間は経過します。しかし、試合終了の数分前に、デス・ウォーカーがペナルティエリア内で痛恨のファールを犯し、ペナルティキックで同点とされてしまいました。

 少し長くなりました。この時のイングランド監督はグレアム・テイラーというイングランド人です。私は、この監督が、当時、私の大好きな選手クリス・ワドルを代表に選考しなかったことが、まったく理解できません。なぜなら、当時のワドルは、年齢的には30歳を超えていましたが、ベストフォームを維持していたことは、当時のリーグ戦やFAカップでの活躍が証明していました。また、ワドルは国際経験も豊かであり、スパーズからマルセイユへ移籍したときに発生した移籍金も、当時、マラドーナフリットに次いで、世界で3番目の高額を叩き出したという能力の持ち主です。戦術的にも柔軟で、複数のポジションを高いレベルでこなすことができる希有のプレイヤーでした。もう一言言わせてもらうと、フランコ・バレージをセンターバックとする黄金時代のACミランフラット4をドリブル突破できたのは、多分このワドルと、後はガスコインだけです。

 私は、1994年にはシェフィールド、97年にはバーンリーで、彼の試合を観るために渡英しています。97年の渡英前には、本人の直筆でサインがされた手紙をもらいました。

 いずれにせよ、サッカーを愛する熱い人たちは、人を評価することの難しさを理解できる人たちではないか、ということです。
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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