同じ委員で日当格差/生駒市asahi.com 2008年03月01日
■有職者1万4千円/市民・市議ら5千円
■議会に提案へ「立場一緒では」の疑問も
市民や有識者らでつくる生駒市設置の委員会・審議会の日当は、現在ほとんどが1万4千円。県内12市の中で一、二を争う高水準だ。
経費節減のため、市は新年度から弁護士や大学教授ら有識者の日当を据え置いたまま、市民らの日当を一挙5千円に引き下げる条例案を3月議会に提案する。だが、同じ委員の日当に3倍近い格差が出ることに疑問の声もあり、議会で論議を呼びそうだ。(石原 孝)
財政健全化策として非常勤特別職の報酬の見直しを行う自治体が出始めました。
記事の「日当」とは、
地方自治法第203条の日額で支払う報酬のことのようです。
これには、行政委員会の委員のように月額の場合もあります。
非常勤特別職の報酬の見直しに関して、先進的な自治体は、静岡県浜松市です。
浜松市行財政改革推進審議会は、平成19年12月24日付けの「
平成20年度予算に向けた提言」の中で委員報酬の見直しを提言しています。
提言の内容は、各種委員会の委員等としての市政への参画は、基本的にはボランティア要素があるもので、報酬額は政令市最低額で設定し、併せてパブコメ等を活用し、委員会数の削減を図るというものです。
今回の場合、一つの審議会等における委員の報酬額が、「市民」「議員」「弁護士等の専門家」といったその委員の招聘基準により異なることが問題とされています。
記事によると、委員の中で日当に差をつけることについて、生駒市の担当者は、
「大学教授や弁護士の先生は、仕事の時間を削ってわざわざ市外から参加し、専門的な意見を出してくれるので同じ扱いはできない」
個人的には、生駒市担当者の説明は合理的であり納得がいきます。
また、前述のようにラディカルな浜松市行革審でも、医師、弁護士等専門職の報酬額は据え置きのようです。
市民として委員会に参加する男性は、
「弁護士さんたちは仕事みたいなもので、私たちは自分たちが住む街のために委員になっている。格差があってもしょうがない気がする」
男性市民のかたの考え方は非常に素晴らしく、自分も見習いたいと思います。
本市の非常勤特別職である各種委員には、報酬を辞退するかたもいらっしゃいます。
一方、市民と同じ日当5千円となる市議の一人は、
「同じ委員会に参加し、同じように意見を言っているのに、なぜわれわれの日当だけを減らすのか。格差をつけるべきではない」
と反発しているそうです。
議員については、一概には言えませんが、一般的には充て職のようなもので、ある種の市民代表として参加を要請されているものだと思います。
なぜなら、行政側の各種審議会に「議員」の立場で参加することは、当該審議会等に政治的な影響が懸念されるところであり、各種審議会を設置し行政外部からその専門的・中立的な意見等を取り入れる本来の趣旨にそぐわないからです。
その人が 「議員だから」「弁護士だから」といった属人的な資格ではなく、その人がその審議会等にどのような立場で招聘されているかが論点です。
この場合における報酬額の違いは、格差というようなものではなく、「合理的な区別」であるというのが、生駒市や私個人の見解です。
また、合理的であれ、そうした区別はしない、というのも一つの考え方であり判断です。
この一議員の見解の実現は、今後、官民協働が進展し、社会的立場を超え、すべての社会的アクターが一市民として社会参画するというコンセンサスが醸成されるまでの楽しみにしてとっておきたい気がします。
それまでの予見しうる将来においては、行政主導で報酬の引き下げを行わなくても、自発的な「
市民として委員会に参加する男性」のようなかたがたが増え、浜松市行革審の提言する試みが成功例となるのでしょうか。
このような行政への市民参加の機会には、企業は有給での休暇制度を整備するなどして、間接的にもまちづくりに参加してもらいたいものです。
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