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2008/07
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59歳以下なら誰でも
「59歳以下なら誰でも」 山口・周南市が新採用枠
asahi.com 2008年7月31日
 山口県周南市は来年度の職員採用で、学歴をいっさい問わず、年齢も59歳以下ならだれでも受験できる採用枠を設けた。名づけて「UIJターン・再チャレンジ」型採用試験。昨年度、一般の採用より年齢・学歴の条件を緩めたところ受験者が殺到したのに気をよくして、今回は条件をほとんど取り払った。

 基礎自治体の守備範囲は非常に広いものの、事務の性格は定型業務の遂行といったルーチンがそのほとんどを占めています。決められたことを、決められた通りに行うことが非常に重要な業務です。

 このような業務が主な業務である組織においては、同質的な人間で組織を構成するほうが好ましく、多様な人材は必要ないかもしれません。

 しかし、自治体が自らやるべきことを選択し、そのやり方を決め、その責を負う立場にある自治事務については、定型業務の遂行能力だけでは住民の福祉は向上しません。

 そこで、多様な人材を積極的に獲得するため、採用施策として採用条件を緩和することが考えられます。

 技術的には、選考をどのように行うかという課題もあるでしょうが、それより大きな課題は、こうした試験を実施する組織が、この試験をパスして入庁してきた人たちに対して、その年齢や職種に応じたキャリア・パスが提供できるか、という点です。周南市では、今回、事務、化学技術(水質検査)、 建築技術、管理栄養士、保育士・幼稚園教諭を募集しているようです。

 終身雇用制の社会で、組織は従業員のキャリア形成に対して非常に大きな責任があります。

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勤務時間 15分短縮
国家公務員15分時短を=民間準拠で09年度にも実現-人事院勧告
時事通信社 2008/07/30
 人事院は30日、原則1日8時間と定められた国家公務員の勤務時間を民間企業の実態に合わせ、7時間45分に短縮することを8月上旬の国会・内閣に対する勧告に盛り込む方向で最終調整に入った。時短実現には「一般職職員勤務時間休暇法」の改正が必要で、早ければ2009年度にも勤務時間が15分短縮される。国家公務員の時短が実現すれば、完全週休2日制を導入した1992年以来となる。


 記事は、
公務員の時短には批判的な意見もある。
 として、
有識者から「15分の時短は1時間当たり実質約3%の賃上げにつながる」といった指摘がある。
 としています。

 週休2日制を実施する際、それが実質的な賃上げになるという指摘はありましたが、それが争点となった記憶はありません。

 時短に対してこうした批判がされることは、以前も指摘しましたが、これは有識者がおっしゃっているということです。有識者の見解に私が疑問を呈するのも僭越ですが、この有識者の見解は、私の論理的な理解に馴染みません。

 なぜなら、公務員の給与決定ルールから考えると、
人事院勧告にのっとった給与改定を行うことにより、官民給与は均衡している。したがって、人事院勧告を完全実施している自治体においては、現在のところ民間と同じ給与水準で民間より15分間長く労働している状態にある
 と私は考えるからです。

 育児短時間勤務制度の導入時のように、例規整備が大変そうです。

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メガ・リージョンの攻防
 東海NPM研究会でお世話になっている細川昌彦氏(日本鉄鋼連盟常務理事、中京大学大学院客員教授 元中部経済産業局局長)が著書「メガ・リージョンの攻防」を出版されますので紹介します。

 細川氏の見解を東海NPM研究会での講演や個人的に伺ったお話の範囲内で紹介させて頂くと、氏はグローバル化が進んだ世界経済圏の中で、地域が生き残るために持つべき新たな視点と戦略を提言しているといえます。

 以前、東海地区の自治体は、しばしば当該地区が「日本の真ん中」だとし、その経済活動面での戦略的有利性をPRすることがありましたが、氏はそのノン気さを指摘しているのだと思います。

 また、細川氏は7月21日の日本経済新聞の「経済教室」に「世界的な地域間競争の勝ち残り戦略、メガ・リージョンの視点で」というタイトルで寄稿されていますので、ここに併せて紹介します。
国家公務員の定年65歳に
国家公務員の定年65歳に 人事院研究会が検討提言
中国新聞 2008/7/25
 人事院の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」(座長・清家篤せいけ・あつし慶応大教授)は二十五日、現在六十歳の国家公務員の定年を段階的に六十五歳まで延長することを検討するべきだと初めて打ち出した中間報告をまとめた。研究会は、二〇〇九年夏をめどに最終報告を出す。


 中間報告は、定年延長に向けた今後の検討課題を次の通りとしています。
(1)六十歳から大幅に給与水準を下げるなど人件費が増大するのを防ぐ方策
(2)昇進のスピードが落ちることによる士気低下を防ぐ方法
(3)六十歳以降はフルタイムで働きたくない職員の扱い方など

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平成20年 人事院勧告2
月給は据え置きで調整 08年度の人事院勧告
東京新聞 2008年7月29日 12時18分
 ボーナスに当たる期末・勤勉手当の勧告内容については、まだ民間との差を精査中といい、決まっていない。人事院は8月上旬に、内閣と国会に対し給与勧告を提出する方針。

 東京新聞にも平成20年人事院勧告に関する記事がありました。

 給料は据え置きで、官庁速報と同じ内容ですが、賞与に関しては情報が異なります。また、この記事では勧告日を明確にしていません。

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平成20年 人事院勧告
Facing The Sun


写真は「イングランド 写真の日々」から「Facing The Sun
by ukphotography




 7月28日付けの官庁速報によると、平成20年の人事院勧告は「8月5日」に行われるよう調整中で、内容は「ベアなし」&「賞与引下げ」となる可能性が高いそうです。

 1日当たりの勤務時間を15分短縮し、8時間から7時間45分とするかどうかの情報は、まだありませんでした。
人事考課の誤解
Thumbelina
写真は「イングランド 写真の日々」から「Thumbelina
by ukphotography

接写も好きになって来ました by 曽野田欣也
 

 人事考課を導入したばかり、あるいは導入を検討している組織の方から質問を受けることがあります。
 人事考課の評価シートの評価項目だけで全評価を決めて良いのものだろうか。
これは職員のキャリア形成のすべてに人事課が責任を負う組織においては、非常に自然な質問です。

 確かに、人事考課制度は絶対値による客観評価であり、そこにおける制約は給与原資の枠しかありません。しかし、この問いに対する答えは、当然「NO」です。

 ここで人事考課制度とは、目標管理制度、自己申告制度、面接制度等を構成要素として人事上の評価を行う一連の評価パッケージを指します。そして、人事評価とは、人事考課制度のほか、あらゆる評価項目を勘案して行う最終的な総合評価をいいます。

 人事考課制度の評価結果としては、当該制度に明記された事項以外の評価項目や、合理的でない指標に基づいて評価が行われれば、これは、人事権の濫用であり違法行為です。(住友金属男女差別訴訟が和解・大阪高裁 (2006/04/26) )

 しかし、人事評価として、人事考課制度による考課結果以外の評価項目について行った評価を勘案した結果、A査定がBやC査定になることは十分にありえます。

 ご質問は、明文化された人事考課制度が人事評価のすべてであるという誤解から生まれます。

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内部管理業務統一へ
Spring Rain

写真は「イングランド 写真の日々」から「Spring Rain
by ukphotography





新潟市、内部管理業務統一へ 経費精算や出退勤
nikkei.net 2008/7/25
 新潟市は市役所本庁や各区役所でバラバラだった内部管理業務を統一する方向で本格検討に乗り出した。同市は2005年に周辺13市町村を編入合併しており、職場ごとに仕事の進め方が大きく違っていた。職場間の調整など余計な仕事を無くすことで、職員数の削減につなげる。具体的にどのように改善するかを年内に詰め、必要なシステム構築費などを来年度の予算要求に盛り込みたい考えだ。

 統一を目指すのは経費精算や手当管理などの内部管理業務。これまでは職場ごとに処理方法が違い、無駄なやりとりなどが発生していた。共通のシステムを利用することなどで無駄な業務を減らす。これまで自己申告制だった出退勤管理も、タイムカードやICカードを使ったシステムにできないか検討する。

 業務の統一やシステム構築を提案する企業を16日まで募集しており、システム構築を手掛ける1社から応募があったという。

 魅力のあるツールですが、コストがネックです。

 出退勤管理を自己申告としている自治体は多いようです。その場合、36協定を締結しなければならない部署における時間管理には注意を要します。
2008年版「労働経済の分析」
Fox Glove

写真は「イングランド 写真の日々」から「Fox Glove
by ukphotography





 
労働白書:「仕事に満足」大幅低下 非正規増や成果主義、改善を
毎日新聞 2008年7月22日
 厚生労働省は22日、08年版の「労働経済の分析」(労働白書)を公表した。労働者の仕事に対する満足感を初めて取り上げ、雇用の安定や仕事のやりがいなどの面で満足度が低下していると指摘。
 背景として非正規労働の急増や成果主義賃金の導入などを挙げ、「日本的雇用制度への再評価が広がっている」と分析している。【東海林智】

 新聞では、厚生労働省が本日(22日)発表した08年版「労働経済の分析」(労働経済白書)をこぞって取り上げています。

 各紙の見出しを見てみましょう。
 今年の労働白書では、企業の生産性が停滞しており、その原因が成果主義や非正規雇用による労働者の満足度低下であるとしています。

 読売新聞では、白書が、
 制度を有効に機能させるには、まず評価基準の明確化や評価結果の説明などの運用改善、長期的には労使協力による望ましい賃金制度を構築する取り組みの必要性を強調した
 としています。

 少なくとも成果賃金の査定に関して「評価の納得性」を高めるための「評価基準の明確化」や評価の客観性の向上という一見合理的な神話は、もはや時代遅れといえます。金銭面での成果配分という考え方は、モチベーション管理の一部を構成するものに過ぎません。

 人間は、それほど合理的な生き物ではなく、資源ベースとして人を扱うことの難しさがここにあります。

 このような神話に時間と労力を割くのではなく、もっとチャレンジングな目標である人材の育成と働く人のキャリア形成支援について試行錯誤するべきであると考えます。

 なお、白書では小売業の「24時間」営業というビジネスモデルが、生産性向上を抑え、労働条件を後退させている懸念があるとして、その見直しを求めていますが、これはコンビニ業界の環境問題に対する消極的な姿勢への牽制でしょうか。
行政とコスト意識
救急車、軽症者の利用が大幅減…財政破たんの夕張で意識変革
2008年7月16日 読売新聞
 全国各地で安易に救急車を呼ぶケースが目立つ中、財政破たんした北海道夕張市では、軽症者の利用が大幅に減少している。

 危機感を抱く医療関係者らの呼びかけに、住民の間で「タクシー代わりに使うことはやめよう」という意識が芽生え始めた。(北浦義弘)

 救急車を「タクシー代わりに使おう」という意識の人もいるでしょうが、実際には救急車を呼ぶべき事態なのか否かを判断するのは、難しいこともあろうかと思います。

 我々は行政サービスの提供者としてだけでなく、その受け手としてもコスト意識を持つ必要があります。これは、税金そのものの使い方だけでなく、税金を使って提供される行政サービスにも適正な使い方があることを意味します。

 コスト意識が負担の公平感という観念にまで敷衍されていると見ることもできます。フリーライダーが問題とされる由です。

 この意識は、行政サービスだけでなく、様々な分野で顕在化しています。例えば、携帯電話の販売方式にもこれが表れており、DoCoMoのバリューコースなどこれまでインセンティブとして販売価格から割り引かれていた奨励金を含まない販売方式がビジネスモデルとして登場しています。

 いずれにせよ、こうした実態を掴むのが難しい人の社会的意識の現状や変化を読み取ることも政策立案においては、重要な要素となります。

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World e-Government
Mr. Yamazaki in Korea
山崎泰啓氏(浜松市副市長) in
World e-Government Mayors Forum 2008
世界35都市「ソウル電子政府宣言」を採択(中央日報 2008.7.9)



 渋々と言った感じですが、ご本人から承諾を得たので、ご紹介させて頂きます。

 浜松市学生寮の先輩である山崎泰啓氏(現浜松市副市長)が、World e-Government Mayors Forum 2008でプレゼンを行いました。

 リンク先は、ソウル市のサイトにある1時間6分の動画ですが、早送りして29分40秒の時点から山崎先輩の英語によるプレゼン(5分間)が始まります。

 世界に向かって自分のふるさとの情報発信ができるなんて、素晴らしいですね。

< Mayors Roundtable 2 >
Date: 8 July 2008, 11.00 - 17.00
Venue: Crystal Ballroom, Lotte Hotel Seoul
Participants: each city representative (mayor/vice-mayor/CIO), a group of experts

 山崎氏によると、日本のプレゼンは、市川市の千葉市長も英語で行い、横浜市の中田市長と東京都の谷川副知事が日本語で行ったそうです。渡辺大臣もいらっしゃったようです。

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自主勉強会とは何か
ヒツジの丘
写真は「イングランド 写真の日々」から「ヒツジの丘
by ukphotography


久々の更新に歓喜 by 曽野田欣也


 最近、職場で自主勉強会が組織できないかと思案しています。
 
 勉強会の目的は、職員個々の「政策立案能力の向上」です。

 勉強会での活動を通じて見聞を広げ、あるいは共通図書を読んだ上で個別の政策に関して議論を行ったり、情報を収集したり、世の中の趨勢を読んだりすることを通じて政策立案能力の向上を図ります。大きな組織における勉強会ならば、普段は顔も名前も知らない職員同士の縦と横のつながりを持つキッカケにもなるでしょう。

 こうした勉強会は、35歳くらいまでの若手職員を中心に行うのが好ましいと考えます。なぜなら、勉強会の成果は、短期的には出ないものだからです。若手職員が、今後、中堅となり、幹部となって行く過程で政策職員という太くしっかりとした木に成長していくことが成果です。

 その過程においては、勉強会の木に実った果実のデキを発表する機会もあれば長期的なモチベーション維持も図れるでしょう。具体的には、発表会を催してプレゼンをしたり、論文にして庁内発表したりするのも良いと思います。そのうち庁舎の中から外へ、市内から市外へ向かって提言をし、外でも議論されるような政策が生まれてくれば、それは本市にとっても非常に有益なことでしょう。

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「カイゼン」は業務
2008年7月19日 asahi.com
「カイゼンは業務」浸透 製造業、見直す動き 本社調査
 生産現場の従業員が集団で取り組む自主的なQCサークルなどのカイゼン活動について、国内の大手製造業の間で「業務」として位置づけたり、報酬を支払ったりして見直す動きが相次いでいる。朝日新聞が全国の主要製造業50社を対象に実施したアンケートで明らかになった。活動のマンネリ化といった課題を抱える企業も少なくない。

 QC活動は、社員の自発性に訴えて取り組む一面はありますが、それが残業手当を支払わない根拠となり、実態は、使用者の管理下で行われる「業務」と変わりない運用がされていることも多かったようです。

 イギリスでは、電車もバスも時刻表どおりに来ることは、まずありません。しかし、イギリスの労働者は定時になると、さっさと仕事を終えて帰っていきます。

 私は、日本人は労働時間管理にルーズな面があるのではないかと思っています。何事もキチンと行い、電車などもダイヤどおりに発着する几帳面さとは対照的です。

 名古屋地裁判決(11/30)が出て、2007年12月14日に確定したトヨタ過労死事件では、欧米のマスコミがこぞって報道したのにも関わらず、日本の民放ではあまり取り上げられなかったという報道もありました。(2008年01月15日 livedoorニュース)

 最近では、「名ばかり管理職」の問題も出て来ました。

 時間管理は雇用契約の根幹であり、労務管理の基本です。

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部下と上司の傾向と対策
 総務省の岡本全勝審議官が、部下指導についてHPに書かれています。オモシロイので引用させていただきます。

岡本全勝のページ 2008/7/18
(部下の指導)(抄)
 部下の何人かは、私の「傾向と対策」を知りません。こちらも、部下職員それぞれの、仕事の「癖」を知りません。その距離感をつくるのに、時間がかかっているのです。
 いろんな角度から質問をすると、補佐たちの考えた結論は、良い結論になっているのです。ところが、その説明たるや、自分が理解したところで終わり、相手にわかってもらおうという、「サービス精神」が欠けているのです。

1 早く報告と相談をせよ。
2 つばを飛ばして説明せず、紙に書け
3 経緯はよいから、結論を先に書け。1枚にまとめよ。
4 一目でわかる標題にせよ。日付と発信者を明記せよ。

「明るい係長講座」と同じことを、繰り返し言っていますね。

 「全勝審議官の傾向と対策」を知らない若手補佐からは、「うるさいやつだ」と言われているでしょうね。もっとも、これは今に始まったことではありませんから、部屋に戻って「やっぱり今度の審議官は、うるさいわ」と言っているのでしょう(笑い)。

 本市では目標管理制度を導入しており、私は今年度の目標の一つを「説明できる部下の育成」としています。

 私の場合は、4人の部下とこれまで何年か一緒に仕事をしてきており、みな「曽野田係長の傾向と対策」をよく心得ていますので、私は非常に楽をさせて頂いています。
 それでも、これを目標の一つにし、部下に多々説明を求めるのにも理由があります。

 まず、これにより私が部下から知識を得られますし、部下も質問されることにより、時には異なる側面から物事を捉えることを知り、時には起案するまでの自分の考えてきた道のりを再確認できるでしょう。こうしたことの繰り返しにより、課長や部長、そして特別職へ稟議を持ちまわる場合や対外的に説明をする場合にも説得力のある説明ができ、説明することにも自信が涌いてきます。これは、私が起案する場合も言えることです。

 それでも、岡本審議官の「相手にわかってもらおうという、「サービス精神」が欠けている」という指摘は、上司と部下との関係に限らず、他課との調整の場合や行政が市民に対して説明する場合にも当てはまる大事な点です。

 さて、岡本審議官は、部下に「うるさいやつだ」と思われているだろうことを笑い飛ばしています。確かにこんな有名な審議官の「傾向と対策」を知らない若手補佐は、アンテナが低すぎると思うのは私だけでしょうか。
昇任試験に閑古鳥
ブサイク林檎


写真は「イングランド 写真の日々」から「ブサイク林檎
by ukphotography





「出世より自分の時間大切」名古屋市の昇任試験が閑古鳥
asahi.com 2008年7月16日
 名古屋市役所の係長の昇任試験を受ける職員が減り続けている。98年度に1357人いた「行政事務」分野の受験者数は、07年度には522人と、ほぼ3分の1に落ち込んだ。出世より、自分の時間を優先する生活スタイルの変化が大きな理由と市はみている。

 「昇任試験のための受験勉強より、子どもとの時間を持ちたい」

 ある管理職は部下に係長試験の受験を勧めたところ、こう断られた。

 ある幹部職員の方からご紹介頂いた新聞記事です。

 人材の育成の難しさと大切さの両方が、本市にも共通する課題として見えてきます。

 本市には昇任試験がありませんから、名古屋市職員のようなことは起こりえませんが、私は昇任試験のための勉強と子育てが両立しえないものだとは考えません。

 子供もいつか親との時間を持ちたがらない年頃の時期が来ます。また、受験期が子育ての大事な時期に当たることもあるかもしれませんが、学校の受験と同じで、昇任試験のために必要となる集中的な勉強期間は、職業人生の一時期に過ぎない、ということもいえます。

 したがって、これは二者択一の考え方で捉えるべきことではないと思います。それに、出世と家庭を天秤にかける問題でもないと思います。個々の職員が自律的にキャリアパスを描いているのか、という点が大事です。

 また、その一方で、人事は組織として人材の有効活用の観点から、職員に対してどのようなキャリアパスを提示できるかが問われます。新卒採用した者を終身雇用するシステムを継続する組織において、この役割と責任は未だ大きいと言えます。 

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銚子市 給与削減措置
Forest Showcase

写真は「イングランド 写真の日々」から「Forest Showcase
by ukphotography


 2008年7月16日の官庁速報によると、本年5月に報道された千葉県銚子市の給与カット条例が可決されたそうです。

 記事では、市が全職員を対象とした給与抑制に踏み切るのは初めてとし、削減率は部長級らが給料の6%、主事級は1.5%ですが、期末手当などへの影響を含めるともっと高い率になるそうです。

 削減措置の内容は次のとおり。

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教員と労働時間の法理
 以前、「教員の残業」について考えました。

 これに関連し、時代的にオモシロイ論文があったので紹介します。

 島田信義教育公務員と労働時間の法理」(PDF)

口ひげで人事評価マイナス
小さな本の王国

写真は「イングランド 写真の日々」から「小さな本の王国
by ukphotography




<人事評価>口ひげ理由は人権侵害…大阪弁護士会が是正勧告
毎日新聞 2008年7月15日
 口ひげを理由にマイナスの人事評価をしているのは人権侵害に当たるとして、大阪弁護士会は15日、日本郵政グループの郵便事業会社に是正を求める勧告書を送付した。

 同会は「無精ひげまで認めるべきとは言えないが、手入れされている場合は人格権の一部として保護されるべきだ」と判断した。

 服装やヒゲなどの身だしなみも、労働条件の一部を構成します。接客業などにおいて、お客様に不快感を持たれないような身だしなみが求められるのは当然なことです。

 こうした合理的な理由により、身だしなみについて服務規程等で定めておけば、この規制は合法であり、職員に対して拘束力を持つと言えます。

 しかし、この規制が合理的な範囲でなければ、それは争う余地があります。本件の場合、一般的に「ヒゲはすべてダメ」とするものであれば、行き過ぎの感が否めません。

 公務員の場合、「人事評価」がブームでどの自治体も「目標管理制度」や「コンピテンシー」に基づいた人事評価制度(人事考課制度)を運用しています。これらの制度は、「評価シート」に記載されたことのみに基づいて評価するのがルールですが、A4用紙一枚の両面に記載できることで、評価対象とされる項目を網羅できるわけがありません。

 評価シートによる評価の客観性にばかり囚われて、評価シートにない事項を評価の対象に取り上げ、職員を総合的に評価することの重要性は、能力評価・実績評価などと言われている中で盲点になっています。

 なお、ヒゲと服務規律に関しては、判例にも次のようなものがあります。

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海外日本企業の人材形成
海外日本企業の人材形成



小池和男「海外日本企業の人材形成」(東洋経済新報社)






 労働力の流動性の乏しい日本の労働市場では、多くの場合、社員は終身雇用を前提として、長期雇用の中で人材育成されていきます。

 同業他社が多数存在するとはいえ、実態として地方自治体に競争優位の考え方や人材に対する資源ベースの視点で考えることが妥当か、という疑問はあるでしょう。また、行政には、海外は元より国内にも競争相手はいない、という主張もできるでしょう。

 それでもなお、私の人的資源管理の考え方は、以前にも述べたとおり資源ベースで人材を捕らえる視点に影響を受けています。

 私は人材育成をしていく上では、中長期的な視点が欠かせないと考えます。この視点は、人事評価をしていく上でも必須であろうと信じます。また、現在の人事評価制度は、短絡的な成果主義に陥っているものが多く、短期的な視野しか持てない人間を培養している弊害をもたらしています。

 行政とは直接関係のない著書ですが、以上の点において、共感するところ大でした。

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超勤管理も評価対象
官のシステム








超勤管理も評価対象に=来年度施行の新人事制度-国家公務員
時事通信社 2008/07/12
 政府が2009年度の導入を目指す、能力と実績の両面に着目した国家公務員の新たな人事評価制度の概要が12日、明らかになった。課長級職員については、新たに部下の超過勤務を含めた業務管理状況を評価対象に追加。これにより政府は、いわゆる「居酒屋タクシー問題」で表面化した、連日深夜に及ぶ超勤の縮減につながるとみている。

 厚生労働省が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)を出しています。

 また、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(基発4号)では 「適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備」として「賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施」を提唱しています。

 客観的な数値で把握できる残業時間数や、その削減時間数は、目標管理の指標として非常に具体的かつ定数的であり理想的です。

 しかし、「長時間無定量拘束とでもいうべき霞ヶ関の「管理なき人事管理」」(*1)と言われるように、国家公務員の残業には構造的な問題があるように思います。残業管理を評価対象とすることが、課長級職員に対する無理強いにならないように、残業の原因を組織的に分析し、対策を示した上で実施してもらいたいものです。

(*1)
大森彌「官のシステム」(東京大学出版会)第143頁

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教育長の非常勤化
チェリー

写真は「イングランド 写真の日々」から「チェリー
by ukphotography


これも大好き by 曽野田欣也




初心忘るべからず」の「先進的って何だ?」経由で、

教育長を非常勤に 行革の一環 中頓別町議会、提案検討
北海道新聞 2008/7/13
 【中頓別】宗谷管内中頓別町議会が、行政改革の一環として教育長の非常勤化を可能にする条例案の議員提案の検討に入った。文部科学省の指導もあり、教育長の非常勤化は全国で例はないが、大分県の教員採用汚職で教育委員会のあり方が問われる中、人口二千二百人のまちの議会は千葉大の新藤宗幸教授(行政学)をアドバイザー役に、文科省などの壁に挑む。

 教育長を非常勤化することの行革メリットは記事からは明確でないが、給料や退職手当を含む手当の削減が考えられます。 
 
 教育長を非常勤にするには、一般職のままで良いか、それとも特別職としなければならないかという論点がある。一般職にも地方公務員法第28条の5の「短時間勤務の職」があるが、これを教育長に適用することにはムリがあるので、今までの法令上の運用のままで特別職と解釈しようとしているのでしょう。

 教育長が一般職であることについては、以前「教育長は一般職か特別職か」で検討しました。

 kei-zu氏も京都府東部3町村の「相楽東部広域業務連携協議会」の例から「教育委員会の一本化は例がないそうですが、であればこそ、小規模自治体において法定行政委員会として必置である意味が問われているような気がします」と述べておられます。これは合併しない小規模な自治体における教育長のあり方に留まらず、教育委員会の存在意義に問題提起をするものとも捉えられるでしょう。

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人事評価のリハーサル試行
雨の日

写真は「イングランド 写真の日々」から「雨の日
by ukphotography


日本人が撮影した写真とは思えない感性の映える一枚 by 曽野田欣也



 総務省と人事院が「人事評価のリハーサル試行実施要領」(PDF)を公表しました。

 国の人事評価制度の内容は、「業績評価(目標管理)」と「能力評価」の二つを核として、面接制度や自己申告制度を含むもので、多くの自治体で導入されている人事考課制度と同じものです。

 「人事評価シート」に記載された事項が、評価項目のすべてではありません。シートには議会対応の巧拙や答弁書の内容など、行政が国民・市民に対して説明責任を果たすという最も重要な務めの一つを評価の対象としていません。

 査定昇給や賞与査定を行う場合、「人事評価シート」にない評価項目について、どのように評価するのか、また、当該評価はどこにどのように反映されるのかを明確にしておく必要があります。

(参考)
森沢徹「「業績評価」再考(PDF)」(知的資産創造 2000年11月号)
藤田信「自治体における能力・業績評価の導入について(PDF)」(地域経営ニュースレター Dec. 2001 Vol.40)
櫻井通晴「定量的な目標設定・業績評価の考え方と活用事例」(国内有識者インタビュー 2006年10月号)
総務省「人事評価研究会報告書」(平成12年5月)
総務省「人事評価の試行
総務省「「人事評価の試行」のアンケート結果(主要なもの)」(PDF)

九電、育児支援を拡充
バレンタイン

写真は「イングランド 写真の日々」から「バレンタイン
by ukphotography


ベリーは大好物 by 曽野田欣也



九電、育児支援を拡充 休職延長や勤務時間柔軟に
nikkei.net 2008/7/10
 九州電力は、社員の仕事と子育ての両立を支援する制度を拡充した。育児休職制度や短時間勤務などを拡充、休職中に自宅で仕事の情報を得られるインターネットプログラムも導入した。子育て中の女性社員らが働きやすい職場にすることで優秀な人材確保につなげる狙い。九州随一の大企業である九電の子育て支援策強化は地域の他の有力企業にも影響を与えそうだ。

 男性の育児休業の取得を推進することよりも、まずは女性が子育ての主体となっていることが多いといえる実態から、女性にとって働きやすい環境を整備することが先決でしょう。

 女性や男性といった性別にこだわらず有用な施策もあります。例えば、育児休業中の庁内情報へのアクセス、休業から復帰間際の復帰プログラムなどです。

 制度的には、育児短時間勤務を小学校就学前からそれ以降に延長することです。

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職能給と能力主義の皮肉
Idyllic

写真は「イングランド 写真の日々」から「Idyllic
by ukphotography


私が好きなイングランドがここにあります by 曽野田欣也


 職階制を廃止し、人事評価を規定する改正地方公務員法は、前国会においても可決されず、継続審議となりました。

 改正地方公務員法は、職務給原則の徹底を謳っています。これは、職能給制が職員の高齢化とともに人件費を肥大化させたことも、改正の要因であろうかと思います。

 職務給の場合、同一労働同一賃金に近い運用になります。管理職手当の定額化もこの考え方に近いものです。

 人件費高騰の原因は、職能給制そのものではなく、同制度を適切に運用してこなかったことにあります。つまり、職能給制は職員の能力向上に伴い上昇する賃金制度のはずなのにも関わらず、能力の評価もなく定期的に昇給させてきた運用が問題であるということです。

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栃木県 産休代替の事前登録制
風車の丘

写真は「イングランド 写真の日々」から「風車の丘
by ukphotography


歩いてみたい、この道 by 曽野田欣也



栃木県、産休・育休職員の代替人材の事前登録制を導入
2008/7/5 nikkei.net
 栃木県は産休や育休を取得する県職員の代わりを務めてもらう臨時職員を、試験で事前選抜する新制度を始める。県職員の女性割合が高まっていることを踏まえた措置。出産や子育てがしやすい環境を整備するとともに、職員が欠けたことによる行政サービスの低下を防ぐ狙いがある。今年度は約40人の登録を予定している。

 「栃木県産休・育休代替職員任用候補者を募集します」を見ると、服務面では忌引休暇や夏季休暇もありますし、給与面では次のように正規職員にほぼ準じた勤務条件が提供されるようです。
144,500円(高卒)
166,900円(大卒)
※学歴、職歴等に応じ加算措置があります。
※このほか、通勤手当、扶養手当、期末・勤勉手当、超過勤務手当、住居手当等がそれぞれの条件によって支給されます。

(参考)正規の試験を受けた場合の初任給:1級29号給 178,800円(大卒)
1級9号給:144,500円(高卒)
1級23号給:166,900円(大卒)

 育児休業に係る任期付職員の登録制は珍しくないのですが、栃木県の場合、勤務条件は正規職員に準じていてフルタイム勤務なのにも関わらず社会保険に加入することになっているので、任期付職員ではないことが分かります。

 このような登録制をやってみたいところですが、臨時職員として補助業務に携わる方でさえ確保するのが困難な状況にあります。

 教員等の資格専門職ならまだしも、一般行政職について、このような事前登録制が果たしてどれくらい有用なのか疑問です。大都市には、人材の供給があるのかもしれません。

 どのような方が応募され、合格されているのか興味があります。

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夏季賞与 賞与連合調べ
 連合のHPに7月2日集計分の「年間一時金・夏季一時金第8回回答集計(7月2日集計分)」(PDF)がアップされています。これを見ると、昨年よりも7,368円の減です。

 中小企業の賃上げも2%を確保できていません。

 来月は早いもので人事院勧告です。

(参考)
連合 春季生活闘争「一時金
連合 春季生活闘争「賃金
職員の校内喫煙は勤務条件
あぢい
写真は「イングランド 写真の日々」から「あぢい
by ukphotography


25歳の9月 ロンドンは確かに暑かった by 曽野田欣也


職員の校内喫煙に司法がお墨付き 仙台地裁判決
河北新報社 2008年07月01日
 仙台市が実施している市立学校敷地内での禁煙施策をめぐり、市立中学校勤務の男性教諭(57)=泉区=が、喫煙許可などを求めた措置要求を棄却した市の判定取り消しを求めた訴訟の判決で、仙台地裁の畑一郎裁判長は30日、「どんな場合でも敷地内喫煙を禁じる趣旨の職務命令ではない」と施策の強制力を否定した。

 措置要求の対象は、「給与、勤務時間その他の勤務条件」(地方公務員法第46条)です。

 勤務条件とは、職員が地方自治体に対して役務提供するための労働条件で、一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項とされています。(法制意見昭26.4.18 行実昭35.9.19 自治丁公発第40号)
 橋本勇氏は、著書「逐条地方公務員法」の中で、「この定義による勤務条件の範囲は広きに過ぎると思われる」としてますが、「執務環境、当局が実施する福利厚生、安全衛生などその範囲はかなり広いものである」とも述べられています。

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ポスト成果主義 高橋伸夫
犬のフン禁止!

写真は「イングランド 写真の日々」から「犬のフン禁止!
by ukphotography


笑えます。この湯気のリアルさ by 曽野田欣也



ポスト成果主義 スタンドプレーからチームプレーに 高橋伸夫
nikkei.net Biz+Plus 2008/06/30
 2004年に出版した『虚妄の成果主義』(日経BP)が思いもよらずベストセラーになったことで成果主義に関する取材をいまだに受けますが、少々辟易しています。
 経営学者である私の専門は経営組織論や意思決定論で、人事労務問題が専門ではありませんから。もう成果主義ではなくて、専門の企業経営について聞いてくださいと言いたくなります。

 ナショナルミニマムのサービスを提供することを専らの役割としてきた自治体において、職員のコア・コンピタンス(core competence) は何かと問われると弱いところがあるのですが、私の人的資源管理に対する考え方の基本は、RBV(resource-based view)にあります。

 そんな私が高橋教授の主張の中で賛同するところは以下の部分です。

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プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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