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自治体職員の28%は非正規
霧の朝

写真は「イングランド 写真の日々」から「霧の朝
by ukphotography




自治体職員の28%は非正規 8割は官製ワーキングプア
中国新聞 2008/9/29
 自治労が二十九日発表した地方自治体職員の勤務実態調査で、臨時雇いや非常勤などの非正規職員が全体の27・8%を占めることが分かった。非正規職員の80%程度は「年収二百万円以下の官製ワーキングプア(働く貧困層)に該当する」とみられる。

 非正規職員の80%程度はワーキングプアであるとする根拠は何でしょうか。また、それ以前にワーキングプアの定義も確立していない、と認識しています。

 行政や大企業では、正規採用枠の中心は終身雇用を前提とした新卒者が占めています。そういう意味で、ワーキングプアは、新卒者で正規職員という身分を望みながら、公務員試験に合格できずに非常勤職員という身分で働いているかたを指しているのでしょうか。

 私自身、公務員試験の勉強のため大学卒業後、就職浪人をしたことがあり、その時には日本の雇用慣行の厳しさというか、融通の無さによる職業選択の不自由さを痛感しました。そういう意味では、安部政権の「再チャレンジ支援策」は社会習慣を変えるソフトパワーの政策として評価していました。岡本全勝氏も関わった再チャレンジ室の解散は非常に残念なことでした。

 様々な職業や職種があります。働く人たちがキャリア形成をしていく上で、役所を含めた個々の事業所が、あらゆる職種のキャリア形成に責任を持つことが理想です。

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昇格選考のフィルター 3
第6のフィルターは、
新しい経験は古い経験より有用である

 異動により若いときに配属されていた部署に戻ることがあります。これは、教育異動期間といわれる採用後10年間を経過後に、適性を判断された上で起こりえることです。こうした異動はあくまで適性をみた配置であり、「前にいたから、その時の知識が役に立つ」という安易な考えによる配置ではありません。同じ部署に同じ立場で配属になっても、当該職員の経歴(キャリア)にとってプラスになることは少ないと思います。いずれにせよ、古い知識は役に立たないばかりか、本人が忘れているものです。


第7のフィルターは、
責任の重い業務の経歴は、軽い業務の経歴より有用である

 このフィルターは、昇格管理を行う上で難しい一面を有しています。例えば、広範な領域における管理経験を持った職員は、組織上は高位であっても単純な繰り返し作業の部署における管理には適格であるとは限りません。理想は、職員の経歴がそうした職務上の経験を段階的に踏んで来ていることです。

第8のフィルターは、
進歩性のある経歴は、その程度の低い経歴より有用である

 これは第7のフィルターとも関連しますが、段階的に職務の責任と複雑性が増加した人の経歴は、それが減少した経歴よりも有用であるという意味です。参考文献には、理由は述べられていませんが、「経歴を実際に評価する場合、適用するにはなかなか問題が多い仮説である」としています。私はこの仮説(フィルター)の問題は、仮説自体の妥当性ではなく、職員の経歴が当該職員の能動的な意思により形成されるものではないので、公平性の点で問題があるのだと考えます。

 こうした仮説(フィルター)に基づく検証は、配属先の経歴や担当事務分掌、人事考課の結果などの人事記録のほか各配属先で誰と一緒に仕事をしたか、というところにまで及びます。

 以上、演繹法で昇格者を選考する場合について、今では古いと思われるような古典的な仮説を含めて紹介しました。これらのフィルター自体の仮説としての有効性は個々の判断に任せます。人事課へ配属された職員は、最初は「職」の理解から始め、最終的には自分なりのこうした仮説を持つようになります。人事担当者の「人」の理解は、基本的にライン管理職からの情報によるところが大です。「人」の理解に対する人事担当者の視界の広さは、組織規模に反比例します。

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)

(参考)
鷺板由紀子他「昇格選考における論文評定の分析:多変量一般化可能性理論を用いた信頼性の検討」(PDF)
江口克彦「平均的大企業の平均的人事規定」(公務員制度の総合的な改革に関する懇談会(第5回)資料1 委員提出資料)(PDF)
三鷹市「異動・昇任昇格
三鷹市「人財育成に貢献する諸制度
宝塚市「宝市職員昇格審査委員会規程
宇津木誠「企業の昇進昇格制度と人事評価の現状と問題点」(PDF)
寺畑正英「人事考課における客観的評価と昇進・昇格システム」(PDF)
上原克仁「大手企業における昇進・昇格と異動の実証分析」(PDF)
丸山悠司「研究開発管理の問題点 : 資格構成と昇格評価の方法」(PDF)
みずほ総合研究所「みずほリポート(2008/8/20)」(PDF)
島貫智行「人材マネジメントの分権化と組織パフォーマンス」(PDF)
W.A.スピンクス「シンプル評価主義への提案」(PDF)
安田均「富士通新人事制度における成果主義と能力主義」(PDF)
昇格選考のフィルター 2
 第2のフィルターは、
職務遂行能力は、経験年数に正比例する。
というものです。
1年目より2年目。2年目より3年目の方が、職員の職務遂行能力は上がると考える仮説です。これは、査定昇給前の定期昇給の考え方の基礎にもなっています。また、注意しなければならないのは、経験年数による職務遂行能力にも二つの物差しがあり、一つは配属先の当該業務に対するものであり、もう一つは、一般的な行政組織の中で求められる職務遂行能力です。

 これには、学歴による差を無視しているという指摘もありますが、選考対象者の抽出の時点で、高卒より大卒の基準経験年数の方が少ないのが普通であり、この学歴による抽出条件の違いが、学歴による職務遂行能力の修得効率の違いを勘案しているものだと私は考えています。なぜなら、大卒であったとしても、法科出身者ばかりとは限りませんから、大卒者がすべて法令に対して親和性が高いとはいえないからです。

 選考対象者を学歴ごとの経験年数で抽出する限り、この仮説は抽出の段階で採用されていると私は考えます。

  第3のフィルターは、
ある経歴がある職務に対して有効であるためには、その前に一定限度の経歴又は学歴がなくてはならない。

 昇格のためには、昇格前に一定の実務経歴がなければ昇格後の職務を果たすことができないという仮説です。これは研究職の場合には有用な仮説で、研究の補助員の場合、必ずしも当該研究に関する基礎理論を学んでいるとは限りません。したがって、研究補助員の経歴は、研究員への昇格に当たって、必ずしも有用な経歴とはなりません。専門職には適用されうる仮説ですが、基礎自治体では、あまり必要のない仮説だと思います。

 第4のフィルターは、
ある職務に対して同じくらい有効な学歴と経歴は、それぞれ同等と考えられる。

 これは前提条件として、「同程度に有効」という場合の「程度」がどのくらいのものであるのか、という計測がされていないといけません。昇格対象の職務に対して必要とされる経歴と同程度の学歴を設定するわけですが、学歴を重視していない場合は、この仮説は必要ありません。

 第5のフィルターは、
一定以上の学歴や経歴は、それ以上いくら増加しても有効性は増加しない。

 これは経済理論のようなもので、学歴と経歴の有効性は限界的に逓減するということです。
 経歴について例えると、一定の職務で1年目に100のことを学んだとすれば、2年目には50しか学ぶことはないでしょう。そして、3年目には10か20のことしか学べないのではないでしょうか。この逓減率は、その経歴により異なります。部署内でのジョブ・ローテーションの有無によっても異なります。

 学歴の場合も同じことが言えます。いくつもの学位を持っていることが必ずしもインテリではありません。

 次回は、昇格基準のフィルターの残り3つを取り上げます。

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)
テレビ局の取材を受ける
 今日は、SBS(静岡放送)のかたが市役所におみえになって、私と関係職員が取材を受けた。
 どのような取材だったかというと、うちの市役所は、男性職員の育児休業取得者が多い、ということで、どのような取り組みをしているのか、という趣旨で、人事担当者の私と育児休業を取得した男性職員にインタビューをしたいということであった。

 本市の男性職員の育児休業の取得率は、3%強。平成19年度には2人の取得者がいた。女性職員の取得率は、ほぼ100%である。

 平成18年8月には、市長が「夫の子育て後押し宣言」をし、月一回の全職員への訓示においても子育てに言及されることが多い。それを受け、人事担当課として制度周知のためのパンフレットやハンドブックを作成し、ネットワーク上に掲載をしている。また、配偶者の出産した男性職員だけでなく、出産予定の女性職員も含め、管理職は「子育て職員名簿」を作成して、当該職員に子育て関係の休暇制度等を周知することになっている。

 こうした取り組みの成果であろうか、ほぼ毎年数人の男性職員が育児休業を取得するし、また出産補助休暇や育児参加休暇を活用している。

 職員の私生活とそれに伴う働き方の多様性を受け入れることは、組織の活力につながるのではないか。人事にとって、ワークライフバランスの支援は一つの戦術である、と私は考えている。どこの自治体も法令にのっとり同じ制度を導入する。これは与件だとすれば、競争優位を創出するのは、そうした制度を職員が活用できるよう職場環境の整備をすることである。これは民間企業においても同様である。環境政策と同様に、働く人のワークライフバランスに取り組む姿勢は、企業イメージの向上につながるだろう。「民間は厳しいからワークライフバランスなんて関係ない」というのでは、優秀な人材は集まらない時代である。

 男性職員の育児休業取得率が低いのは、ある意味仕方がないと思う。なぜなら、育児休業は無給である。だから、男性職員の方が、配偶者より収入が多いことが多いので、主たる所得者よりも低い所得者である女性の方が育児休業を取得するのが普通であろう。それに、男性職員の配偶者は、専業主婦である場合が半分以上を占める。配偶者が専業主婦の場合、その男性職員は、育児休業が取得できない。こういうことも知った上で、男性の育児休業取得率について考える必要があるだろう。

 取材に来られたディレクターは、若い闊達な感じの女性の方で、毎日のように社会の動きを追っている生き生きとしたジャーナリスト、という感じであった。「常に社会の動きを追っている」・「常に現場にいられる」、ということは、政策を立案する者にとって、非常に羨ましいことである。
 私がそのディレクターのかたに「磐田ゼミ」でのレクチャーを依頼したのは言うまでもない。

 なお、今日の取材の様子は、10月7日(火)の静岡放送テレビ夕刊」で6分間ほど放送されるそうである。磐田市役所の取り組みに興味のある方は、ご覧ください。
昇格選考のフィルター
 誰を昇格させようかを検討する場合、選考の基準はいくつかあります。

 第一段階として、対象者の抽出から始めますが、これにも基準があります。最も一般的なものは、「学歴」ごとの「勤続年数」です。例えば、ヒラ職員から最初の昇格として「主任」の選考対象者を抽出する場合、高卒ならば勤続10年、大卒ならば勤続6年、といった基準を設けます。

 「学歴」と「勤続年数」は年功序列主義の最たるものです。この是非は別にして、成果や実績の明確でない公務組織においては人事考課の評価と並んで、経歴の検証は非常に難しい課題です。

 昇格選考は具体的にどのように行われるのでしょうか。
 行政組織における一般的な手法は、「演繹法」により行われます。つまり、昇格対象職位(この場合は「主任」)に必要とされる職能の最も確からしい保有者を選ぶわけです。この前提として「主任」に求められる職能が明確化されていないといけません。

 帰納法は、昇進前の経歴等についてすべてを集めて、そのデキを検証し、その結果から結論を導く方法で、非常に手間がかかります。

 演繹法では、いくつかの仮説を立て、その仮説に基づき判断した結果から結論を得ようという方法です。演繹法で用いられる「仮説」は、常識的な当たり前に思われるような事です。それ故に仮説の妥当性の検証も一般的にはされていないと思います。この「仮説」が昇格選考のフィルターと私が呼ぶものです。

(第1のフィルター)
 昇格対象職位の職務に対して、親近度の高い経験は低い経験に優る

 当たり前で当然な基準ですが、選考に当たっては、当たり前のことを手間をかけてキッチリと行わなければなりません。その際重要なのは、序列法、要素比較法、点数法など比較方法についてよく検討した上で、バイアスを掛けず客観的に行うことです。

 例えば、Aさんが選考対象者だとすると、人事課はAさんの経歴を調べ、昇格対象職位に近い経験をしているかしていないか、経験しているのならば、どれくらいの親近度があるのかを検証します。この場合、言うまでもないことですが、どの部署でどの業務を担当したかが重要です。

 第2のフィルター以降は、次回にします。

(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会)
岡本全勝氏 首相秘書官に
総務省から初起用=首相秘書官 6人に増員-自民・麻生氏
時事ドットコム 2008/09/24
 自民党の麻生太郎総裁は24日、事務担当の首相秘書官に総務省の岡本全勝官房審議官(78年入省)を起用する人事を内定した。首相秘書官に総務省の官僚が起用されるのは初めて。

 総務省の岡本全勝官房審議官が、首相秘書官として総務省から初めて起用されるそうです。

 これは麻生総裁が、地方自治に関心があることの表われでしょうか。何らかの施策の構想があるのかもしれません。

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自己申告書とキャリア意識
 目標管理と能力考課(又は簡易コンピテンシー)をセットにした人事考課制度を中心とし、面接制度や自己申告制度を取り入れている自治体もあります。

 自己申告制度は、異動希望のほか、現在の職務に対する適性や満足度、問題点等を自己申告書により、職員に申告してもらう制度です。

 この申告書を上司との面接を経た上で、上司を通じて人事課へ提出している自治体もあれば、これを個々の職員と人事担当課限りでやりとりをするところもあります。

 自己申告に上司が関わる場合は、上司が当該職員のキャリア形成に対して助言ができます。後者の場合は、それができませんが、当該職員のホンネが自己申告書に書ける、というメリットもあります。

 ホンネが書ける場合と、そうでない場合の申告書の内容の比較をしたことがありませんので分かりませんが、私は、上司との面接を経て取り扱われるべきであると考えます。なぜなら、職員のホンネは、他の方法でも聞き取ることは可能であり、私は人事制度は基本的に透明であるべきであると考えるからです。

 職員の経験年数や職種により、異動年数のサイクルは異なりますが、「異動したい」という希望や「異動したくない」という希望のほか「○○課へ異動したい」という具体的な異動意向についても、自己申告書により申し出た異動意向が、果たして、何割くらい叶えられているのか、というデータも公表すべきであると、稲継裕昭氏も近著「プロ公務員を育てる人事戦略」で述べておられます。

 なぜなら、異動意向が叶った職員は、通常、それを口にしません。しかし、異動意向が叶わなかった職員は、回りに不満をもらすものです。実態はどれくらいの意向が叶っているのか誰も知りません。

 終身雇用を前提とし、ポスト補充は内部調達による閉鎖システムにおける人事は、人事課が当該組織内の職員のキャリア形成に絶対的な権限を持ちます。職員の職業人生を左右すると言っても過言ではありません。人事異動こそが公務員のキャリアともいえます。

 今までのように受け身のキャリアではなく、職員自らが積極的にキャリアプランを抱き、その実現のために、自己申告制度を活用するようになるのが理想です。キャリア意識を持っている人の自己申告書と、そうでない人のそれとは、自ずと内容が異なるものとなるでしょう。面接制度を通じ、上司は、部下に対して、キャリア意識を持つよう促す機会を持つことができます。キャリア形成を考えることで、職員にも自学の姿勢が身につきます。

 人事担当課の役割は、こうした職員のキャリアプランと組織の必要とをマッチングさせ、職員の能力開発をする一方で人的資源の配置を最適化し、組織パフォーマンスの最大化を維持することを通じて、住民サービスの向上を図ることにあります。
これでいいのか議会質問
 友人にして私の先生でもある牧瀬稔氏が、ご自身のブログ「M研究員の日記」で、「これでいいのか議会質問」を書かれている。

 論旨は、新たな施策や既存施策の拡充の提言をする際には、併せて次の3点も提案すべきである、というものです。
①必要のない施策や事業の廃止を求める。
②ゼロ予算事業を提案する。
③自治体がお金を稼ぐ手段を提案する。

 この中で私もその意思決定に至るまでのプロセスを制度化する必要があるのではないかと考えるのは①です。例としては、構想日本事業仕分けがあります。
 また、制度化はしなくとも、予算を伴うものについて、その財源をどこに求めるかについては、提言の欲しいところです。これが③で代えられるのであれば、それで構いません。

 予算の提出は行政が行うのだから、財源確保は当局の責任であるという主張をされる方もいます。しかし、議会は予算を「増額してこれを議決することを妨げない」とされているのですから、予算の決定については、決算の認定の場合よりも議会の積極的な介入が予定されているのではないでしょうか。
 
 単に必要とされる増額予算の財源に見合う額の捻出という以上に、牧瀬氏の主張されるように「必要のない施策や事業の廃止」を提言されても良いのではないかと思います。
 実際、本市では、議員の方からも「ないよりあった方がよいに決まっている」・「何でもかんでも欲しいということは、もう通用しない時代」という趣旨のお言葉を頂いています。
 
 牧瀬氏のブログでの主張は、読みやすい表現で分かりやすく書かれています。しかし、その主張には、キルケゴールが「あれか、これか」を著したような哲学的な背景があることが分かります。

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異常な残業時間数
夏の記憶
写真は「イングランド 写真の日々」から「夏の記憶
by ukphotography


イングランドの短い夏も終わり by 曽野田欣也


市がデータ改ざんか-葛城市職員の異常残業手当
2008.9.9 奈良新聞
 葛城市がごみ焼却施設「新庄クリーンセンター」の男性職員一人に対し、平成18年度に1645時間、19年度に1300時間もの異常な時間外勤務手当を支給していた問題で、同市議会は8日、臨時会を開き、地方自治法第100条の規定による調査特別委員会(百条委)を設置する決議案を可決した。

 本当にそんなに残業をしたのでしょうか。管理者はなぜそんなにも残業をさせたのでしょうか。

 残業手当の不正支給でしょうか。

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第2回 自主勉強会
 第2回目の自主勉強会「磐田ゼミ」も牧瀬稔氏をお招きして開催した。

 牧瀬氏の今回のプレゼン・テーマは、「政策研究の技法(基礎編)」ということで、前回の「ものの見方」から、いよいよ政策に入ってきた。私の心臓の鼓動は、始まる前から高鳴っていた。

 データ収集、アプローチ、文章のレトリック、統計のトレリック、アンケート調査や統計の罠など、政策立案の前提となる論点に関して一通りの説明を1時間ほどかけて受けた。

 今回の参加者は、20人。男女比は半々くらいであった。今回は、プレゼン後の意見交換で個々の職員から発言することが前回より積極的に行われたと思う。

 今後は、政策提言誌の発行などを含め、勉強会の運営について私の理想を話した。

 勉強会の後は、恒例の飲み会へ。牧瀬氏も含めた男性5人と女性1人で、少し淋しかったが、参加者全員とコミュニケーションが図られるという意味では、10人以下が適当な人数なのかもしれない。

 牧瀬氏には、今回もボランティアで参加して頂いた。多くの自治体で顧問やアドバイザーをしていらっしゃる方が、無償で磐田市と市職員のために協力してくださっている。誠に頭の下がる思いである。この場を借りて心からお礼を申し上げる。 
平成19年度 給与削減措置の状況
総務省「平成19年地方公務員給与実態調査結果のポイント」から
6 給与削減措置の状況 (平成19年4月1日現在)

《都道府県・指定都市における地方公務員(一般職)の給料削減率》
(平成19年4月1日現在) 

8%~
北海道(10%)、島根県(10~6%)、香川県(8~1%)、鹿児島県(10~2%)

5%~8%未満
青森県(6~2%)、茨城県(5~3.5%)、富山県(5%・3%)、滋賀県(5~1.5%)、京都府(5%・2%)、岡山県(6~2.8%)、広島県(7%・5%)、愛媛県(6~2.6%)、高知県(5%・3%)、堺市(5%・3%)、広島市(7.51~1.51%)

3%~5%未満
千葉県(3~1.5%)、奈良県(4~1.5%)、鳥取県(4~2%)

2%~3%未満
山梨県(2%)、大阪府(2%)、和歌山県(2%・1%)、名古屋市(2%・1%)

その他
兵庫県(12月昇給延伸)
職員の意向に応じるため
my second daughter


10年前 -- 下の娘 by 曽野田欣也




 人事異動は、次の理由によっても行われます。
職員の意向に応じるため

 サラリーマンは、「辞令書一枚でどこへでも行き、どんな仕事でもやらなければならない」といわれています。それは人事異動の一面を言いえて妙ですが、すべてではありません。長期雇用を前提とした内部調達方式の人事の場合、人事権は組織の強力な権限ではありますが、そこで働く人間の「意向」を無視しては成り立たないことも事実です。

 それでは、職員はどのような理由により、異動申告をするのでしょうか。

 まず、考えられるのが、これです。
 職場の人たちとうまく行かないから

 長年同じ部署にいると、異動したくなるもので、かと言って、行きたい部署もない場合は、異動意向も強くはありませんが、同じ職場の上司や先輩などとうまく行かない場合は、異動意向は非常に強くなるものです。

 職場の人たちとうまく行かないことを理由とする異動意向は、ワガママなようですが、人事課も耳を傾けるべき理由であると考えます。なぜなら、こうした人間関係により、職員のモラルが低下するのは当然であり、最近ではメンタルヘルスの問題が管理者の責務として非常に重要なものであると捉えられているからです。

 こうした意向は、「自己申告書」等の制度で職員が申し出のし易い環境を整備しておく必要があるでしょう。もちろん、人事担当課は、こうした申し出に対して盲目的に従うべきではありません。すべての異動要因に関する情報の扱いと同様に、こうした人間関係の不和も情報であり、その情報には「検証」が必要です。また、こうした意向を人事に伝える側としては、その情報に責任を持つ必要があるでしょう。なぜなら、本人は一過性の人間関係のつもりであっても、その情報は人事情報として蓄積されるからです。単なるワガママと判断された場合は、当該情報提供者は、人事担当課の信頼を失うことになります。

 次に考えられるのが、これです。
自分のキャリア形成のため

 長期雇用で一つの自治体で退職まで勤め上げる場合、公務員のキャリア形成として、「どこの部署に配属されたか」や「どのような仕事に携わったか」ということが重要になります。個々の職員は、自分の適性と関心に基づき、行ってみたい部署ややってみたい仕事を求めて、配置を希望することができます。キャリア形成面でのこうした積極的な異動意向は、人事担当課としても誠実に受け止めないといけません。この場合においても、人事考課その他の人事関係資料を参考にして慎重に検討することになります。

 最近は少なくなって来ていると思いますが、最後に考えれらるのが、これです。
 昇進のため

 先にも触れましたが、組織においてすべての職員に平等に昇進機会の与えられている組織はないといえます。上昇志向のある職員は、各組織において「エリートコース」と呼ばれているものに乗りたいと考えるでしょう。そして、そのコースとは何か、と問えば、昇進機会の多いと噂される部署へ配置されることを望むのが人情です。このような異動意向は分かりやすくて良いです。

 以上見てきたとおり、配置は様々な必要に応じて、その必要の生じた事情や要因を様々な角度から検証した上で検討され、実行されるか、あるいは実行されないかが決まります。したがって、一部の部署を一部の人材で独占状態にするのは、組織的に健全ではありません。

 また、配置の「人材育成」の面からは、昇進機会に関係なく、あらゆる部署への配置を考える必要があります。個人のキャリア形成は重要であり、モチベーション管理のためにもこれは優先順位の高いものですが、人事を考える上で、個人の必要よりも、組織の必要が常に優先されるものであることは言うまでもありません。そして、組織は組織の必要を個人に説明する機会を持つよう努力する必要があるでしょう。

 なお、職員の意向は、必ずしも一つの理由や要因に基づくものではなく、複数の事情によって一つの意向として表れる場合も多々ありますから単純ではありません。繰り返しになりますが、いずれの場合においても、職員の意向も他のすべての情報同様に、多面的に分析、検討して結果を出します。
業務繁閑の是正と定員管理
麦畑
写真は「イングランド 写真の日々」から「麦畑
by ukphotography

もうすぐ義理の母が、このイングランドから遊びに来ます by 曽野田欣也


 人事異動の次の要因は、これです。
業務繁閑の是正のため

 組織で目的を達成することの合理性の裏返しとして、セクショナリズムの弊害があります。また、年度単位で仕事が行われるため、異動サイクルは一年度を単位として考えます。年度内における異動は難しいものです。

 さて、人事課が行う部課長とのヒアリングの目的の一つは、配置職員数の適正化です。各所属は、現有の定員又は要望する増員の必要性を主張するために、当該所属の事務事業について人事当局に説明します。ヒアリングの結果を受けて人事課で定員の査定を行います。

 定員査定を行う場合、パーキンソンの法則を肝に銘じておかなければいけません。管理者は、しばしば部下の数が減ることを嫌います。

 また、年度を通じて同数の定員が必要である部署ばかりではありません。その場合は、年度内のどの時点の事務量を標準とするかを検討しなければいけません。季節的な繁忙であるときには、当該期間だけ非常勤職員を任用して対処することもありますが、基本的にはプロパー職員による事務処理を要するものを基準として業務量を計測します。

 庁内分権の名の下に、人事権の一部を部局長に移譲し、当該部局内の所属間に限った年度内の人事異動を行う場合もあります。この方策は、愛知県のように部局別の定員枠配分を行っている自治体においてみられます。

 本エントリーは、人事異動の要因についてではなく、定員査定の話のようになってしまいました。この要因により異動を考えるほど、今の自治体には定員上のゆとりがない、というのが実態であろうと思います。

 なお、私が定員査定の勉強を進めるに当たって、同志社大学様には、「同志社政策科学研究 第3巻 安枝英教授追悼論文集」をご恵与頂きました。本論文集には、自治体人事を考えるに当たって有用な研究が多く掲載されています。
 ここに紹介するとともに、この場を借りてお礼申し上げます。

(参考)
橋本賢二「地方公務員の定数管理に関する考察」(同志社政策科学研究 第3巻
都市自治体の戦略的な組織定数マネジメント」(都市センター)
名古屋市役所局長経験者が語る局長の思いとマネジメントの諸相」(PDF)
愛知県名古屋市「複数年度定員配分の導入」(PDF)
関本耕司「定員管理上の定数査定業務等に関する一考察」(PDF)
鳥取県「平成19年度に向けた定数編成査定状況について」 鳥取県では定数の査定過程を公表しています。
福岡県「新たな定数管理方式の導入について 資料3」(PDF)
行政経営の多角化のため
 今回の人事異動の要因は、これです。
行政経営の多角化のため

 これは稀な例ですが、実際に起これば大きな要因となります。職位の改廃や入れ替えといったもので、大規模な組織機構の改革などに伴って行われる人事上の措置です。

 職位(格付け)に対しては敏感な公務員ですから、こうした要因による異動は、劇的な変化を避ける傾向があります。その結果、その是非は別にして、新設の職位は職能的なものになる傾向があります。

 劇的な経済成長等の社会情勢の変化がない限り、ありそうもないことですが、具体的な例を挙げると、地方自治体の場合は、市町村合併による職位の整理が挙げられます。

 また、国においては、専門スタッフ職の創設が、天下り防止策としてではなく、国家公務員のキャリア形成の一つとして真面目に運用される場合は、これをこの人事異動の要因に含まれると考えて良いと思います。
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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