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2009/07
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平成21年 人事院勧告 No.2(住居手当)
持ち家の住居手当廃止 国家公務員、人事院勧告へ
熊本日日新聞 2009年07月30日
 人事院は30日、国家公務員の住居手当のうち、新築や購入から5年以内の持ち家に住んでいる職員を対象に、年間3万円(月額2500円)を支給している手当を廃止するよう、8月上旬にも内閣と国会に勧告することを決めた。

 人事院は「民間では自宅の維持管理費の補助を目的とする手当は、ほとんどない」などとして、昨年8月の勧告でも「廃止の検討を進める」としていた。地方公務員にも同様の手当が支払われているケースが多く、勧告通りに国家公務員の手当が廃止されれば、地方自治体でも見直しが検討される見通し。

 人事院によると、持ち家対象の住居手当は2008年度で約2万6千人の国家公務員が受給。国家公務員の住居手当はほかに、賃貸住宅の居住者にも家賃補助を目的に月額最高2万7千円などが支給されているが、賃貸住宅対象の手当は存続する。

 持ち家対象の住居手当は1964年に創設2003年の人事院勧告に従って、新築・購入から6年目以降に毎月千円を支払う規定については廃止されている。(共同)
 
持ち家に係る手当の廃止は、人事院の予告どおりです。
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平成21年 人事院勧告 No.1
公務員ボーナス、過去最大の減額=月給も引き下げへ-人事院勧告
時事通信社 2009/07/27-15:48
 景気悪化に伴う民間給与の減少を受け、人事院は27日、8月に行う2009年の国家公務員給与改定勧告で大幅な引き下げを打ち出す方針を固めた。現行年間4.50カ月の期末・勤勉手当(ボーナス)は、過去最大となる0.30カ月以上の減額となるのが確実。月給も国家公務員が民間企業を上回る「官民逆格差」が千円単位で生じており、大幅なマイナス改定となりそうだ。
 月給、ボーナスとも引き下げが勧告されるのは、03年以来6年ぶり3度目。月給は基本給を定める俸給表をマイナス改定する可能性が高い。また、地域別の官民格差についても政府からの要請を受け、公表する方針。勧告日は8月の第2週を軸に調整している。 
 昨年秋のリーマンショック以降、民間賃金は急速に低下しており、特に今夏のボーナスは引き下げ傾向が著しい。このため国家公務員の夏季ボーナスは、5月の人事院による臨時勧告を経て、本来の支給予定だった2.15カ月から0.20カ月分凍結されており、人事院は、臨時勧告で生じた過不足分を8月の勧告で調整する考え。官民比較の対象となる昨冬ボーナスも加えて調査した結果、引き下げ幅を0.20カ月からさらに拡大せざるを得ない情勢だ。
 月給でも、基本給のベースアップを見送る企業が相次いだことや、国家公務員の平均年齢上昇に伴う給与額の上昇で、4年ぶりに官民逆格差が生じた。
 人事院勧告の取り扱いは、政府が給与関係閣僚会議などを開いて最終判断する。

 賞与月数については予想通りでした。しかし、基本給の引き下げは予想していませんでした。
英国の行政について
 私が愛読させて頂いていた「英国便り(英国日記帳)」の著者である高田英樹氏が、英国財務省における3年間の勤務を経て書き上げた報告書「英国体験を振り返って:日本は何を学べるか」(doc)が、いま政治家や官僚幹部からも注目されているようです。
 高田氏の論考は、これまでにも内閣総理大臣の政策会議の一つである「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」や「財政制度分科会 海外調査報告書」でも採用されています。
 高田氏は、2003年から2006年まで私の妻の母国であるイギリスの財務省に勤務されました。2006年当時、私には渡英計画があり、同氏が5月に実家から遠くないヨーク大学で英国の行財政改革に関する講演を行う情報を得、これを聴講したいと考えました。しかし、渡英のタイミングが合わず涙を呑みました。
 その後、ひょんなことから高田氏に日本でご一緒する機会があって知り合い、後日高田氏から別の機会にお誘いを受け、2006年6月に聴くことのできなかった講演を聴講することができました。講演の内容は素晴らしく、その時の嬉しさは今でも忘れません。
 私はアングロファイル(Anglophile:イギリス好き)です。
 議院内閣制のあり方、金のかからない選挙、仕事と私生活との調和の取れた豊かな生活など、日本はまだイギリスから学ぶべきことがある、と私は考えています。イギリスでは毎回短い滞在の中で差別を受けた経験などもあるのですが、私がイギリスでの生活を愛する理由は、自分が自分らしくいられる感じがするからです。妻は日本が好きで日本に永住すると言いますが、私は退職したらイギリスに住み、イギリスの大学院で勉強してみたいと思っています。
公務員の定年 人事院の研究会最終報告
公務員の定年、段階的に65歳に引き上げ提言 人事院の研究会
nikkei.net 2009/7/24
 人事院の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」(座長・清家篤慶応義塾長)は24日、現在、原則60歳である公務員の定年を2013年度から段階的に65歳に引き上げる提言をまとめた。25年度に年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられることを受けた措置。提言を受け、人事院は法改正などを検討する。

 定年延長のほか、
(1)60歳以降は短時間勤務も選択可能にする
(2)幹部職員へ役職定年制の導入
(3)早期退職者への退職金の加算措置
など民間企業が取り組んでいる仕組みも検討課題として明記。職務を通じて培った専門性を活用するため、公務員の身分のまま大学やシンクタンクなどに出向できるようにする制度の整備も必要としている。

 定年引き上げに対応する条件として、60歳以上の給与水準を引き下げて総人件費を抑制することも明記。省庁で慣例となってきた幹部職員の「横並び昇進」をやめ、能力・実績主義による人事管理の徹底も求めた。


(参考)
公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会 最終報告
概要
骨子
本文
参考資料
「パワハラ」とライン管理
「パワハラでうつ」は労災 厚労省が認定基準追加
2009/4/7  読売新聞
 厚生労働省は6日、うつ病などの精神疾患や自殺についての労災認定をする際に用いる判断基準を10年ぶりに見直すことを決め、各労働局に通達を出した。パワハラなどが認定できるよう12項目の判断基準が新設された。

 精神疾患による労災認定は、ストレスの強い順に3、2、1の3段階で判断される。強度3で新設されたのは、「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」という項目。これまで明確な基準がなかったパワハラによる精神疾患については、この基準で判断できるようにした。強度2では、企業の人員削減や成果主義の導入が進んできたことから、「複数名で担当していた業務を1人で担当」「達成困難なノルマが課された」といった基準を新たに設けた。

 新聞記事はいささか旧聞ながら、私は10年以上前から「パワハラ」に関心を持っていました。人事担当課へ異動してからは、「懲戒処分の指針」を作りましたが、この中に「パワハラ」を入れたい、という個人的な構想がありました。私がパワハラに関心を持った頃は、まだその言葉を知らない人も多く、セクハラと比べも、世間一般の認知度は格段に低いものでした。しかし、今では、「やっとここまで来たか」という感じがしています。

 私がパワハラを問題と考えた理由は、日本的な大部屋主義の仕事の進め方には、大部屋内(課内)に弱者を作る内在的な仕組みがあると考えたからです。日本的大部屋主義の特徴として、大部屋内の職員間の和を重視した仕事の進め方が上げられます。行政では昇格審査において人物評価が重視される由です(*)。大まかな職務の担当者は決まっていても、一人ひとりに職務記述書はありませんから、その職務内容は曖昧であり、結果としては大部屋に属する者全員で一つの仕事に取り組むのが基本となります。
 もう一つの特徴として、大部屋には、公式には課長を頂点とした序列ができていますが、係長より下の職員群には、年齢や勤務年数のほか、その課での在課年数やその課で担当した業務等による非公式な序列が発生する場合があります。これを私は非公式序列と呼びます。非公式序列は意外と複雑で、在課年数の長い若手職員が、それよりも勤続年数の長い中堅職員の担当業務の前任者であることにより生じる場合もあります。

 いずれにせよ、大部屋主義の中には、職制上の公式な上下関係以外のいろいろなパワーが協調しながら、時には摩擦を起こし、衝突したり、対立したりしながら職務を遂行しています。
 こうした摩擦や衝突が顕在化する例を一つあげると、よくある例では、先輩職員の後輩指導や前任者による後任者の指導があります。いずれの組み合わせの場合も、前者が後者に対してパワーを持っています。これは、係長対係員といった職制上ほどパワー(立場)の強弱に明確さはありませんが、行政における係員の担当業務の多くが「ルーチン」であるという事実から、実際には、この関係は上下関係という以上に封建的な場合があり不合理です。

 「やっとここまで来たか」と私が感じたのは、日本社会のパワハラに対する認識レベルが向上し、これに精神性疾患の業務起因性を認めたことです。これまで精神性疾患については精神論が根強く、過労等による自殺という最悪の結果に至らなければ、これを労務上の問題として捉えられないレベルにありました。今では、日常的に発生するようになったうつ病のような精神性疾患も、業務起因性が認められれば、「公務上の疾病」として取り扱われるようになり得ます。

 厚生労働省の指針では、精神障害等が業務上によるものか否かは、精神障害の発病の有無、発病時期および疾患名を明らかにした上で、
①業務による心理的負荷
②業務以外の心理的負荷
③個体側要因(精神障害の既往歴等)
以上3点について評価し、これらと発病した精神障害との関連性について総合的に判断することになっています。これは、いわゆる「ストレス脆弱性理論」の考え方です。
 ライン管理者は、組織行動論に併せ、この理論も理解している必要があります。上司として担当業務を割り振るだけでなく、部下の能力と経験、そして係内の業務等の知識などについて把握し、係内のパワー関係により、職員に対する各種負荷が係ることを防止・抑制し、メンタル疾患の予防にも、その管理能力を発揮しなければなりません。こうした管理能力の欠如は分限処分の対象であり、自らがパワハラを行う場合などは、当然、懲戒事由になるものと考えます。

(参考)
*:大森彌「官のシステム」(東京大学出版会)

(判例)
豊田労基署長(トヨタ自動車)自殺控訴事件
東加古川幼稚園保母自殺業務上認定事件

(厚生労働省の動き)
参考「職場における心理的負荷評価表の見直し等に関する検討会報告書」(PDF)
厚生労働省「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」(平11・9・14基発第544号)
厚生労働省「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の一部改正について
職場における心理的負荷評価表に新たな出来事の追加等の見直しを行う~(平成21年4月6日)
改正労基法について思うこと
 平成22年4月から「改正労働基準法」(以下「改正労基法」)が施行されます。
 これに伴い人事担当者は職員組合との交渉のほか例規整備に、また給与担当者はシステム改正など少なからずその対応に追われることでしょう。そのような作業に関わる中、私は労基法の割増率に関して、以前から思うところがありました。

 それは、週休日の勤務に対する割増率(35%)についてです。週休日に8時間を超える勤務をした場合、135%の割増賃金が支払われます。果たして、これで良いのかという疑義が私にはありました。労基法は労働条件の最低基準を定めるものです。また、労働義務のない休日における勤務には振替えが認められているのだから、労働法制上、平日の残業と休日出勤とでは、その労働時間の取扱いが異なるのは当然ということも言えるでしょう。それでもなお、従来からこの規定の合理性については疑義があったわけです。

 改正労基法の施行後は、月の残業時間が60時間を超える場合、割増率は50%になります。その一方で、休日労働の割増率は35%のままです。現行法の休日に係る135%の割増賃金の規定に改正労基法は手を加えていません。つまり、月の残業時間が60時間を超える場合の平日の残業の割増率は、休日の8時間を超える部分の割増率より大きくなります。改正労基法の施行により、休日労働の割増率に係る不合理が顕在化する、と考えるのは私だけでしょうか。ここは制度設計上、何らかの配慮ができなかったかと考えるところです。

 私は、この何となく感じる不合理をうまく説明することはできません。国会でもこの点は議論されていないようですが、「日本の人事部」の記事「休日労働の賃金割増率との「逆転現象」」では、現行法には疑義を提示していないものの、改正労基法に関しては私と同様の疑問を提示しています。したがって、日本の人事部の記事にあるように「2010年4月の施行までに、何らかの施行規則等が通達される」ことを私も期待します。

厚生労働省のページ
○リーフレット「労働基準法の一部改正法が成立~平成22年4月1日から施行されます~」(PDF:164KB)
○労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)
概要(PDF:55KB)
条文(PDF:80KB)
新旧対照表(PDF:130KB)
労働基準法の一部を改正する法律について(平成20年12月12日基発第1212001号)(PDF:85KB)
○「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」等についての労働政策審議会からの答申について
○労働基準法施行規則等の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第113号)
条文(PDF:77KB)
新旧対照表(PDF:110KB)
○労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する件(平成21年厚生労働省告示第316号)
条文(PDF:46KB)
新旧対照表(PDF:60KB)
労働基準法の一部を改正する法律の施行について(平成21年5月29日基発第0529001号)(PDF:204KB)
私傷病による休暇
 自治体では、私傷病休暇は180日とされているところが多いようです。病気休暇に引き続き、無給期間を含めた3年間の休職処分になります。

 それでは、民間企業の実態を見てみましょう。
 病気による職務専念義務の免除がどれくらいの期間認められるかについては、法律に規定はありません。したがって、会社側が労使交渉等により決定したものを就業規則などに規定することになります。
 労務行政研究所による調査「私傷病欠勤・休職制度の最新実態」(「労政時報」(第3721号))によると、私傷病による休職の場合、大手では9割を超えるほとんどの企業が、休職期間を設定しているそうです。公務の場合、まず有給の病気休暇が90日から180日認められ、その後、給与を減じられた有給の病気休職という段階を経て、最後に無給の病気休職となります。病気休職は病気休暇の期間を除いて最長3年とされています。
 民間企業では、勤続年数別に病気による休業期間を定めるところも半数ほどあるようです。また、勤続年数と疾病の種類の両面から定める企業も4分の1程度あるとのことです。(以上、前掲調査)
 公務の場合、すべての正規職員に一律に既述の休暇制度が適用されますが、これは、公務員が終身雇用を前提に当該制度を設計しているからと考えることができます。公務に限らず、労働力の流動性が大きい場合、つまり、採用した職員が長期在職せず、数年で転職してしまう場合、病気による休暇に関して、手厚い保護を内容とする制度は必要ないでしょう。しかし、長期雇用を前提としている場合は、在職中に能力開発や人材育成のコストを組織側が負担していますから、そうした人材を簡単に手放すわけにはいきません。私傷病休暇に関して手厚い制度は、働く側にとって長期在職のインセンティブになります。

 なお、労務行政研究所による調査「私傷病欠勤・休職制度の最新実態」(「労政時報」(第3721号))の解説は、次に引用する日本の人事部の記事が非常に分かりやすく参考になりますので、引用しておきます。

日本の人事部から『労政時報』調査記事(2009/4/13掲載)の解説
[ 欠勤・休職期間の設定状況 ]
[ 欠勤・休職期間の決め方 ]
[ 勤続年数別にみた欠勤期間 ]
[ 勤続年数別にみた休職期間 ]
[ 欠勤・休職(雇用保障)期間 ]

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起訴休職と年次有給休暇
 起訴休職の要件としては、「当該犯罪行為の起訴がなされたことによって職場秩序や企業の社会的信用や当該労働者の職務遂行などの点で同人の就労を禁止することもやむなしと認められること」、「勾留又は公判期日出頭のために現実の労務提供が不可能または困難となること」の2つのうちいずれかを満たすこととされています。
 後者要件については、年休があれば、これを利用して必要な期間について職務専念義務を免れることができることになります。したがって、当該職員が起訴に関し欠勤するについて、年休の取得をもって十分に対処することができる場合は、起訴休職処分の判断は慎重に行わなければならないと考えることができます。
 また、後者要件の代表的な判例として、菅野和夫氏は、「日本冶金工業事件」(東京地判昭61・9・29)を挙げています。

(参考)
○出典
菅野和夫(すげの かずお)「法律額講座双書・労働法第八版」(弘文堂)第425頁
(3)起訴休職の注7:「日本冶金工業事件」(東京地判昭61・9・29)

日本冶金工業事件判決文(PDF)
裁判内容:被告が原告に対してなした休職処分の無効確認等
「原告が刑事裁判のために欠勤するについては有給休暇の取得をもつて十分に対処することができるものと考えられる。」

○いわゆる事件名等
・日本冶金工業解雇事件
・事件番号:昭和58(ワ)2191
・事件名:日本冶金工業解雇
・裁判年月日:昭和61年09月29日
・裁判所名:東京地方裁判所
給料の減額 国との比較において
 連休中に友人からメールがあったのをキッカケに、給料の減額について考えてみました。

 自治体の代表例をあげると、東京都の条例では以下のとおりです。
(給与の減額)
第14条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第18条に規定する勤務一時間当たりの給料等の額の合計額を減額して給与を支給する。

 国の場合を見てみましょう。
一般職の職員の給与に関する法律(以下「給与法」)
(給与の減額)
第15条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第19条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。
となっており、国も自治体も規定は同じです。これは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則を規定したものです。

 この規定に関する国と自治体の違いは、国の給与法附則に現れています。
給与法附則6
当分の間、第15条の規定にかかわらず、職員が負傷(略)に係る療養のため、(略)当該療養のための病気休暇の開始の日から起算して90日(略)を超えて引き続き勤務しないときは、その期間経過後の当該病気休暇に係る日につき、俸給の半額を減ずる。

 つまり、国の場合は、病気休暇等が90日を超えた時点から、その職員の給料は半額を減額された額にされます。結核性疾患の場合は例外とされています。この例外は、旧官吏俸給令の当時、官庁職員結核対策要綱(昭19・1・27次官会議決定)により休暇を取るときには、1年間に限って同令第7条にいう「特旨に依り賜暇休養する者」として、結核は特別扱いされていたものを踏襲したと言われています。しかし、今とその当時とでは医療技術も進歩して疾病の傾向も異なるため、この結核の特例扱いが合理的か否かには議論があります。

 さて、この国における俸給(給料)の半減は、「給料の額そのものが2分の1の額に変更される」というものであり、単に給料月額の半分を減じて支給する、というものではありません。その結果として、給料を基礎として計算される他の手当にも影響があります。この例外としては、「特地勤務手当」等があります。

 また、病気休暇が90日を超えた場合、この給料額が半額に変更される措置について、運用上の疑問が生じます。たとえば、病気休暇の病気が完全治癒したとします。その完全治癒の診断を受けるために通院した帰宅途中に、不幸にも交通事故に遭い、骨折して安静療養が必要になってしまったとします。これにより、新たな負傷により引き続き療養休暇を取得した結果として90日を超える場合が挙げられます。
 この場合、人事院規則9-82第6条に「一の負傷又は疾病が治癒し、他の負傷又は疾病による病気休暇等が引き続いている場合」の取扱いが規定されています。これによると、この場合においても、当初の病気休暇の初日から起算して90日を超えた日については、給料の半額を減ずることとされています。
 なお、給料の半減は日単位で日割計算をすることになっています。(人事院規則9-82§7)

 公務に限らず、民間企業においても、精神性疾患を罹患する人が増えています。
 組織としてこうした職員の各種サポート体制を整備するのも大事ですが、それとともに精神性疾患を患う者を出さないための予防措置も重要です。これは使用者の責任においてだけでなく、我々も働く者として精神性疾患を理解し、ストレス耐性を向上させるとともに、それをコントロールするための基礎知識の習得をすることが必要です。メンタル疾患を患ったら、働く人本人は元よりとその家族にとっても不幸なことであることは言うまでもありませんが、組織的な観点から考えても、メンタル疾患の予防により、それに係るコストを最小化することができます。
 メンタルヘルス・マネジメント検定というものがあり、セルフケア、ラインケア、組織管理としてのケアに段階分けされています。ワープロやパソコンの知識や技能と同様に、現代社会の我々には必須の知識だと思います。

(参考)
森園・大村「公務員給与法精義」 (学陽書房)
国家公務員 定年延長
国家公務員を65歳定年に 人事院研究会が最終報告案

2009/07/16 21:35 共同通信
 人事院の「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」(座長・清家篤慶応大塾長)は16日、国家公務員の定年を段階的に65歳まで引き上げることを柱とする最終報告案をまとめた。総人件費抑制を目的とした中高年層の賃金水準引き下げや、幹部ポストの在任を60歳までとする制度の導入も盛り込んだ。

 昨年7月の中間報告をほぼ踏襲しており、来週にも正式決定する。これを受け人事院は、年金受給開始年齢の段階的引き上げが始まる2013年度からの導入を目指し、国家公務員法などの改正を政府に求める。

 最終報告案は、天下り規制の強化や年金の受給開始年齢引き上げを受け、定年を段階的に65歳まで引き上げる必要性を指摘。定年延長に伴う総人件費の抑制を図るため、60歳以上は賃金水準を大幅に引き下げ、60歳までの中高年層の昇給も抑制する必要があると指摘した。

 また定年延長後も組織の活力を維持するため、審議官級以上の幹部が60歳でポストを退く「役職定年制」の導入も提言した。

 社会の高齢化とともに組織の高齢化も進んでいます。高齢化の進んだ組織の活力や生産性、そして、創造性を維持し、さらに向上させていくための人事施策を打つことが必要です。
 年金の受給開始年齢は所与として、定年延長が選択されたのですから、定年延長を前提とした人事施策を今から検討していかなければいけません。平成25年の制度導入まで時間があるようで、アッと言う間でしょう。
 私は以前、高齢化組織における人事施策として「稲穂型キャリアパス」の構築を提唱しました。キャリアの頂点を国と同様の60歳にするかどうかは、組織により異なることでしょう。天下る外郭団体等のない自治体においては、この年齢が60歳未満となる可能性も否定できません。いずれにせよ、キャリアと収入の描く放物線は、稲穂型にならざるを得ないでしょう。その場合、いつどのように退職手当を計算して支給するかも課題となります。
 人事の役割としては、何よりも、キャリアが下方を向いた以降の職員がモチベーションを維持していける環境を整備することが重要です。また、そのための準備期間のようなものも、キャリアの頂点を迎える前の時期から必要かもしれません。
岸和田市の人事考課制度について
 政策空間の第53号に掲載されている拙論「資源ベース理論による自治体人事戦略の構築」について、岸和田市職員で「逆転発想の人事評価」の著者でもある小堀氏からご連絡を頂きました。
 拙論では、岸和田市の人事考課制度の運用は、「改正地方公務員法の規定に抵触する可能性がある」としましたが、同氏は、「まったく抵触するものではない」というご主張でした。
 これについては、小堀氏のおっしゃるとおりで、拙論の表現が適切でなく誤解を招いた部分がありましたので、補足させていただきます。
 私の主張は、人事評価が、業績考課(目標管理)や能力考課(もしくはコンピテンシー)を主たる柱として構成される、いわゆる「人事考課制度」のみにより行われ、その結果を給与等の処遇や任用に反映させるといった措置をとらない場合は、改正地方公務員法に抵触する可能性がある、というものです。
 岸和田市においては、いわゆる人事考課の結果は給与には反映させないが、昇格管理には活用しているそうです。先の給与制度の改定で昇給カーブがフラット化されたことから、適切に昇格管理に反映させれば、生涯賃金では相当な差が生ずることになります。このような運用は能力主義の徹底を図る改正地方公務員法の趣旨に沿ったものであります。

 私は以前「人事考課の誤解」のエントリーで、
 人事考課制度とは、目標管理制度、自己申告制度、面接制度等を構成要素として人事上の評価を行う一連の評価パッケージを指します。そして、人事評価とは、人事考課制度のほか、あらゆる評価項目を勘案して行う最終的な総合評価をいいます。
としています。

 人事評価は、人事考課より広い概念で、人事考課票や自己申告書のほか、上司との面接、上司による部下の評定票、部下による上司の評価などさまざまなもので出来上がっています。いわゆる「人事考課」がすべてではありません。このいわゆる「人事考課」が人事評価のすべてだと考えるのは誤解であり、この誤解により「人事考課の誤解」で指摘したような疑問が生ずることになるわけです。
 つまり、人事評価を行うには、いわゆる「人事考課」制度を作っただけでは十分ではない、ということです。この人事考課制度は、人事評価の必要条件でさえありません。人事考課制度は、岸和田市の小堀氏が主張するように、人材育成のツールとして運用すべきで、職員の給与に差を設けるために利用されるべきではなく、それは、改正地方公務員法が求めるところでもありません。

 公務員に限らず、人事に最も関心が高いのは、世のサラリーマンの常です。ですから、人事が組織を作るともいえますし、そうして作られた組織によって住民福祉のレベルも決まると私は考えます。ただ、人事は、有為の職員がその持てる能力を最大限に発揮できる環境作りをするに過ぎません。あくまで主役は個々の職員です。

 私は、小堀氏に「職員のやる気のクリエイターになりたい」と申し上げました。その私に小堀氏が送ってくれた言葉を、皆さんにもご紹介させて頂きたいと思います。
 人事管理のミッションは、職員がその力を最大限に発揮できるようにし、組織力の最大化をはかることです。
長時間勤務、昔から
葛城市新庄クリーンセンター:時間外手当問題 「長時間勤務、昔から」 /奈良
毎日新聞 2009/7/7
 ◇百条委で証人尋問、職員「異常」感覚なし
 葛城市の新庄クリーンセンターに務めていた男性職員(38)に対し、06年度に1645時間の時間外手当が支給されていた問題で、市議会調査特別委員会(百条委員会)は6日、男性職員や吉川義彦・前市長ら4人を証人尋問した。男性職員は「炉を担当する職員は昔から長時間勤務が続いており、当たり前の勤務」と述べ、問題はないとの認識を示した。

 委員の「年間325日出勤していたのは異常。家族は心配しなかったのか」との質問に対し、男性職員は「異常という感覚はなかった。つらくなかったが、職員増は何度も上司に要求した」と話した。途中で仕事を離れる「中抜け」に関しては、「前任者からの引き継ぎで、休憩時間をずらして出掛けていた」と主張した。

 ◇「責任者として反省している」--吉川前市長
 吉川前市長は「責任者として反省している」と述べた。百条委はこれまでの証言や資料をまとめ、9月市議会までに最終報告を出す予定。【山本和良】

 残業を減らすには、どうしたら良いのか、ということをここ数ヶ月真剣に考えています。
 時差勤務、週休日の振替などといった制度の運用により対症療法的な対応をするのではなく、残業が発生する、より本質的なところを捉えた対策を考える時期に来ているのではないでしょうか。残業手当を支給することの必要性についても、説明責任が求められています。
 ただ、この新聞記事のケースは「異常」であり、論外です。
時間単価を考える
 本市では来年早々に15分の時短を行う予定です。
 世間では、時短が実質的な賃上げになるという指摘があります。時短をして給料を下げなければ時間単価が上昇することになるのは当然のことで、世間の指摘する問題は他のところにあるのでしょう。
 時短の問題は、15分の市民サービスの低下という以上に、自治体財政を圧迫する人件費の膨張につながる可能性があることではないでしょうか。また、本来的には、時短という制度改正は所与とし、労働時間や休暇制度については、その適正化の観点のほかワークライフバランスや職員の健康面から考えられるべきです。

労働基準法第37条第4項
第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 最初に時間外勤務手当等の時間単価の計算式について、その分子から見てみます。
 単価の計算基礎となる給与は、「通常の労働時間または労働日の賃金」(同条第1項)ですから、その名称にかかわらず実質的に通常の労働時間または労働日の賃金として支給されているものについては、すべて単価計算に算入しなければいけません。(昭22/9/13 発基第17号。最高裁第一小昭63(オ)第267号。昭63・7・14)
 以前、多くの自治体では、変則勤務職場で導入されていた「変則勤務手当」などといった月額の特殊勤務手当をこの賃金に含めて計算していたものでした。しかし、給与の適正化の中で、月額による特殊勤務手当の妥当性や、変則勤務を特殊と捉えることの合理性が問われるようになり、こうした特殊勤務手当は、何年も前に姿を消して今日に至っています。
 さて、時間単価の基礎となる賃金から除外される家族手当は、公務では扶養手当ですが、これは扶養家族またはこれを基礎として算出される手当をいいます。しかし、「独身者に対して支払われている部分及び扶養家族があって本人に対して支給されている部分は家族手当ではありません。(昭22・12・26基発第572号)
 通勤手当は文字通りです。また「厚生労働省令で定める賃金」は、以下の5つです。
1 別居手当
2 子女教育手当
3 住宅手当
4 臨時に支払われた賃金
5 一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(労働基準法施行規則第21条)

 なお、当然ですが、労基法は守るべき最低の基準を示すものなので、労基法が家族手当など割増賃金の基礎から除外し得るとしているものを、単価計算に算入することは使用者の自由です。(昭23・2・20基発第297号)
 ですから、東京都の場合などは、住居手当が分子、つまり「通常の労働時間または労働日の賃金」に含まれていますが、これは当然違法ではありません。
職員の給与に関する条例施行規則(昭和37年11月1日。東京都規則第172号)
(勤務一時間当たりの給料等の額の算出)
第12条 条例第18条の東京都規則で定める手当は、次に掲げるとおりとする。
一 初任給調整手当
二 給料の月額に対する地域手当
三 住居手当
四 特殊勤務手当のうち人事委員会の承認を得て任命権者が別に定める手当
五 特地勤務手当
六 特地勤務手当に準ずる手当
七 農林漁業普及指導手当

 次に分母の方です。
 月給制の場合、その月の賃金をその月の所定労働時間数で割った金額となります。しかし、実際には月により所定労働時間が異なるので、一年間の一ヶ月平均の所定労働時間数で考えます。(施行規則第19条)
 具体的には、1日の労働時間が8時間の場合、週の労働時間は40時間になります。そして、1年間は52週ありますから、「40時間×52週」が1年間の総労働時間となります。しかし、文字通り「完全週休二日制」で、祝日も労働日となっている場合を除いて、一般的には国民の祝日などが休日として職務専念義務が免除されている場合は、そうした休日には労働時間はありませんから、所定労働時間からマイナスしなければなりません。したがって、「8時間×職務専念義務を免除される休日等の日数」を「40時間×52週」からマイナスすることになります。この点は労働基準法の適用のない国家公務員の超過勤務手当単価の計算方法とは異なります。
 なお、労働基準法施行規則第19条第2項では、休日手当などのように、月によって定められた賃金に含まれない賃金は、通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額を計算する場合においては、これを月によって定められた賃金とみなすこととしています。

 時短に係る例規整備は実務的に行うわけですが、市民サービス現場の現状と勤務条件との調整作業が例規整備の前段階として控えています。時短によるサービス低下を最小化する観点からこの調整を進める難しさにやりがいを感じます。
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
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