2009-07-06(Mon)
本市では来年早々に15分の時短を行う予定です。
世間では、時短が実質的な賃上げになるという指摘があります。時短をして給料を下げなければ時間単価が上昇することになるのは当然のことで、世間の指摘する問題は他のところにあるのでしょう。
時短の問題は、15分の市民サービスの低下という以上に、自治体財政を圧迫する人件費の膨張につながる可能性があることではないでしょうか。また、本来的には、時短という制度改正は所与とし、労働時間や休暇制度については、その適正化の観点のほかワークライフバランスや職員の健康面から考えられるべきです。
最初に時間外勤務手当等の時間単価の計算式について、その分子から見てみます。
単価の計算基礎となる給与は、「通常の労働時間または労働日の賃金」(同条第1項)ですから、その名称にかかわらず実質的に通常の労働時間または労働日の賃金として支給されているものについては、すべて単価計算に算入しなければいけません。(昭22/9/13 発基第17号。最高裁第一小昭63(オ)第267号。昭63・7・14)
以前、多くの自治体では、変則勤務職場で導入されていた「変則勤務手当」などといった月額の特殊勤務手当をこの賃金に含めて計算していたものでした。しかし、給与の適正化の中で、月額による特殊勤務手当の妥当性や、変則勤務を特殊と捉えることの合理性が問われるようになり、こうした特殊勤務手当は、何年も前に姿を消して今日に至っています。
さて、時間単価の基礎となる賃金から除外される家族手当は、公務では扶養手当ですが、これは扶養家族またはこれを基礎として算出される手当をいいます。しかし、「独身者に対して支払われている部分及び扶養家族があって本人に対して支給されている部分は家族手当ではありません。(昭22・12・26基発第572号)
通勤手当は文字通りです。また「厚生労働省令で定める賃金」は、以下の5つです。
なお、当然ですが、労基法は守るべき最低の基準を示すものなので、労基法が家族手当など割増賃金の基礎から除外し得るとしているものを、単価計算に算入することは使用者の自由です。(昭23・2・20基発第297号)
ですから、東京都の場合などは、住居手当が分子、つまり「通常の労働時間または労働日の賃金」に含まれていますが、これは当然違法ではありません。
次に分母の方です。
月給制の場合、その月の賃金をその月の所定労働時間数で割った金額となります。しかし、実際には月により所定労働時間が異なるので、一年間の一ヶ月平均の所定労働時間数で考えます。(施行規則第19条)
具体的には、1日の労働時間が8時間の場合、週の労働時間は40時間になります。そして、1年間は52週ありますから、「40時間×52週」が1年間の総労働時間となります。しかし、文字通り「完全週休二日制」で、祝日も労働日となっている場合を除いて、一般的には国民の祝日などが休日として職務専念義務が免除されている場合は、そうした休日には労働時間はありませんから、所定労働時間からマイナスしなければなりません。したがって、「8時間×職務専念義務を免除される休日等の日数」を「40時間×52週」からマイナスすることになります。この点は労働基準法の適用のない国家公務員の超過勤務手当単価の計算方法とは異なります。
なお、労働基準法施行規則第19条第2項では、休日手当などのように、月によって定められた賃金に含まれない賃金は、通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額を計算する場合においては、これを月によって定められた賃金とみなすこととしています。
時短に係る例規整備は実務的に行うわけですが、市民サービス現場の現状と勤務条件との調整作業が例規整備の前段階として控えています。時短によるサービス低下を最小化する観点からこの調整を進める難しさにやりがいを感じます。
世間では、時短が実質的な賃上げになるという指摘があります。時短をして給料を下げなければ時間単価が上昇することになるのは当然のことで、世間の指摘する問題は他のところにあるのでしょう。
時短の問題は、15分の市民サービスの低下という以上に、自治体財政を圧迫する人件費の膨張につながる可能性があることではないでしょうか。また、本来的には、時短という制度改正は所与とし、労働時間や休暇制度については、その適正化の観点のほかワークライフバランスや職員の健康面から考えられるべきです。
労働基準法第37条第4項
第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
最初に時間外勤務手当等の時間単価の計算式について、その分子から見てみます。
単価の計算基礎となる給与は、「通常の労働時間または労働日の賃金」(同条第1項)ですから、その名称にかかわらず実質的に通常の労働時間または労働日の賃金として支給されているものについては、すべて単価計算に算入しなければいけません。(昭22/9/13 発基第17号。最高裁第一小昭63(オ)第267号。昭63・7・14)
以前、多くの自治体では、変則勤務職場で導入されていた「変則勤務手当」などといった月額の特殊勤務手当をこの賃金に含めて計算していたものでした。しかし、給与の適正化の中で、月額による特殊勤務手当の妥当性や、変則勤務を特殊と捉えることの合理性が問われるようになり、こうした特殊勤務手当は、何年も前に姿を消して今日に至っています。
さて、時間単価の基礎となる賃金から除外される家族手当は、公務では扶養手当ですが、これは扶養家族またはこれを基礎として算出される手当をいいます。しかし、「独身者に対して支払われている部分及び扶養家族があって本人に対して支給されている部分は家族手当ではありません。(昭22・12・26基発第572号)
通勤手当は文字通りです。また「厚生労働省令で定める賃金」は、以下の5つです。
1 別居手当
2 子女教育手当
3 住宅手当
4 臨時に支払われた賃金
5 一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(労働基準法施行規則第21条)
2 子女教育手当
3 住宅手当
4 臨時に支払われた賃金
5 一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(労働基準法施行規則第21条)
なお、当然ですが、労基法は守るべき最低の基準を示すものなので、労基法が家族手当など割増賃金の基礎から除外し得るとしているものを、単価計算に算入することは使用者の自由です。(昭23・2・20基発第297号)
ですから、東京都の場合などは、住居手当が分子、つまり「通常の労働時間または労働日の賃金」に含まれていますが、これは当然違法ではありません。
職員の給与に関する条例施行規則(昭和37年11月1日。東京都規則第172号)
(勤務一時間当たりの給料等の額の算出)
第12条 条例第18条の東京都規則で定める手当は、次に掲げるとおりとする。
一 初任給調整手当
二 給料の月額に対する地域手当
三 住居手当
四 特殊勤務手当のうち人事委員会の承認を得て任命権者が別に定める手当
五 特地勤務手当
六 特地勤務手当に準ずる手当
七 農林漁業普及指導手当
(勤務一時間当たりの給料等の額の算出)
第12条 条例第18条の東京都規則で定める手当は、次に掲げるとおりとする。
一 初任給調整手当
二 給料の月額に対する地域手当
三 住居手当
四 特殊勤務手当のうち人事委員会の承認を得て任命権者が別に定める手当
五 特地勤務手当
六 特地勤務手当に準ずる手当
七 農林漁業普及指導手当
次に分母の方です。
月給制の場合、その月の賃金をその月の所定労働時間数で割った金額となります。しかし、実際には月により所定労働時間が異なるので、一年間の一ヶ月平均の所定労働時間数で考えます。(施行規則第19条)
具体的には、1日の労働時間が8時間の場合、週の労働時間は40時間になります。そして、1年間は52週ありますから、「40時間×52週」が1年間の総労働時間となります。しかし、文字通り「完全週休二日制」で、祝日も労働日となっている場合を除いて、一般的には国民の祝日などが休日として職務専念義務が免除されている場合は、そうした休日には労働時間はありませんから、所定労働時間からマイナスしなければなりません。したがって、「8時間×職務専念義務を免除される休日等の日数」を「40時間×52週」からマイナスすることになります。この点は労働基準法の適用のない国家公務員の超過勤務手当単価の計算方法とは異なります。
なお、労働基準法施行規則第19条第2項では、休日手当などのように、月によって定められた賃金に含まれない賃金は、通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額を計算する場合においては、これを月によって定められた賃金とみなすこととしています。
時短に係る例規整備は実務的に行うわけですが、市民サービス現場の現状と勤務条件との調整作業が例規整備の前段階として控えています。時短によるサービス低下を最小化する観点からこの調整を進める難しさにやりがいを感じます。
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