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2011/05
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官僚に学ぶ仕事術
官僚に学ぶ仕事術 
友人の久保田崇さんが「官僚に学ぶ仕事術」(マイコミ新書)を出版されたので紹介します。久保田さんは、私と同じ静岡県出身で、いまは内閣府にお勤めの現役官僚です。久保田さんのケンブリッジ留学中に知り合いました。


第1章「仕事術」
 ここでは、世界最高峰の非効率を誇る霞ヶ関と永田町の政治システムの中で、限りある人的資源である官僚たちが、限りある時間的資源を、まるでそれが無限であるかのように仕事をさせられている過程で生まれた合理的な仕事術について説明しています。
 官僚諸氏の仕事の具体については、「官のシステム」(東京大学出版会)がおもしろく読めますが、この章は、その現場の第一線で働く官僚の実体験から生まれた仕事術についてかかれてあり、両者を読んでみるとオモシロミが増します。この章には、官のシステムの中で「出世する人の特徴」について書かれていますが、これははしたない人事の話ではなく、「仕事がデキる」とはどういうことかを成果主義の観点から分析されており、久保田さんの仕事に対する真摯さが表れています。

第2章「人脈術とコミュニケーション術」
 机に向かって制度設計をするだけで後は動かない、という人が地方公務員にも多くいます。私は部下に対して「そういう仕事の仕方をしたければ、県か国の公務員になれ、末端行政の公務員はそれじゃダメだ」と言っています。しかし、この章を読んでみて、国にも人と関わりながら制度設計をして、さらにそれを運用しようとしている人もいるのだな、と感心してしまいます。この著作の中に流れる一つの筋は、仕事の仕方に関する「合理性」でしょう。メールの書き方に触れたところでもそれが分かります。しかし、合理だけでは割り切れないのが人間であり、久保田さんがそういう部分に対して、非常に細やかな配慮をされていることが、この章では分かります。

第3章「読書術」
 情報収集の手段としての読書について書かれています。インターネット上の論文等も含め、活字媒体から情報を拾い出しストックする技術はビジネスマンとして必須です。ビジネスで読む本は、単に情報収集のためと割り切った読み方をすると、本の薄さや厚さは関係ありません。読後の感想は、活字量に対する有用であった情報の量という評価になります。こういう読み方をしていると、小学校の頃から育まれた読書感想文を書くための「読書」観が変わってきます。ちなみに、私は次の「英語術」に関係する英語の勉強法として「速読」を用いました。

第4章「英語術」
 地方公務員の場合、海外留学をすることはないでしょうから、我々には不要な章です。しかし、求められる成果を出すための手段として、戦略を練るという視点から有用な内容になっています。ここでも戦略の立て方は、合理的です。
 なお、久保田さんは、著書の156ページで「MBAの場合は、ライティング力はそれほど必要ありません」としています。私は、久保田さんのケンブリッジでの修士論文を読ませて頂きました。その内容は、私が8年間仕事として携わった「人的資源管理」に関するもので、私の得意とする分野でした。ケンブリッジで修士を取ったものだけあって、そのレベルは極めて高いと思いますが、それだけの内容のものを表現したライティング力は「それほど必要」ないというレベルだとは私には思えません。

第5章「プライベートライフ」
 この中で久保田さんは、「お客様は神様か?」という問い掛けをしています。これは価値観に関する問題ですが、「社会」のあるべき姿を考えるとき、日英での比較において、私は渡英のたびに、実はこれを考えさせられます。公共サービスのあり方やその提供主体について考えるとき、私もこれを考えます。「あれもこれも」の時代は終わりました。いまは「選択と集中」の時代です。そして、社会のあり方としては、この章で久保田さんが提言していることを問う時代が、近い将来に来ることを私は願っています。これについては、ぜひ本書をお読みください。

第6章「豊かな人生を送るために」
 私は、妻がイギリス人であることから、これまで短期間ですが10回近く渡英しています。イギリスは階級社会のようなもので、イギリスの実家は労働者階級です。中には、学部、修士、博士のすべてをオックスフォードで過ごしたというエリート中のエリートとのお付き合いもありますが、どちらの階級の人との関わりの中でも感じるのが、イギリス人の「生活の豊かさ」と「社会の豊かさ」です。日本の社会に、この豊かさが加われば、私は世界の中でも「最善の社会」ができるのではないかと思っています。

 先にも述べましたが、この本は、「最小のインプットで最良のアウトプットを実現する」ための「合理性」で貫かれています。MBAを取った人たちは、手っ取り早くカネ儲けをすることにしか興味のない合理で割り切った人情味のない連中、というのが、私のアメリカの友人たちのMBA取得者に対するステレオタイプなようです。しかし、この本は、イギリスでMBAを取った熱い官僚「久保田崇」の「人情味溢れる合理性」に触れることができる一冊だといえます。

 久保田さんのような官僚が霞ヶ関にいることは、日本の将来に対して明るい展望を抱かせてくれますが、彼のような官僚が、一人また一人と霞ヶ関を去っているのもまた事実であることが悲しくなります。久保田さんには、いつまでも「現役官僚」としてガンバって頂きたいものです。

 思えば、私が人事を担当していた8年間は、成果は少なく、ただ残業だけが多いものでした。平成17年は市町村合併という特殊事情はありましたが、12カ月間、月の残業が100時間を下回った月はありませんでした。ワークライフバランスを推奨する部門の現状として、褒められたものではありませんでした。イギリス人の妻も、半ば諦めつつもよくガマンしてくれたと思います。
 もっと早くこの本を久保田さんが書いていてくれれば、と悔やまれますが、いまはこの本に出会えたのですから、これからの自分の生き方に生かして行きます。
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B級グルメ in エコパ
 5月21日(土)は、下の娘を連れて「B級グルメ in エコパ」へ行ってきました。こういうイベントを企画するのって大変でしょうけど、おもしろいでしょうね。
 県内を中心に関東、東海地方のB級グルメを集めた「2011 B級グルメスタジアムinエコパ」(同実行委、静岡遠州観光ネットワーク、エコパハウス主催、静岡新聞社・静岡放送など共催)が21日、袋井市愛野のエコパで始まった。22日まで。午前10時~午後3時。
 昨年の26品を大幅に上回る34品が出展。
(静岡新聞 SBS)

磐田おもろカレー
 磐田の「おもろカレー」は、テレビ局の取材を受けていました。レトルト品やおもろのパック売りもしてました。磐田のららぽーと内にある食べ放題のレストランでも、カレーの横にはおもろが置かれていて、自分でおもろカレーを楽しむことができてオススメです。

袋井たまごふわふわ
袋井の「たまごふわふわ」は、江戸時代からの歴史と伝統のある食べ物であったとは知りませんでした。これは、磐田に隣接する市のライバル商品になるわけですが、ご当地に縁のあるものをセレクトするあたりはさすがですね。戦術的にみると、カレーやスパゲッテイ、ハンバーガーなど大衆食をベースにしたB級グルトとは、またアプローチが異なります。

佐世保バーガー
これも有名ですが「佐世保バーガー」です。佐世保バーガーには、ひとつの決まったスタイルがあるわけではなく、「手作りで」「注文に応じて作り始める(作り置きをしない)」こだわりのハンバーガーの総称だそうです。エコパで売っていたものは、これです。


仙台の牛タン
 言わずと知れた「仙台の牛タン」です。「牛タン」というと、高級な印象があって「B級グルメ」という感じがしません。私が幼い頃は、「牛肉」そのものが高級食材で、まったく食べたことがありませんでした。大学卒業後に沖縄にしばらく住みましたが、やっとその頃、その印象も変わりましたが、大学時代は、「吉野屋の牛丼」が食べられれば、それは贅沢な日でした。エコパには、複数の店舗があったので、二つの店をハシゴしてしまいました。父の姿を見て、わが娘はカキ氷の店をハシゴしていました。

富士宮やきそば そして、御大「富士宮やきそば」です。第1回・第2回のB-1グランプリで優勝したB級グルメ中のB級グルメです。富士宮やきそばは、磐田ららぽーとのレストラン街でも提供しているところがあり、私もららぽへ行くたびに食べるのを楽しみにしています。このように、何度でも食べてしまうというのが、大衆食をベースにしたご当地グルメの強みかもしれません。今回も食べてしまったわけですが、今回の場合、その理由はこの容器です。焼きそばというと「皿」に盛ってあるというのが普通ですが、イベントの時には、このようなカップ容器が食べやすいですね。

 あと、写真は紛失してしまいましたが、「各務原のキムチ鍋」も頂きました。2008年のB-1グランプリは3位、2009年で9位という成績を残しているそうです。これは、先々週韓国の新村で食べた「プデチゲ」に似たものでした。これも、とてもおいしかったです。

 なお、14府県のご当地グルメが集った「B―1グランプリ」近畿・中国・四国大会は22日に閉幕し、岡山県真庭市の「ひるぜん焼そば好いとん会」が金賞を取られたそうです。
第2回磐田市行革審
 今日(5/19)は、今年度第2回目の行革審で、行革実施計画(案)を審議して頂きました。
 最初に30分程度、事務局から説明をして、委員の皆さまからご意見を頂きました。

 今回の実施計画の特徴は、歳入確保や歳出の合理化といった財政面での取組みや、職員数の適正化など従来の行財政改革の手法を踏襲しつつ、大綱にのっとり「質的改革」や「地域経済の活性化」などに関する取組みを取り入れたことです。また、時代的な特徴として、東日本大震災の教訓を踏まえた非常時に対応するための取組課題を盛り込んだものになっています。
 また、実施計画には、全部で77の取組課題がありますが、その半分以上に当たる39件が新規の取組みであり、今回の実施計画には、新たなことに取り組む姿勢が表れていると思います。
管理職は暇なほうがいい
 以前、私の上司で「管理職は暇なほうがいい」と言っていた課長がいました。
 これはそのとおりだと思います。なぜなら、管理職は、部下の仕事の進捗管理を含め、みんなが汗を流しながら働くのを見守るのが役割だからです。また、不測の事態に対応することもあります。そして、何より重要なのは、部下が決められたことを進めている一方で、上司は、その先のことを考えることです。

 岡本全勝さんも次のように述べられています。
 被災者支援の仕事をしていて、常に考え、悩んでいることがあります。それは、「今、私たちの仕事で欠けていることは、何だろうか」と「次に、必要な仕事は、何だろうか」ということです。
 (中略)
 責任者としての私が考えなければならないことは、「今できていないこと」の拾い上げです。そして、「次にすべきこと」の手配です。これは、難しいですね。あることの評価でなく、無いことの想像ですから。いろんな方面から情報を集め、今の仕事から少し距離を置いて、そして例えば2週間や1か月後の状態を想像しながら、考えるしかないです。構想力が問われます。課題がわかれば、次にはそのための職員配置を考え、工程表を立てることができます。それは、大まかな方向を示せば、参事官たちが考えてくれます。

(引用)
岡本全勝のページ(2011年5月15日)

 管理職の仕事は、抽象的かつ論理的な思考力が必要とされると私は思っています。管理職が事務的なことに忙しくては、これを使った本来の役割が果たせない。この役割を果たすため、という意味で、「管理職は暇なほうがいい」と言えると思います。
 しかし、これを文字通り「暇なほうがいい」と捉え、本当に何もしない管理職の人もいるらしいです。そんなに暇にしていて、一体何を考えているのかと思えば、課題があっても、それに「取り組まないでも済む」理由を考えているそうです。そして、議会になると、日ごろの定型業務に忙しい部下の尻を叩いて、議会資料を作らせ、文章の枝葉末節をチェックするそうです。それはそれで大事なポイントですが、管理職として大局を見極めていません。
 私は、そのような上司に巡り会ったことがないので幸運でした。
韓国ロケ地巡りと観光行政
 今年のゴールデン・ウィークには、韓国へ行って来ました。目的は、「猟奇的な彼女」のロケ地巡りです。もう10年も前の映画ですが、たまたま昨年末に観る機会があって、遅ればせながら韓流ブームに乗っかったわけです。
 学生時代、国際政治に興味のあった私は、岡崎久彦氏の「隣の国で考えたこと」などを読んで、韓国へは一度行ってみたいと思っていました。私が学生当時の韓国は国連にも加盟していなかったし、98年頃までは、韓国では日本の歌謡曲の輸入禁止など文化面での規制もされていました。歴史的な経緯もあり、韓国はこうした反日感情の強い国という印象のあった私にとって、日本における昨今の韓流ブームや日韓の文化的交流には、今昔の感があります。
 また、私が「猟奇的な彼女」を観てロケ地へ行ってみようと思うにまでいたったのは、映画の内容そのものの良さよりも、この映画に日本人の情緒との共通性を感じ、韓国に非常に親近感を持ったことがあげられます。

延世大学公共経営大学院 ソウルの新村にある延世大学の公共経営大学院へ行きました。ここは、「猟奇的な彼女」では、猟奇的な彼女が乙女らしく彼氏を待つ場所として使われましたが、最近では韓国ドラマ「アイリス」でも使われています。
 この校舎周辺は、広い大学の中でも趣のある美しい造りになっていて、映画等のロケで頻繁に使われるのもうなづけます。ロケに使われることが、この大学の知名度やブランド力の向上に、大いに貢献していることは言うまでもありません。これも大学の経営戦略なのでしょう。
 大学の造りも他の大学と同じでは、特にこの大学がロケに使われることもないでしょうし、使われたとしても、使われなかった大学との間の競争において、知名度を上げたりする差別的・戦略的価値はないと思います。また、日本でも韓国でも偏差値の高いことが、大学の売りであることは言うまでもありませんが、何事につけても個性がなく、他の大学と同じでは、学生も集まらないでしょう。やはり、競争するには他の相手との差別化を図ることが大事ですね。
 余談ですが、大学院では院生たちと政策について議論しました。日本の大学生とは違い、韓国の学生は英語がしゃべれます。政策をクリエートしていく、ということに非常に真摯かつ実直な姿勢で、こういう姿勢を持っているということは、そうでない学生との差別化ができている、または、この学生たちには付加価値がある、と私に思わせるものでした。こういう学生と一緒に磐田市役所でまちづくりに取り組みたいと思いました。この大学での経験は刺激的で、韓国滞在の4日間のうち2日を過ごしました。

猟奇松 「猟奇的な彼女」の象徴というと、「猟奇松」(緯度経度:37.201576,128.688751)と呼ばれる松です。ここへはソウルの清涼里駅から禮美という駅まで3時間かけて電車で行きました。ムグンファ号という全席指定の急行列車で行きます。禮美駅周辺は、辺鄙な田舎です。
 禮美駅から猟奇松までは、タクシーで往復しました。駅員さんが親切にタクシーを呼んでくれ、また猟奇松に着いたら1時間後にまた私をピックアップに来てくれるようにタクシーの運転手さんに通訳してくれました。タクシー代は、往復30,000ウォン(約2,400円)と少し高めでした。
 猟奇松は、撮影当時のまま健全に残っていましたが、その周りは観光用に整備されて、映画の趣はまったくなくなってしまっていて残念でした。また、禮美駅から猟奇松までの行き方も、まったく観光案内がありませんでした。10年も前の映画ですから当然でしょうが、この猟奇松周辺の整備は、数年前から始まったといいます。なんかタイミングが中途半端な感じがします。なお、駅員さんの話によると、中国からの観光客が多いということでした。

仁川第一教会横の階段 ロケ地巡りの中で、私が一番印象に残ったのは、仁川第一教会の横にある階段でした。ここへ行ってみたのは、自分の個人的な趣味だけです。レンガ造りというのに趣があり好きでした。この階段は、映画撮影のときのままの状態で残っています。
 また、近くの自由公園でマッカーサーの像を観たり、たまたま公園内で催されていたイベントを観ました。この公園の回りは歴史的なものも多く、たくさんの映画やドラマのロケで使われているそうです。

 私が今回ロケ地巡りをしようと思った理由の一つに、冬のソナタなどの韓流ブームの中でロケ地ツアーが脚光を浴びましたが、ロケ地巡りがそんなに良いものかと実体験したいと思ったからでした。ただ、ツアーに乗っかっていくのは性に合わないので、自分で調べてロケ地を回りました。
 正直な話、ロケ地ツアーというと、なんかオバサンたちが行くもの、という感じがして、最初はあまり前向きではありませんでした。しかし、われわれの住む地域の特徴を生かしたまちづくりを進めていくため、観光行政は一つの大事な戦術ではないかと思います。その点、秋田は、韓国ドラマ「アイリス」で成功した例として挙げられるでしょう。いくら観光資源に優れ、ロケ地に使われたとしても、一番大事なのは、ドラマや映画のデキです。ヒットしなければ、ロケ地に使われても意味がありません。映画やドラマがヒットするか否かの予想は立てにくいものですが、有名俳優が起用されたり、何らかの話題性があるものについては、興行成績も良いであろうことは容易に想像できます。また、たくさんの人に磐田市に観光に来てもらい、楽しくお金を使ってもらうためには、磐田市が単にロケに使われるというだけではダメで、その使われ方や使われるモノに対して、他の地域にはない差別化されたものであることが必要です。

(参考)
IRIS 秋田ロケ地を巡る旅マップ
中村知子「韓国における日本大衆文化統制についての法的考察」(立命館国際地域研究)
江口涼子「映画ロケ地の誘致の効果と官の関与のあり方の考察」(政策研究大学院大学)
鈴木晃志郎「メディア誘発型観光現象後の地域振興に向けた地元住民たちの取り組み」(観光科学研究。2010年3月)
御園謙吉「地方自治体の観光政策と観光統計」(阪南大学)
プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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