非常勤職員の給与改善
2008-06-22(Sun)

写真は「イングランド 写真の日々」から「産業革命って何?」
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今年の10月には、こんなところから義母が遊びに来ます by 曽野田欣也
非常勤職員の給与改善=府省に勤務、780円最低基準に-指針策定へ・人事院
時事通信 2008/06/19
人事院は19日、府省に勤務する非常勤職員の給与・待遇を改善する方針を固めた。今夏の国家公務員給与勧告に向けて指針を策定する。
事務補助職などの非常勤について、高校卒常勤職員(一般職)の初任給相当額を時給換算した約780円を最低基準とし、基準以下の府省には今年度中の引き上げを求める考えだ。人事院の方針は、国立大学、独立行政法人や自治体に加え、民間の動向にも影響を与える可能性がある。
事務補助職などの非常勤について、高校卒常勤職員(一般職)の初任給相当額を時給換算した約780円を最低基準とし、基準以下の府省には今年度中の引き上げを求める考えだ。人事院の方針は、国立大学、独立行政法人や自治体に加え、民間の動向にも影響を与える可能性がある。
記事では、「自治体に加え、民間の動向にも影響を与える可能性がある」としていますが、私は、自治体に与える影響は極めて小さいと考えています。なぜなら、国と自治体とでは非常勤職員の任用等の根拠法が異なるので、それがそのまま自治体に適用できるとは限らないからです。
非常勤職員の勤務条件に関しては、各種休暇の整備など大事な論点があります。また、自治体の非常勤職員に関する大きな課題は、任用の根拠を地方公務員法第3条や第17条としているものにかかる雇い止めの問題や、第22条を根拠とするものについては、任用の在り方という基本的なところにあります。
さて、この人事院の方針は、今年の人事院勧告で示されるようですが、現行案を見る限り、賃金水準の決定基準については従来より突っ込んだ内容になっているものの、通勤手当や期末手当については、以前から通知しているところを改めて言っているに過ぎません。
非常勤職員の待遇改善に関しては、2007年3月には、「荒川区で非常勤職員に昇任制度(PDF)」とか、2008年1月には「港区非常勤職員の勤続昇給に都が異議」という例もありました。
現段階における人事院案は次に引用するとおりです。
「国公労連速報」2008年6月20日《No.2003》から転載した「すくらむ」から引用
なお、第3項目にある「給実甲83」を根拠に地方公務員法第22条による臨時職員に期末手当を支給している自治体もあるようです。運用面で国に準じるのも一法ですが、こうした通知以前に則るべき法律があるのですから、この場合、給実甲を根拠にすることが妥当であるとは思いません。
(参考)
小嶌典明「労働市場改革について」(PDF)
【非常勤職員の給与に関するガイドライン(案)】
1 俸給に相当する給与については、当該非常勤職員の職務と類似する職務の常勤職員に適用されている俸給表の1級の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 相当長期にわたって勤務する職員に対し、期末手当に相当する給与について、勤務期間等を考慮の上、支給するよう努めること。
4 各府省においては、非常勤職員の給与に関し、上記1から3までの趣旨を実施するよう、規程を整備すること。
給与三課の担当者による説明と、その後の質疑の中でさらに明らかになった点は以下の通りです。
○ ガイドラインの性格について
・ 非常勤職員の給与決定方法は、各省の実態によりさまざまで、
(1)地場賃金を考慮するもの、(2)近隣官公庁の水準を考慮するもの、あるいは(3)常勤職員の俸給表を基礎として定めるもの、などがある。(3)については今回のガイドラインはクリアできるが、(1)(2)でこれより抑えられているものがあり、これについては、ガイドラインの線まで引き上げてもらうことになる。
・ ガイドラインの水準を下回っているものをいかに引き上げるか、というのが今回制定の趣旨であり、すでに上回っているものを下げることは想定していない。
○ 第1項目
・ 「俸給に相当する給与の決定」にあたっては、職務の相当する常勤職員に適用される俸給表の1級初号の俸給月額を基礎に、個人の職務経験、免許・資格、さらに当該地域の常勤職員に適用される地域手当を考慮して月額を算定の上、実際の日額や時間単価を決定する。
・ 昇給は長期在職の常勤職員に適用されるもので、非常勤職員への適用は考えていない。ただし、事実上1年を超えて雇用が継続するケースについては、前年の勤務経験を考慮して給与を改定することは可能。
・ 相談員等の専門的な職種については、職務の内容に応じて2~3級などへの格付けはできる。
○ 第2項目
・ 通勤手当は実費弁済の性格もあり、かつ民間の非正規職員の場合でも7割が支給されているので、支給することにした。その他の手当については、民間で家族手当は常勤並みの職員でも8%、住宅手当も6%にすぎず、現段階で支給できるとは考えられない。
○ 第3項目
・ これは努力義務であり、常勤職員ならある程度の期間勤務すれば期末手当が支給されることを踏まえ、昭和28年の給実甲83で「相当長期にわたって常勤職員とほぼ同様の勤務についている者」について常勤の期末手当、勤勉手当との均衡を考慮して取り扱うよう通達し、昭和30年には特に勤務期間が6カ月以上のおよぶ職員についても、この趣旨で取り扱うよう通達した。今回の内容はその趣旨をくんだものであり、「6カ月」が最低の目安になる。
・ 勤勉手当は評価を前提とするものとなり、非常勤職員に評価がなじまないこともあり、今回ははずすことにした。
1 俸給に相当する給与については、当該非常勤職員の職務と類似する職務の常勤職員に適用されている俸給表の1級の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 相当長期にわたって勤務する職員に対し、期末手当に相当する給与について、勤務期間等を考慮の上、支給するよう努めること。
4 各府省においては、非常勤職員の給与に関し、上記1から3までの趣旨を実施するよう、規程を整備すること。
給与三課の担当者による説明と、その後の質疑の中でさらに明らかになった点は以下の通りです。
○ ガイドラインの性格について
・ 非常勤職員の給与決定方法は、各省の実態によりさまざまで、
(1)地場賃金を考慮するもの、(2)近隣官公庁の水準を考慮するもの、あるいは(3)常勤職員の俸給表を基礎として定めるもの、などがある。(3)については今回のガイドラインはクリアできるが、(1)(2)でこれより抑えられているものがあり、これについては、ガイドラインの線まで引き上げてもらうことになる。
・ ガイドラインの水準を下回っているものをいかに引き上げるか、というのが今回制定の趣旨であり、すでに上回っているものを下げることは想定していない。
○ 第1項目
・ 「俸給に相当する給与の決定」にあたっては、職務の相当する常勤職員に適用される俸給表の1級初号の俸給月額を基礎に、個人の職務経験、免許・資格、さらに当該地域の常勤職員に適用される地域手当を考慮して月額を算定の上、実際の日額や時間単価を決定する。
・ 昇給は長期在職の常勤職員に適用されるもので、非常勤職員への適用は考えていない。ただし、事実上1年を超えて雇用が継続するケースについては、前年の勤務経験を考慮して給与を改定することは可能。
・ 相談員等の専門的な職種については、職務の内容に応じて2~3級などへの格付けはできる。
○ 第2項目
・ 通勤手当は実費弁済の性格もあり、かつ民間の非正規職員の場合でも7割が支給されているので、支給することにした。その他の手当については、民間で家族手当は常勤並みの職員でも8%、住宅手当も6%にすぎず、現段階で支給できるとは考えられない。
○ 第3項目
・ これは努力義務であり、常勤職員ならある程度の期間勤務すれば期末手当が支給されることを踏まえ、昭和28年の給実甲83で「相当長期にわたって常勤職員とほぼ同様の勤務についている者」について常勤の期末手当、勤勉手当との均衡を考慮して取り扱うよう通達し、昭和30年には特に勤務期間が6カ月以上のおよぶ職員についても、この趣旨で取り扱うよう通達した。今回の内容はその趣旨をくんだものであり、「6カ月」が最低の目安になる。
・ 勤勉手当は評価を前提とするものとなり、非常勤職員に評価がなじまないこともあり、今回ははずすことにした。
なお、第3項目にある「給実甲83」を根拠に地方公務員法第22条による臨時職員に期末手当を支給している自治体もあるようです。運用面で国に準じるのも一法ですが、こうした通知以前に則るべき法律があるのですから、この場合、給実甲を根拠にすることが妥当であるとは思いません。
(参考)
小嶌典明「労働市場改革について」(PDF)
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