抽象的思考力の重要性
2008-06-26(Thu)

写真は「イングランド 写真の日々」から「Pavlova」
by ukphotography
堪りません。お腹イッパイ食べてみたい by 曽野田欣也
先日、とある方とメールで意見交換をしました。その中で印象的かつ非常に重要だと思ったことがあったので記録しておきます。
その方と私が意見交換したのは、「組織と人」についてでした。お互いに問題意識を述べた後で、その方が触れたのは地方公務員の仕事の質としての「抽象度」についてでした。
地方行政に携わる者として、この抽象度のより一層高いレベルで仕事ができるよう、その能力を向上させることが重要であるという点で意見が一致しました。
地方公務員の業務と抽象性は、どのような関係があるのでしょうか。
機関委任事務はなくなったとはいえ、自治体における事務の多くを占める法定受託事務について、国や県の通知等に従ってナショナルミニマムを持続させていくことも重要です。しかし、公共の福祉のため積極的に政策を立案し、そのステージにおいて、抽象度の高い仕事ができることは極めて重要です。
大森彌氏の「官のシステム」(第144頁)にも、中央官庁の係長たちは、
また、岡崎久彦氏も著書「戦略的思考とは何か」(中公新書 昭和58年初版 第4頁)の「はじめに」において、戦略を考えるには、
国だけでなく、地方自治においても同様です。牧瀬稔氏が著書「議員が提案する政策条例のポイント」(平成20年6月4日初版 第21頁)において、新藤宗幸氏(千葉大学教授)の次の言葉を引用され、分かりやすさに加え抽象性も条例を作る際のポイントであることを指摘しています。
制度改正には、それほど抽象的な思考力は必要ないかもしれませんが、それも新たな制度を構築する際との比較における相対的な違いに過ぎず、重要であることに変わりはありません。
行政が政策の説明責任を果たすに当たっては、具体的で分かり易い説明をする義務がありますが、ここでいう分かりやすさと政策立案をする上での抽象的思考力、あるいは法令を起案する上での抽象性とは相反するものではありません。
行政のアカウンタビリティと市民のヒューリスティクスについては、いつか論点をまとめてみたいと思います。
(参考)
Bryan Caplan「The Myth of the Rational Voter: Why Democracies Choose Bad Policies」(Princeton Univ.) この本は未読ですが、ペーパーバックか邦訳が出れば読みたいと思います。
アーサー・ルピア他「民主制のディレンマ―市民は知る必要のあることを学習できるか?」(木鐸社)
大森彌氏の「官のシステム」(第144頁)にも、中央官庁の係長たちは、
「(中略)行政判断を下す際の、材料の収集、選択、抽象化」や「説得力のある資料の作り方」を学ぶ
とあります。また、岡崎久彦氏も著書「戦略的思考とは何か」(中公新書 昭和58年初版 第4頁)の「はじめに」において、戦略を考えるには、
「戦争という、いつ起こるのか、成り行きいかんでは何十年も起こらないですむかもしれないものについて考えるのですから、相当な抽象的論理的思考が必要になります。」
と述べられています。国だけでなく、地方自治においても同様です。牧瀬稔氏が著書「議員が提案する政策条例のポイント」(平成20年6月4日初版 第21頁)において、新藤宗幸氏(千葉大学教授)の次の言葉を引用され、分かりやすさに加え抽象性も条例を作る際のポイントであることを指摘しています。
「もともと法律は、社会的規範として力をもつために、一定の抽象度を備えていなくてはなりません。」
制度改正には、それほど抽象的な思考力は必要ないかもしれませんが、それも新たな制度を構築する際との比較における相対的な違いに過ぎず、重要であることに変わりはありません。
行政が政策の説明責任を果たすに当たっては、具体的で分かり易い説明をする義務がありますが、ここでいう分かりやすさと政策立案をする上での抽象的思考力、あるいは法令を起案する上での抽象性とは相反するものではありません。
行政のアカウンタビリティと市民のヒューリスティクスについては、いつか論点をまとめてみたいと思います。
(参考)
Bryan Caplan「The Myth of the Rational Voter: Why Democracies Choose Bad Policies」(Princeton Univ.) この本は未読ですが、ペーパーバックか邦訳が出れば読みたいと思います。
アーサー・ルピア他「民主制のディレンマ―市民は知る必要のあることを学習できるか?」(木鐸社)
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