教育長の非常勤化
2008-07-13(Sun)

写真は「イングランド 写真の日々」から「チェリー」
by ukphotography
これも大好き by 曽野田欣也
「初心忘るべからず」の「先進的って何だ?」経由で、
教育長を非常勤に 行革の一環 中頓別町議会、提案検討
北海道新聞 2008/7/13
【中頓別】宗谷管内中頓別町議会が、行政改革の一環として教育長の非常勤化を可能にする条例案の議員提案の検討に入った。文部科学省の指導もあり、教育長の非常勤化は全国で例はないが、大分県の教員採用汚職で教育委員会のあり方が問われる中、人口二千二百人のまちの議会は千葉大の新藤宗幸教授(行政学)をアドバイザー役に、文科省などの壁に挑む。
教育長を非常勤化することの行革メリットは記事からは明確でないが、給料や退職手当を含む手当の削減が考えられます。
教育長を非常勤にするには、一般職のままで良いか、それとも特別職としなければならないかという論点がある。一般職にも地方公務員法第28条の5の「短時間勤務の職」があるが、これを教育長に適用することにはムリがあるので、今までの法令上の運用のままで特別職と解釈しようとしているのでしょう。
教育長が一般職であることについては、以前「教育長は一般職か特別職か」で検討しました。
kei-zu氏も京都府東部3町村の「相楽東部広域業務連携協議会」の例から「教育委員会の一本化は例がないそうですが、であればこそ、小規模自治体において法定行政委員会として必置である意味が問われているような気がします」と述べておられます。これは合併しない小規模な自治体における教育長のあり方に留まらず、教育委員会の存在意義に問題提起をするものとも捉えられるでしょう。
非常勤で済む職をわざわざコストのかかる常勤の職にしておかなくても良いと思います。これは、我々の職についてもセクショナリズムと関連して言える事ではないでしょうか。
(参考)
自治体法務の備忘録「小さな自治体の財政難「教委一本化」で広域連合」(2008/7/8)
草加市教育委員会「生涯学習行政における教育委員会と首長の権限分担の弾力化」(2006/11/30)
小さな自治体の財政難 「教委一本化」で広域連合 /京都
毎日新聞 2008年7月6日 地方版
(参考)
自治体法務の備忘録「小さな自治体の財政難「教委一本化」で広域連合」(2008/7/8)
草加市教育委員会「生涯学習行政における教育委員会と首長の権限分担の弾力化」(2006/11/30)
(北海道新聞 2008/7/13 記事続き)
「小規模自治体でも先進的な取り組みができる実例だ」。改革派知事と研究会を持ち地方分権の提言をしている新藤教授は、同町議会の動きを評価する。
同町議会は六月二十日の本会議で、地方自治法一〇〇条に基づき教育長の非常勤化に関する調査を新藤教授に依頼することを議決。新藤教授は八月二、三両日に町を訪れ、早ければ九月定例会にも提案する条例案について町議と検討する。
議員定数や報酬の削減をしてきた同町議会は二〇〇五年から行革の一環で教育長の非常勤化の検討にも着手。だが、道町村会などは文科省の通知などを根拠として、教育長は常勤一般職と助言してきた。
これに対し、自治体の裁量権拡大の観点から、新藤教授は同町議会の活動に着目。正式な調査依頼に先立って、町議八人全員所属の「いきいきふるさと常任委員会」の問い合わせに「議会の同意を必要とする教育長は政治的任命職を意味する特別職で、勤務条件をいかに定めるかは自治体の裁量範囲内」と回答した。同委はこれを根拠に「非常勤化は可能」との報告をまとめた。
同町はピーク時に十校あった小中学校が来春には二校に。ふるさと常任委員会の柳沢雅宏委員長は「何が何でも非常勤化というのでなく、町長に選択肢を与えたい。教育長を突破口に住民自らが考えるまちに」と話す。
教育長の非常勤化は、全国では長野県栄村などが行革計画でうたっているものの、実現していない。
二〇〇〇年の地方分権一括法施行で国と地方は対等の関係となり、都道府県教育長は文科相、市町村教育長は都道府県教委が事前承認する制度は廃止になったが、文科省は過去の通知などから、教育長は常勤一般職とするよう“指導”している。
「小規模自治体でも先進的な取り組みができる実例だ」。改革派知事と研究会を持ち地方分権の提言をしている新藤教授は、同町議会の動きを評価する。
同町議会は六月二十日の本会議で、地方自治法一〇〇条に基づき教育長の非常勤化に関する調査を新藤教授に依頼することを議決。新藤教授は八月二、三両日に町を訪れ、早ければ九月定例会にも提案する条例案について町議と検討する。
議員定数や報酬の削減をしてきた同町議会は二〇〇五年から行革の一環で教育長の非常勤化の検討にも着手。だが、道町村会などは文科省の通知などを根拠として、教育長は常勤一般職と助言してきた。
これに対し、自治体の裁量権拡大の観点から、新藤教授は同町議会の活動に着目。正式な調査依頼に先立って、町議八人全員所属の「いきいきふるさと常任委員会」の問い合わせに「議会の同意を必要とする教育長は政治的任命職を意味する特別職で、勤務条件をいかに定めるかは自治体の裁量範囲内」と回答した。同委はこれを根拠に「非常勤化は可能」との報告をまとめた。
同町はピーク時に十校あった小中学校が来春には二校に。ふるさと常任委員会の柳沢雅宏委員長は「何が何でも非常勤化というのでなく、町長に選択肢を与えたい。教育長を突破口に住民自らが考えるまちに」と話す。
教育長の非常勤化は、全国では長野県栄村などが行革計画でうたっているものの、実現していない。
二〇〇〇年の地方分権一括法施行で国と地方は対等の関係となり、都道府県教育長は文科相、市町村教育長は都道府県教委が事前承認する制度は廃止になったが、文科省は過去の通知などから、教育長は常勤一般職とするよう“指導”している。
小さな自治体の財政難 「教委一本化」で広域連合 /京都
毎日新聞 2008年7月6日 地方版
◇和束町、笠置町、南山城村の人件費節約目指す
相楽郡東部に位置する和束町、笠置町、南山城村は、3町村合わせても人口が約1万人しかない小さな自治体だ。いずれも厳しい財政難に直面しているが、約2年前から広域業務連携に取り組み、来春には「広域連合」をスタートさせる方針という。その動きをまとめた。【三野雅弘】
◇全国に例がない手探り状態
■合併も出来ず
「このままでは生き残れない。けれど3町村合併は財政規模が小さすぎて効果がない」
先月末の人口は和束町5022人、笠置町1825人、南山城村3427人。財政の硬直化を示す経常収支比率は笠置町が123・2%、南山城村が104・5%(ともに06年度)と、全国的にも厳しい数字を示す。
合併の話がなかったわけではない。02年、相楽郡7町村(木津、加茂、山城、精華、和束、笠置の各町と南山城村)が新市を目指して任意合併協議会を設立。しかし、法定協移行の段階で木津町議会が否決した。「7町村の枠組みでの合併を希望する住民は13%だけ」などが理由だった。
その後、木津、加茂、山城3町は昨年3月に合併して木津川市に。他の町村は取り残されてしまった。
■進む共同化
東部3町村は06年4月、「相楽東部広域業務連携協議会」を発足させた。各首長や議会議長らで構成。事務局を笠置町役場に置く。
協議会の狙いは「行政事務を共同で実施することが出来れば、より少ない職員で対応が可能になる。経費も削減され、専門性も向上する」というものだ。
これまで、共通の広報誌「れんけい」を発行したり、国民保護計画や障害者基本計画の共同策定などを実施。特に、各町村教育委員会と笠置町南山城村中学校組合の計四つを統合する「教委一本化」を目指す。教育委員や事務局員の数が減り、人件費の節約になるからだ。
■広域連合を選択
これらの事務を実施していくのに、今後どんな形がふさわしいのか。その議論のなかで広域連合方式が浮上した。広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体の一つ。さまざまな部署をまとめることができ、府からの権限移譲の受け皿になる。
ただ協議が順調とは言いがたい。昨年度も今年4月スタートを目指して規約づくりを進めたが、時間切れになった経緯がある。
今月2日に開かれた協議会。府の幹部も初めて出席し、2度の休憩を挟みながら午後5時ごろまで話し合いが続いた。しかし、事務所の設置場所や議員定数、経費負担割合などは決められなかった。会長の堀忠雄・和束町長は「議論を尽くしたい」と話したが、来年春のスタートを目指すとすれば、各町村の9月議会に関連議案を提案し、議決を経て府に設置許可申請をする流れがスムーズだ。残された時間は少ない。
■“未知”の取り組み
総務省によると、今年4月現在、全国で111の広域連合がある。昨年には47都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が加わった。また府では、課税業務の共同化を行う広域連合を現在、検討中だ。
一方、相楽東部3町村が目指す教委一本化を業務とした広域連合は、全国でも例がないという。いわば手探り状態だが、教委一本化で具体的にどれだけの効果があるのか、また、教育水準の維持に問題がないのか、話し合う課題はなお多いだろう。住民の意見も聞きながら協議する必要性を感じる。
相楽郡東部に位置する和束町、笠置町、南山城村は、3町村合わせても人口が約1万人しかない小さな自治体だ。いずれも厳しい財政難に直面しているが、約2年前から広域業務連携に取り組み、来春には「広域連合」をスタートさせる方針という。その動きをまとめた。【三野雅弘】
◇全国に例がない手探り状態
■合併も出来ず
「このままでは生き残れない。けれど3町村合併は財政規模が小さすぎて効果がない」
先月末の人口は和束町5022人、笠置町1825人、南山城村3427人。財政の硬直化を示す経常収支比率は笠置町が123・2%、南山城村が104・5%(ともに06年度)と、全国的にも厳しい数字を示す。
合併の話がなかったわけではない。02年、相楽郡7町村(木津、加茂、山城、精華、和束、笠置の各町と南山城村)が新市を目指して任意合併協議会を設立。しかし、法定協移行の段階で木津町議会が否決した。「7町村の枠組みでの合併を希望する住民は13%だけ」などが理由だった。
その後、木津、加茂、山城3町は昨年3月に合併して木津川市に。他の町村は取り残されてしまった。
■進む共同化
東部3町村は06年4月、「相楽東部広域業務連携協議会」を発足させた。各首長や議会議長らで構成。事務局を笠置町役場に置く。
協議会の狙いは「行政事務を共同で実施することが出来れば、より少ない職員で対応が可能になる。経費も削減され、専門性も向上する」というものだ。
これまで、共通の広報誌「れんけい」を発行したり、国民保護計画や障害者基本計画の共同策定などを実施。特に、各町村教育委員会と笠置町南山城村中学校組合の計四つを統合する「教委一本化」を目指す。教育委員や事務局員の数が減り、人件費の節約になるからだ。
■広域連合を選択
これらの事務を実施していくのに、今後どんな形がふさわしいのか。その議論のなかで広域連合方式が浮上した。広域連合は地方自治法に基づく特別地方公共団体の一つ。さまざまな部署をまとめることができ、府からの権限移譲の受け皿になる。
ただ協議が順調とは言いがたい。昨年度も今年4月スタートを目指して規約づくりを進めたが、時間切れになった経緯がある。
今月2日に開かれた協議会。府の幹部も初めて出席し、2度の休憩を挟みながら午後5時ごろまで話し合いが続いた。しかし、事務所の設置場所や議員定数、経費負担割合などは決められなかった。会長の堀忠雄・和束町長は「議論を尽くしたい」と話したが、来年春のスタートを目指すとすれば、各町村の9月議会に関連議案を提案し、議決を経て府に設置許可申請をする流れがスムーズだ。残された時間は少ない。
■“未知”の取り組み
総務省によると、今年4月現在、全国で111の広域連合がある。昨年には47都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が加わった。また府では、課税業務の共同化を行う広域連合を現在、検討中だ。
一方、相楽東部3町村が目指す教委一本化を業務とした広域連合は、全国でも例がないという。いわば手探り状態だが、教委一本化で具体的にどれだけの効果があるのか、また、教育水準の維持に問題がないのか、話し合う課題はなお多いだろう。住民の意見も聞きながら協議する必要性を感じる。
スポンサーサイト