口ひげで人事評価マイナス
2008-07-16(Wed)

写真は「イングランド 写真の日々」から「小さな本の王国」
by ukphotography
<人事評価>口ひげ理由は人権侵害…大阪弁護士会が是正勧告
毎日新聞 2008年7月15日
口ひげを理由にマイナスの人事評価をしているのは人権侵害に当たるとして、大阪弁護士会は15日、日本郵政グループの郵便事業会社に是正を求める勧告書を送付した。
同会は「無精ひげまで認めるべきとは言えないが、手入れされている場合は人格権の一部として保護されるべきだ」と判断した。
同会は「無精ひげまで認めるべきとは言えないが、手入れされている場合は人格権の一部として保護されるべきだ」と判断した。
服装やヒゲなどの身だしなみも、労働条件の一部を構成します。接客業などにおいて、お客様に不快感を持たれないような身だしなみが求められるのは当然なことです。
こうした合理的な理由により、身だしなみについて服務規程等で定めておけば、この規制は合法であり、職員に対して拘束力を持つと言えます。
しかし、この規制が合理的な範囲でなければ、それは争う余地があります。本件の場合、一般的に「ヒゲはすべてダメ」とするものであれば、行き過ぎの感が否めません。
公務員の場合、「人事評価」がブームでどの自治体も「目標管理制度」や「コンピテンシー」に基づいた人事評価制度(人事考課制度)を運用しています。これらの制度は、「評価シート」に記載されたことのみに基づいて評価するのがルールですが、A4用紙一枚の両面に記載できることで、評価対象とされる項目を網羅できるわけがありません。
評価シートによる評価の客観性にばかり囚われて、評価シートにない事項を評価の対象に取り上げ、職員を総合的に評価することの重要性は、能力評価・実績評価などと言われている中で盲点になっています。
なお、ヒゲと服務規律に関しては、判例にも次のようなものがあります。
イースタン・エアポートモータース事件(東京地裁昭和55年12月15日判決)
(判決の要旨)
口ひげは、服装、頭髪等と同様もともと個人の趣味・嗜好に属する事柄であり、本来的には各人の自由である。しかしながら、その自由は、あくまでも一個人としての私生活上の自由であるにすぎず、労働契約の場においては、契約上の規制を受けることもあり得るのであり、企業に対して無制約な自由となるものではない。
すなわち、従業員は、労働契約を締結して企業に雇用されることに伴い、労働契約に定められた労働条件を遵守し、その義務を履行することは当然である。従って、企業が、企業経営の必要上から容姿、口ひげ、服装、頭髪等に関して合理的な規律を定めた場合(中略)、右規律は、労働条件の一となり、社会的・一般的に是認されるべき口ひげ、服装、頭髪等も労働契約上の規制を受け、従業員は、これに添った労務提供義務を負うこととなる。
「ヒゲをそること」とは、第一義的には右趣旨に反する不快感を伴う「無精ひげ」とか「異様、奇異なひげ」を指しているものと解するのが相当である。
口ひげは、服装、頭髪等と同様もともと個人の趣味・嗜好に属する事柄であり、本来的には各人の自由である。しかしながら、その自由は、あくまでも一個人としての私生活上の自由であるにすぎず、労働契約の場においては、契約上の規制を受けることもあり得るのであり、企業に対して無制約な自由となるものではない。
すなわち、従業員は、労働契約を締結して企業に雇用されることに伴い、労働契約に定められた労働条件を遵守し、その義務を履行することは当然である。従って、企業が、企業経営の必要上から容姿、口ひげ、服装、頭髪等に関して合理的な規律を定めた場合(中略)、右規律は、労働条件の一となり、社会的・一般的に是認されるべき口ひげ、服装、頭髪等も労働契約上の規制を受け、従業員は、これに添った労務提供義務を負うこととなる。
「ヒゲをそること」とは、第一義的には右趣旨に反する不快感を伴う「無精ひげ」とか「異様、奇異なひげ」を指しているものと解するのが相当である。
(記事続き)
同会の人権擁護委員会に救済を申し立てていたのは、同社近畿支社生野支店(大阪市生野区)に勤務する男性(55)。90年から口ひげを生やしている。
同会によると、郵便事業会社は郵政公社時代の04年、昇給やボーナスに連動する「接遇・マナーレベル認定制度」を導入。「ひげはきちんとそる」といった「身だしなみ基準」などいくつかの基準をクリアした社員を認定。達成度に応じて1~3個の“星”を付与している。
男性は未認定で、「顧客から苦情もないのに認定されず、人事評価で不利益な扱いを受けるのは不当」として、救済を申し立てていた。【川辺康広】
同会の人権擁護委員会に救済を申し立てていたのは、同社近畿支社生野支店(大阪市生野区)に勤務する男性(55)。90年から口ひげを生やしている。
同会によると、郵便事業会社は郵政公社時代の04年、昇給やボーナスに連動する「接遇・マナーレベル認定制度」を導入。「ひげはきちんとそる」といった「身だしなみ基準」などいくつかの基準をクリアした社員を認定。達成度に応じて1~3個の“星”を付与している。
男性は未認定で、「顧客から苦情もないのに認定されず、人事評価で不利益な扱いを受けるのは不当」として、救済を申し立てていた。【川辺康広】
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