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昇任試験に閑古鳥
ブサイク林檎


写真は「イングランド 写真の日々」から「ブサイク林檎
by ukphotography





「出世より自分の時間大切」名古屋市の昇任試験が閑古鳥
asahi.com 2008年7月16日
 名古屋市役所の係長の昇任試験を受ける職員が減り続けている。98年度に1357人いた「行政事務」分野の受験者数は、07年度には522人と、ほぼ3分の1に落ち込んだ。出世より、自分の時間を優先する生活スタイルの変化が大きな理由と市はみている。

 「昇任試験のための受験勉強より、子どもとの時間を持ちたい」

 ある管理職は部下に係長試験の受験を勧めたところ、こう断られた。

 ある幹部職員の方からご紹介頂いた新聞記事です。

 人材の育成の難しさと大切さの両方が、本市にも共通する課題として見えてきます。

 本市には昇任試験がありませんから、名古屋市職員のようなことは起こりえませんが、私は昇任試験のための勉強と子育てが両立しえないものだとは考えません。

 子供もいつか親との時間を持ちたがらない年頃の時期が来ます。また、受験期が子育ての大事な時期に当たることもあるかもしれませんが、学校の受験と同じで、昇任試験のために必要となる集中的な勉強期間は、職業人生の一時期に過ぎない、ということもいえます。

 したがって、これは二者択一の考え方で捉えるべきことではないと思います。それに、出世と家庭を天秤にかける問題でもないと思います。個々の職員が自律的にキャリアパスを描いているのか、という点が大事です。

 また、その一方で、人事は組織として人材の有効活用の観点から、職員に対してどのようなキャリアパスを提示できるかが問われます。新卒採用した者を終身雇用するシステムを継続する組織において、この役割と責任は未だ大きいと言えます。 
(参考)
livedoor News「キヤノン 厳しさ増す昇格スクリーニング、若い人ほど狭き門に」(2006年08月26日)
松繁寿和「人事処遇制度変革は何を変化させ、今後さらに何を変えようとしているか」(PDF)
野見山宏「自治体人事行政に関する一考察」(PDF)
横浜市「係長昇任試験の合格者を決定しました」(平成18年12月7日)

(記事続き)
 33歳の女性職員は30歳のときに試験に挑んだが、合格せず、最近は受けていない。「仕事が広がると思って受けたが、自分は人を使うのが向いていない。勉強を続けて苦労して受けるより、いまの仕事で十分」

 課長以上には月8万~15万円ほどの管理職手当がつく。市の給与モデルだと、50歳の管理職は年収に手当を加えると1086万円。役職がないと約340万円下がる。

 名古屋市の場合、唯一ある昇任試験が係長試験で、それに合格しないと管理職の課長以上にはなれない。だが、受験者数は減り続ける一方だ。

 専門職などを除く行政事務分野の合格者数はこの10年、100人程度を維持しているが、98年度に11.9倍だった合格倍率は07年度は5.1倍と大きく下がった。

 通常は1年ほどかけて試験に備え、グループを作って勉強会をする職員もいる。受験が敬遠されがちなのは、こうしたわずらわしさに加え、係長になると、課の責任窓口として携帯電話で夜も呼び出されることもあるからだ。

 50歳代のある幹部は「最近の若手は責任を負わなければいけないということにばかり目がいくのかもしれない」とこぼす。

 市が懸念するのは、市全体を引っ張ろうという職員と、それ以外とで二極化してしまうと組織力が落ちるのではないか、という点だ。

 市は試験勉強を通じ、所属する課の専門知識だけではなく市全体を見渡す視点を磨く機会にしたいと考えている。そのため、筆記に「市政のあり方についてどう考えるか」といった問題意識を問う論述問題を設けている。

 歯止めをかけようと、試験を受けられる年次を05年度には2年引き下げたが、状況は変わらなかった。年に1度の職員面接の際に、上司が部下に試験を受けるよう促す「声かけ運動」も始めたが、打開策は見つかっていない。(井上未雪)



Inokenblog「名古屋市の昇任試験
 この報道の中で名古屋市の幹部が分析しているのとは、違う印象をもった。「昇進」というよりも、仕事そのものにやりがいをみいだす傾向が見られるのではと感じた。
 仕事と自分の生活の比較で、自分の生活の方を優先するとか、仕事にやりがいを持っていないというのではなく、昇進することそれ自体ではなく、仕事の内容として、こういうことをやりたいという形で、やりがいを見いだしている方が、多いと感じた。で、そのこと自体は私にはとても健康的に感じられた。
 他の講師の方も、そういう観点から、最後の成果報告会では、「自分のテーマや専門をもとう」という方向で、お話し下さったと記憶している。

 いずれにしても、これまでとは異なる発想で、市役所でもキャリア形成のサポートが必要ということ。また、公務員もまた、一人の市民であり、市役所も大きな(?!)事業所なのだから、仕事の仕方・生活の仕方、両者の調整などについて、新しいあり方を是非模索し、社会に提言してほしい。

  同感です。

公務員に「出世拒否」が増殖 「責任イヤ」「趣味を優先」
JCast 楽天ニュース 2008年7月18日
 出世を嫌う公務員が増えている。横浜市では、係長昇任試験への応募が15年で半減、名古屋市では、10年でなんと3分の1になった。各自治体では、筆記試験を止めたり、受験できる入庁年次を引き下げたりしているが、決定打とはなっていないようだ。

係長試験受験者、横浜半減、名古屋3分の1
「公務員という立場に甘えている職員が多いのかな。係長、課長が少なくなれば、行政運営も滑らかにいかなくなる」
横浜市人事委の任用課長は、こう嘆く。

係長昇任試験で、横浜市では、受験者数が1993年の2174人をピークに年々減少。2006年には、半減して935人と1000人の大台を切った。「昇任試験の受験は、仕事に貢献しようという意識の表れです。向上心の低下は、組織の活性化にとってよくありません」

そこで、横浜市では、受験者数を増やそうと、07年の試験で40歳以上の筆記試験を止めた。代わりに、勤務実績と面接だけで登用することにした。また、本人希望だけだった試験に、所属部署からの推薦制度を導入した。その結果、この年の受験者数は、1022人と減少に歯止めがかかった。ただ、任用課では、まだ不足だとしており、現在、次の手をどうするか検討している。

同様な傾向は、名古屋市でも明らかになった。同市人事委によると、行政事務における係長昇任試験の受験者数は、98年度が1357人だった。それが、07年度には522人とほぼ3分の1にまで落ち込んだ。同市では、減少に歯止めをかけようと、05年度の試験で、受けられる入庁年次を2年引き下げた。しかし、状況は大きく変わらなかったという。

「仕事もお金も、そこそこ、ほどほど」
なぜ、公務員の出世意欲が減退しているのか。

横浜市が職員にアンケートしたところ、昇任を嫌う理由が3つ挙がった。1つは、対外的に責任のある係長以上は、負担が重くなるから。2つ目は、趣味などの私生活と両立できない、3つ目は、仕事がきついのにそれに見合った収入が得られない、という点があった。

名古屋市でも、同様な理由からだ。同市人事委の任用係長は、「個々人の事情もあると思いますが、責任を持つのがイヤという声をちらほらと聞いています。給料よりも、自分のプライベートを優先する傾向もあります。理由ですか?社会全体がそんなふうなのかなとも思っています」と話す。

社会経済生産性本部の東狐貴一主任研究員は、横浜、名古屋に限らず、公務員ではよく見られる傾向だと指摘する。
「公務員の賃金は、成果や能力でなく、勤続年数で上がっていきます。管理職で大変な思いをするより、一般職のままでいいという人が多いようです」
特に、女性にその傾向が強いという。「管理職だと、子どもを迎えにいけない、介護ができない、と試験を受けない女性が増えていますね」。

社会的背景については、東狐主任研究員はこう指摘する。
「団塊世代の親は裕福で、収入は自分で使えます。親元から通っている人も多いので、自分で家を買う必要もなく、ローンでもない限り動機付けがありません。また、趣味を大切にし、自分は自分で生きていくという人が多い。仕事もお金も、そこそこ、ほどほどでいいとして、職場同期の間で競争原理が働きにくくなっています」

ちなみに、ソフトバンク・ヒューマンキャピタルが新社会人に08年4月行った意識調査の結果によると、仕事に求めていることとして、「やりがい」「給与」が70%を超えたものの、「出世」は10項目で最下位の12.8%だった。ヤフーのQ&Aサイト「知恵袋」でも、「出世や昇進したい動機がわからん」といった質問がいくつか上がっている。
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プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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