「カイゼン」は業務
2008-07-19(Sat)
2008年7月19日 asahi.com
「カイゼンは業務」浸透 製造業、見直す動き 本社調査
QC活動は、社員の自発性に訴えて取り組む一面はありますが、それが残業手当を支払わない根拠となり、実態は、使用者の管理下で行われる「業務」と変わりない運用がされていることも多かったようです。
イギリスでは、電車もバスも時刻表どおりに来ることは、まずありません。しかし、イギリスの労働者は定時になると、さっさと仕事を終えて帰っていきます。
私は、日本人は労働時間管理にルーズな面があるのではないかと思っています。何事もキチンと行い、電車などもダイヤどおりに発着する几帳面さとは対照的です。
名古屋地裁判決(11/30)が出て、2007年12月14日に確定したトヨタ過労死事件では、欧米のマスコミがこぞって報道したのにも関わらず、日本の民放ではあまり取り上げられなかったという報道もありました。(2008年01月15日 livedoorニュース)
最近では、「名ばかり管理職」の問題も出て来ました。
時間管理は雇用契約の根幹であり、労務管理の基本です。
「カイゼンは業務」浸透 製造業、見直す動き 本社調査
生産現場の従業員が集団で取り組む自主的なQCサークルなどのカイゼン活動について、国内の大手製造業の間で「業務」として位置づけたり、報酬を支払ったりして見直す動きが相次いでいる。朝日新聞が全国の主要製造業50社を対象に実施したアンケートで明らかになった。活動のマンネリ化といった課題を抱える企業も少なくない。
QC活動は、社員の自発性に訴えて取り組む一面はありますが、それが残業手当を支払わない根拠となり、実態は、使用者の管理下で行われる「業務」と変わりない運用がされていることも多かったようです。
イギリスでは、電車もバスも時刻表どおりに来ることは、まずありません。しかし、イギリスの労働者は定時になると、さっさと仕事を終えて帰っていきます。
私は、日本人は労働時間管理にルーズな面があるのではないかと思っています。何事もキチンと行い、電車などもダイヤどおりに発着する几帳面さとは対照的です。
名古屋地裁判決(11/30)が出て、2007年12月14日に確定したトヨタ過労死事件では、欧米のマスコミがこぞって報道したのにも関わらず、日本の民放ではあまり取り上げられなかったという報道もありました。(2008年01月15日 livedoorニュース)
最近では、「名ばかり管理職」の問題も出て来ました。
時間管理は雇用契約の根幹であり、労務管理の基本です。
日本の一流企業の海外から賞賛された経営も、働く人の弱い立場や善意に依存しているところがあったのかもしれません。
働く人の自発性は、非常に重要であることに代わりはありませんが、それをQC活動の場合のような運用で利用するのではなく、モチベーション管理を適正に行い活用する、という積極的な経営施策が必要でしょう。
働く人の自発性は、非常に重要であることに代わりはありませんが、それをQC活動の場合のような運用で利用するのではなく、モチベーション管理を適正に行い活用する、という積極的な経営施策が必要でしょう。
(記事続き)
カイゼン活動の象徴であるトヨタ自動車が、非業務として扱ってきたQC活動を6月から「業務」と認め、残業代の全額支給を始めた。業務なのか自主活動なのか線引きがあいまいで、サービス残業の温床とされる企業の小集団活動の実態を調べるため、朝日新聞は50社に対し6月9日~30日、アンケートした。
QCサークルは全国で約3万あるとされ、回答した47社のうち44社がQCなどの小集団活動を実施。活動時間は月平均1時間~10時間だった。
44社のうち、小集団活動の位置づけの見直しを「検討中」と答えたのはブリヂストン、JFEスチール、スズキの3社。「最近3年間で見直した」としたのはコマツ、トヨタ子会社の日野自動車とダイハツ工業の3社だった。
ブリヂストンは、今は非業務として実施しているQC活動を勤務時間内に行うように見直す方針。「従業員のやる気を維持するには時代に合わせた変更が必要」という。JFEスチールも「活動の実態や他社の例も精査し、見直しを考える」と回答。スズキも「今後のQCのあり方を検討」と答えた。
5月から見直しを実施したコマツは、所定外労働時間に活動した場合は残業代を全額支払うように変更。日野は昨年4月から勤務時間内に活動するように改め、ダイハツは05年、職場ごとにばらついていた活動時間を月2時間を目安とするように明確化した。
QCなどの小集団活動を実施する44社中34社が「業務」「業務に準じる」と位置づけている。明確に「業務ではない」としたのは、ブリヂストンやスズキ、ホンダ、新日本製鉄、ヤマハ発動機、TOTOの6社だけ。日本の製造業の強さの源泉とされるカイゼン活動について、社員の自主性に任せるのではなく、通常の業務と位置づけた労務管理が生産現場に定着していることが明らかになった。
活動する時間帯が「所定内労働時間」か「所定外労働時間」かとの質問に対し、一律に「所定外」で実施していると回答したのはスズキ、新日鉄、ヤマハ発動機、TOTO、ブリヂストンの5社。回答を得た企業の半数以上が「所定内」に活動が収まらずに残業となった場合、残業代を上限なしで支給する。
サービス残業への社会の視線が厳しくなり、自主性重視よりも、使用者の指揮下での活動として扱う労務管理が産業界で主流になっている実態が浮き彫りになった。
■活動の自主性薄れる
一方、若年層を中心に価値観が多様化し、就業時間外の自主活動を強制と受け止める社員も増えた。活動の自発性が薄れ、形骸(けいがい)化が進むことへの悩みも企業の間に広がる。「活動がマンネリ化したり、職場間で活動姿勢のレベルに差が出たりといった問題が発生しがち」(三井化学)、「社員の若返りが進み、活動の趣旨が理解されないケースも出てくるのでは」(ブリヂストン)などの声が相次いだ。
正社員だけでなく、生産現場で増える非正社員を活動に加える企業も32社あり、活動の一体感を保つ難しさもありそうだ。王子製紙、TOTOの2社は活動を見直す必要性を見極めるため、社内の実態や他社の動向を調べる方針。
日本総合研究所の山田久主席研究員は「QC活動が時代とずれてきているという印象を受けた。活動が業務になると、従業員の自主性を引き出す本来の目的を果たせるのかは疑問。労働時間を短縮できるとは限らず、活動の効率化も課題になる」と話す。(木村裕明、福田直之)
カイゼン活動の象徴であるトヨタ自動車が、非業務として扱ってきたQC活動を6月から「業務」と認め、残業代の全額支給を始めた。業務なのか自主活動なのか線引きがあいまいで、サービス残業の温床とされる企業の小集団活動の実態を調べるため、朝日新聞は50社に対し6月9日~30日、アンケートした。
QCサークルは全国で約3万あるとされ、回答した47社のうち44社がQCなどの小集団活動を実施。活動時間は月平均1時間~10時間だった。
44社のうち、小集団活動の位置づけの見直しを「検討中」と答えたのはブリヂストン、JFEスチール、スズキの3社。「最近3年間で見直した」としたのはコマツ、トヨタ子会社の日野自動車とダイハツ工業の3社だった。
ブリヂストンは、今は非業務として実施しているQC活動を勤務時間内に行うように見直す方針。「従業員のやる気を維持するには時代に合わせた変更が必要」という。JFEスチールも「活動の実態や他社の例も精査し、見直しを考える」と回答。スズキも「今後のQCのあり方を検討」と答えた。
5月から見直しを実施したコマツは、所定外労働時間に活動した場合は残業代を全額支払うように変更。日野は昨年4月から勤務時間内に活動するように改め、ダイハツは05年、職場ごとにばらついていた活動時間を月2時間を目安とするように明確化した。
QCなどの小集団活動を実施する44社中34社が「業務」「業務に準じる」と位置づけている。明確に「業務ではない」としたのは、ブリヂストンやスズキ、ホンダ、新日本製鉄、ヤマハ発動機、TOTOの6社だけ。日本の製造業の強さの源泉とされるカイゼン活動について、社員の自主性に任せるのではなく、通常の業務と位置づけた労務管理が生産現場に定着していることが明らかになった。
活動する時間帯が「所定内労働時間」か「所定外労働時間」かとの質問に対し、一律に「所定外」で実施していると回答したのはスズキ、新日鉄、ヤマハ発動機、TOTO、ブリヂストンの5社。回答を得た企業の半数以上が「所定内」に活動が収まらずに残業となった場合、残業代を上限なしで支給する。
サービス残業への社会の視線が厳しくなり、自主性重視よりも、使用者の指揮下での活動として扱う労務管理が産業界で主流になっている実態が浮き彫りになった。
■活動の自主性薄れる
一方、若年層を中心に価値観が多様化し、就業時間外の自主活動を強制と受け止める社員も増えた。活動の自発性が薄れ、形骸(けいがい)化が進むことへの悩みも企業の間に広がる。「活動がマンネリ化したり、職場間で活動姿勢のレベルに差が出たりといった問題が発生しがち」(三井化学)、「社員の若返りが進み、活動の趣旨が理解されないケースも出てくるのでは」(ブリヂストン)などの声が相次いだ。
正社員だけでなく、生産現場で増える非正社員を活動に加える企業も32社あり、活動の一体感を保つ難しさもありそうだ。王子製紙、TOTOの2社は活動を見直す必要性を見極めるため、社内の実態や他社の動向を調べる方針。
日本総合研究所の山田久主席研究員は「QC活動が時代とずれてきているという印象を受けた。活動が業務になると、従業員の自主性を引き出す本来の目的を果たせるのかは疑問。労働時間を短縮できるとは限らず、活動の効率化も課題になる」と話す。(木村裕明、福田直之)
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