「職」と「人」の理解
2008-08-24(Sun)

イギリスを電車で旅しているときの風景 by 曽野田欣也
人事異動を考えるに当たっては、前提条件としてポストや業務の職務分析が必須です。
「職務分析(ppt)」とは、観察、面接、質問票、体験などの方法によって、その職を遂行するために必要な知識、能力、適性などを明確にして整理することです。職務記述書のない日本では、これが十分になされていない組織が多いと言われています。公務においては、「大部屋主義」の中でとりわけ曖昧になっており、目標管理とは馴染まないという指摘もされています。
職務分析の例を挙げれば、例規担当部門で要求される知識や能力、そして適性と言えば、法令の知識、論理的思考力などといったことが思い浮かびます。
人事異動の目的は、「適材適所」であると言われています。人的資源を組織内でその目的のために最適化することであると私は考えています。このためには、職務分析に併せて「人」を知る必要があります。具体的には、職員個人の能力や特性であり、これらを評価測定するシステムが必要です。
先に挙げた例の法規担当部門の場合には、法令の知識が豊富で高度な論理的思考力を持った職員を配置すれば良いことになります。
これまでの大部屋主義人事では、「年齢」や「学歴」といった客観要素を主として判断材料としてきましたが、これからはもっと科学的かつ体系的な手法により、職務分析と人の理解をすることが必要です。
市役所で20年も働いていれば、職務分析はある程度出来ているのですが、人の理解には解釈が伴うのが難しいところです。戦略的に考えれば、職と人を知ったとしてもこれは必要条件に過ぎず、十分であるとまで考えるわけにはいきません。
「職を知り、人を知らば百戦危うからず」、というところでしょうか。
(参考文献)
浜野美雄「配置・昇進」(帝国地方行政学会) 「人事異動」のカテゴリーで随時参照します。
入江容子「地方自治体における職務管理」
労働政策研究・研修機構「論文データベース」
スポンサーサイト