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昇進のための人事異動
 配置と昇進といった人事は、組織人にとって最もデリケートな問題であり、また公務員にとっても最大の関心事であると言われています。人々の関心が高いだけに、真摯な研究もある一方で、稚拙な風説も流れるところです。後者に囚われず、組織経営を考える上で、経営資源である「人」に対する合理的な組織活動として人事異動を捉えるのが、本カテゴリ「人事異動」のテーマです。

 このことを最初にことわった上で、今回扱う人事異動の要因は、これです。
昇進のため

 一般的なゼネラリストのキャリア形成は、様々な部署を経験しながら組織のピラミッド構造を上へ上へと登っていく「縦」の動きと考えてよいでしょう。配置の変更を伴わず、職位だけの変更も人事異動の一つです。

 一般的に、すべての職員に平等に昇進の機会が与えられている組織はありません。また、各組織によって昇進率の高い部署と低い部署というものが存在するといわれています。したがって、キャリアプランを考える際「やりたいこと」よりも「就きたい職位」に重点を置く職員の場合は、昇進率の高い部署を希望することになります。

 部署ごとの昇進率については、人事課でそれを公開している自治体など存在しないことを考えれば、これは職員間の「風説」に過ぎず、科学的なものではありません。一般的には、管理部門の中でも総務、人事、企画、財政が挙げられますが、同じ管理部門でも出納や監査が挙げられることは少ないようです。

 いずれにせよ、人事異動を考える上では、その前提として職員の昇進計画があります。これには、現配属先での昇進を計画している場合、昇進の予定があり、事前に異動させて当該ポストの補佐役を務めることにより、その準備をする場合のほか、昇進を伴う異動をさせ、異動先のポストは当該職員が教育異動期間で経験済みあるいは経験済みの部署に関係するところに配置する場合などがあります。

 昇進については、別の機会に触れる予定です。行政においては、昇進といった「縦」のキャリア形成に係る研究は多く見られます。しかし、私は、組織経営を考える上で、「縦」のキャリアのほか、「横」のキャリア形成にも深く関心を持っています。しかし、これに係る研究はあまり盛んではありません。この原因は、キャリア形成のコアが昇進であると捉えられていることの結果であろうと思います。

 この「横」のキャリア形成と組織規模ごとの人事異動サイクルや異動要因に関する研究については、中嶋学氏・新川達郎氏の「地方自治体におけるキャリア形成」(同志社大学)を読まれることをお勧めします。

(参考)
中嶋学・新川達郎「地方自治体におけるキャリア形成(PDF)」(同志社大学学術レポジトリ)
中嶋学・新川達郎「地方自治体における人事異動に関するアンケート調査報告(PDF)」(同志社大学)
徳岡晃一郎「人事異動」(新潮社)
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プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
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