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自己申告書とキャリア意識
 目標管理と能力考課(又は簡易コンピテンシー)をセットにした人事考課制度を中心とし、面接制度や自己申告制度を取り入れている自治体もあります。

 自己申告制度は、異動希望のほか、現在の職務に対する適性や満足度、問題点等を自己申告書により、職員に申告してもらう制度です。

 この申告書を上司との面接を経た上で、上司を通じて人事課へ提出している自治体もあれば、これを個々の職員と人事担当課限りでやりとりをするところもあります。

 自己申告に上司が関わる場合は、上司が当該職員のキャリア形成に対して助言ができます。後者の場合は、それができませんが、当該職員のホンネが自己申告書に書ける、というメリットもあります。

 ホンネが書ける場合と、そうでない場合の申告書の内容の比較をしたことがありませんので分かりませんが、私は、上司との面接を経て取り扱われるべきであると考えます。なぜなら、職員のホンネは、他の方法でも聞き取ることは可能であり、私は人事制度は基本的に透明であるべきであると考えるからです。

 職員の経験年数や職種により、異動年数のサイクルは異なりますが、「異動したい」という希望や「異動したくない」という希望のほか「○○課へ異動したい」という具体的な異動意向についても、自己申告書により申し出た異動意向が、果たして、何割くらい叶えられているのか、というデータも公表すべきであると、稲継裕昭氏も近著「プロ公務員を育てる人事戦略」で述べておられます。

 なぜなら、異動意向が叶った職員は、通常、それを口にしません。しかし、異動意向が叶わなかった職員は、回りに不満をもらすものです。実態はどれくらいの意向が叶っているのか誰も知りません。

 終身雇用を前提とし、ポスト補充は内部調達による閉鎖システムにおける人事は、人事課が当該組織内の職員のキャリア形成に絶対的な権限を持ちます。職員の職業人生を左右すると言っても過言ではありません。人事異動こそが公務員のキャリアともいえます。

 今までのように受け身のキャリアではなく、職員自らが積極的にキャリアプランを抱き、その実現のために、自己申告制度を活用するようになるのが理想です。キャリア意識を持っている人の自己申告書と、そうでない人のそれとは、自ずと内容が異なるものとなるでしょう。面接制度を通じ、上司は、部下に対して、キャリア意識を持つよう促す機会を持つことができます。キャリア形成を考えることで、職員にも自学の姿勢が身につきます。

 人事担当課の役割は、こうした職員のキャリアプランと組織の必要とをマッチングさせ、職員の能力開発をする一方で人的資源の配置を最適化し、組織パフォーマンスの最大化を維持することを通じて、住民サービスの向上を図ることにあります。
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プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

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