全国最低水準の給与削減案
2008-11-04(Tue)
労組へ全国最低水準の給与削減案 岡山県職員、月給平均9・5%削減
山陽新聞 2008/10/30
職員給与を全国最低水準とする案を12月議会に出すのを10月に組合側に示すというのも、急な話だと思われるかもしれませんが、労使交渉とはこういうものです。
組合側としては、市の財政状況や他自治体だけでなく民間における勤務条件の趨勢を常に注視し、自らの要求とするところを決め、また当局側の出方を推測しなければなりません。お互いに隙があれば、そこを突かれるのは当然です。この時期の鍔迫り合いのために、一年間のそれ以外の部分が準備期間として用意されているのです。
労使関係には、団体ごとの交渉の歴史があり、険悪なものもあれば紳士的なものもあります。当局側にしても担当者の心情としては、「自分が人事課にいるときに、給与カットはしたくない」というのがホンネでしょうし、組合側も「俺(私)が組合執行部の役員をやっているときに、給与カットはされたくない」というのがホンネでしょう。24,000人の給料を4年間に渡り削減するという判断ですから、非常に重い責任です。
岡山県では、折りしも10月7日に人事委員会の給与勧告がされたばかりです。そこでは、昨年の人事院勧告同様、初任給を中心に若年層に限定したものではあれ、給料表の引き上げが勧告されています。こうした自治体における労使交渉は、公務員の労働基本権(PDF)に関する考察の先鞭となるかもしれません。
私は十数年前に組合執行部の役員を経験し、今は人事当局にいます。両方の立場を経験してみて思うのは、交渉は妥協の産物である、ということと、交渉は、勉強不足の方が負ける、ということです。また交渉現場に臨む者としては、どちらの立場にあるにせよ「無信不立(信無くば立たず)」と言えます。
5年以上前の記事ですが、次のようなものもありました。
「問いかけた人勧の意義 県職員給料 全国最大の削減率」
2003/2/2 信濃毎日新聞
山陽新聞 2008/10/30
岡山県は30日、県財政構造改革プラン素案に沿い、警察官や教職員を含む県職員の給与カット率について、現行の平均3%から月給9・5%、ボーナス6・5%に引き上げて全国最低水準とする給与削減案を県職員労組などの関係労組に提示した。期間は2009年度から4年間。
県は年間約140億円の歳出削減効果を見込み、12月県議会での給与条例改正を目指すが、組合側は強く反発しており、交渉は難航が予想される。
県は年間約140億円の歳出削減効果を見込み、12月県議会での給与条例改正を目指すが、組合側は強く反発しており、交渉は難航が予想される。
職員給与を全国最低水準とする案を12月議会に出すのを10月に組合側に示すというのも、急な話だと思われるかもしれませんが、労使交渉とはこういうものです。
組合側としては、市の財政状況や他自治体だけでなく民間における勤務条件の趨勢を常に注視し、自らの要求とするところを決め、また当局側の出方を推測しなければなりません。お互いに隙があれば、そこを突かれるのは当然です。この時期の鍔迫り合いのために、一年間のそれ以外の部分が準備期間として用意されているのです。
労使関係には、団体ごとの交渉の歴史があり、険悪なものもあれば紳士的なものもあります。当局側にしても担当者の心情としては、「自分が人事課にいるときに、給与カットはしたくない」というのがホンネでしょうし、組合側も「俺(私)が組合執行部の役員をやっているときに、給与カットはされたくない」というのがホンネでしょう。24,000人の給料を4年間に渡り削減するという判断ですから、非常に重い責任です。
岡山県では、折りしも10月7日に人事委員会の給与勧告がされたばかりです。そこでは、昨年の人事院勧告同様、初任給を中心に若年層に限定したものではあれ、給料表の引き上げが勧告されています。こうした自治体における労使交渉は、公務員の労働基本権(PDF)に関する考察の先鞭となるかもしれません。
私は十数年前に組合執行部の役員を経験し、今は人事当局にいます。両方の立場を経験してみて思うのは、交渉は妥協の産物である、ということと、交渉は、勉強不足の方が負ける、ということです。また交渉現場に臨む者としては、どちらの立場にあるにせよ「無信不立(信無くば立たず)」と言えます。
(記事続き)
この日の労使交渉には石井正弘知事が出席し、県職労、県教組などでつくる4者共闘会議(議長・梶原洋一県教組委員長)に「県庁が自らが身を削らなければ改革は達成できない」と理解を求めた。
組合側は「既に3%カットが5年目に入り、職員のモチベーション維持や生活は限界に近い。到底受け入れられない」とし、12月県議会までの決着にこだわらず十分な議論の時間を確保することなどを盛り込んだ要求書を、職員ら約2万8000人分の署名とともに提出した。
この日の労使交渉には石井正弘知事が出席し、県職労、県教組などでつくる4者共闘会議(議長・梶原洋一県教組委員長)に「県庁が自らが身を削らなければ改革は達成できない」と理解を求めた。
組合側は「既に3%カットが5年目に入り、職員のモチベーション維持や生活は限界に近い。到底受け入れられない」とし、12月県議会までの決着にこだわらず十分な議論の時間を確保することなどを盛り込んだ要求書を、職員ら約2万8000人分の署名とともに提出した。
5年以上前の記事ですが、次のようなものもありました。
「問いかけた人勧の意義 県職員給料 全国最大の削減率」
2003/2/2 信濃毎日新聞
県の労使交渉で一日、県人事委員会勧告分を含め、四月から12―7%の大幅な職員給料の削減が決まった。七回に及ぶ交渉では、削減の是非だけでなく、市町村への影響や人事委勧告制度の意義なども論点に。公務員の労働三権のあり方をめぐる問題点もあらためて浮き彫りにした。
総務省によると、全国では昨年八月時点で十都県が人事委勧告を上回る一般職員の給料カットを行っている。県内でも上伊那郡宮田村が既に、市町村で初めて来年度から2%の独自カット方針を決めている。
ただ、長野県の削減率は鳥取県の9―6%を上回り全国最大。県地方公務員労働組合共闘会議は「市町村職員などの給料にもかかわる」と、影響の大きさを訴えた。
県職員の給与水準は、県人事委員会が国家公務員の水準や民間バランスを踏まえ勧告、県は尊重するのが通例だった。連合長野の市川隆司会長は、国際労働機関(ILO)が昨年十一月、日本の公務員のスト権一律禁止見直しなどを政府に勧告したことを挙げ、「そうした制度がきちんと確立していない状況で、今回のような大幅削減は一方的」と問題点を訴える。
総務省は「人勧制度は争議権のない公務員の代償措置として必要だが、自治体財政との兼ね合いをどうするかは、最後は自治体の判断」(給与能率推進室)としている。
一方、県経営者協会の関安雄専務理事は「今回の削減は異例だが、県財政の状況が全国的に異例なことも事実」と指摘。「民間は雇用維持を最優先に取り組んでいる。給与に限らず、行政の無駄な部分をどうなくしていくか。労使が共通認識を持ってほしい」と、今後も慣例にとらわれない論議を求めている。
総務省によると、全国では昨年八月時点で十都県が人事委勧告を上回る一般職員の給料カットを行っている。県内でも上伊那郡宮田村が既に、市町村で初めて来年度から2%の独自カット方針を決めている。
ただ、長野県の削減率は鳥取県の9―6%を上回り全国最大。県地方公務員労働組合共闘会議は「市町村職員などの給料にもかかわる」と、影響の大きさを訴えた。
県職員の給与水準は、県人事委員会が国家公務員の水準や民間バランスを踏まえ勧告、県は尊重するのが通例だった。連合長野の市川隆司会長は、国際労働機関(ILO)が昨年十一月、日本の公務員のスト権一律禁止見直しなどを政府に勧告したことを挙げ、「そうした制度がきちんと確立していない状況で、今回のような大幅削減は一方的」と問題点を訴える。
総務省は「人勧制度は争議権のない公務員の代償措置として必要だが、自治体財政との兼ね合いをどうするかは、最後は自治体の判断」(給与能率推進室)としている。
一方、県経営者協会の関安雄専務理事は「今回の削減は異例だが、県財政の状況が全国的に異例なことも事実」と指摘。「民間は雇用維持を最優先に取り組んでいる。給与に限らず、行政の無駄な部分をどうなくしていくか。労使が共通認識を持ってほしい」と、今後も慣例にとらわれない論議を求めている。
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