京都市の全職員給与カット方針
2008-11-11(Tue)
労使対決姿勢強まる 京都市の全職員給与カット方針で
京都新聞 2008/11/9
2008年10月、京都市が全職員給与カットを提示しましたが、組合側は当然のように反発しており、交渉の難航は避けて通れないようです。どちらの側に立つにせよ、よほど神経が図太くないと、こうした交渉の当事者にはなれませんね。
さて、公務員は安定している、とよく言われますが、これは公務員制度やその給与制度を理解した上で言われているものではなく、単に「国は倒産しない」という神話の延長に過ぎないのではないか、という感じもします。
これは、国家とは何か、という議論が欠けているところから派生するものだと個人的には考えていますが、最近は、マスコミの煽りもあり、国家財政が破綻しうることは一般に認識されているようです。マスコミの論調には、行政当局の財政運営のマズさや失策に焦点を当てているようですが、政策立案に内在するトレードオフの視点から分析・検証したものが欲しいところです。朝日と読売の主張に相反するものがあるように、マスコミも結局は政治的な主張をしていることを鑑みれば、これを望むのは無理なことで、いきおい行政の説明責任が大きくなります。
京都市が全職員給与カットを提示 市労連「不当」と拒否
京都新聞 2008年10月24日
京都新聞 2008/11/9
京都市が巨額の財源不足に対応するため打ち出した全職員(約1万6000人)の給与カット方針に対し、労働組合が反発を強めている。市は「緊急措置が必要」と財政難の深刻さを訴える一方、労組は過去の給与カットの効果への疑問などを理由に市の姿勢を強く非難。労使対決が強まっている。
2008年10月、京都市が全職員給与カットを提示しましたが、組合側は当然のように反発しており、交渉の難航は避けて通れないようです。どちらの側に立つにせよ、よほど神経が図太くないと、こうした交渉の当事者にはなれませんね。
さて、公務員は安定している、とよく言われますが、これは公務員制度やその給与制度を理解した上で言われているものではなく、単に「国は倒産しない」という神話の延長に過ぎないのではないか、という感じもします。
これは、国家とは何か、という議論が欠けているところから派生するものだと個人的には考えていますが、最近は、マスコミの煽りもあり、国家財政が破綻しうることは一般に認識されているようです。マスコミの論調には、行政当局の財政運営のマズさや失策に焦点を当てているようですが、政策立案に内在するトレードオフの視点から分析・検証したものが欲しいところです。朝日と読売の主張に相反するものがあるように、マスコミも結局は政治的な主張をしていることを鑑みれば、これを望むのは無理なことで、いきおい行政の説明責任が大きくなります。
(記事続き)
■深い隔たり、交渉長期化へ
7労組が集まる市職員労働組合連合会(市労連)に市が全職員の給与カットを提示したのは10月23日。カット率は示さなかったが、市労連は「突然の無責任な提案」(桜井真吾書記長)と拒否、交渉が決裂した。
その後開かれた市労連と傘下の自治労市職の定期大会では来賓出席が恒例の市長、副市長を招かなかった。市長選で門川大作市長を支援した自治労市職の橋元信一委員長は31日の大会で「カットは無謀で許せない」と対決姿勢を鮮明にし、選挙で対立した市職員労働組合の池田豊委員長も11月1日の大会で「市長の行政運営能力は欠如している」と批判した。
地方公務員の給与は地方公務員法などで人事委員会勧告を尊重し、国や民間との比較を考慮して決める原則が定められている。このため市労連は先月30日、市人事委員会に対し、勧告の尊重を市に働き掛けるよう要請文を提出した。
ただ、勧告制度がある一方で、実際には各都市で財政難を理由にした給与カットが行われている。法律上、各自治体が給与条例で定める権限もあり、カットする場合は時限付きの特例条例を制定している。現在も千葉市がほぼ全職員、名古屋市も課長級以上を対象にカット中で、大阪市も5%カットを検討している。
京都市は政令市唯一の連結決算赤字(2007年度)で、来年度から3年間で964億円の財源不足を見込んでおり、門川市長が今月5日に特別職の給与カット率を引き上げる方針を表明した。
労組にも「厳しい財政は理解している」との認識は広がっているが、それでも反発を強める背景には、02年度から2年間、政令市では当時初めてだった全職員カット(3-5%)を受け入れた経過がある。
市労連幹部は「前回苦渋の選択をしたのに財政見通しが悪くなった。給与カットの効果は一時的」と指摘する。これに対して市人事部は「臨時、緊急的な措置がないと乗り切れない」と強調する。
6日の市と市労連の交渉では、全職員の給与カット提示について星川茂一副市長が「説明不足だった」と謝罪したが、撤回は明言しなかった。市労連は特別職カットについても「外堀を埋めるやり方だ」とけん制しており、交渉は長期化する情勢となっている。
■深い隔たり、交渉長期化へ
7労組が集まる市職員労働組合連合会(市労連)に市が全職員の給与カットを提示したのは10月23日。カット率は示さなかったが、市労連は「突然の無責任な提案」(桜井真吾書記長)と拒否、交渉が決裂した。
その後開かれた市労連と傘下の自治労市職の定期大会では来賓出席が恒例の市長、副市長を招かなかった。市長選で門川大作市長を支援した自治労市職の橋元信一委員長は31日の大会で「カットは無謀で許せない」と対決姿勢を鮮明にし、選挙で対立した市職員労働組合の池田豊委員長も11月1日の大会で「市長の行政運営能力は欠如している」と批判した。
地方公務員の給与は地方公務員法などで人事委員会勧告を尊重し、国や民間との比較を考慮して決める原則が定められている。このため市労連は先月30日、市人事委員会に対し、勧告の尊重を市に働き掛けるよう要請文を提出した。
ただ、勧告制度がある一方で、実際には各都市で財政難を理由にした給与カットが行われている。法律上、各自治体が給与条例で定める権限もあり、カットする場合は時限付きの特例条例を制定している。現在も千葉市がほぼ全職員、名古屋市も課長級以上を対象にカット中で、大阪市も5%カットを検討している。
京都市は政令市唯一の連結決算赤字(2007年度)で、来年度から3年間で964億円の財源不足を見込んでおり、門川市長が今月5日に特別職の給与カット率を引き上げる方針を表明した。
労組にも「厳しい財政は理解している」との認識は広がっているが、それでも反発を強める背景には、02年度から2年間、政令市では当時初めてだった全職員カット(3-5%)を受け入れた経過がある。
市労連幹部は「前回苦渋の選択をしたのに財政見通しが悪くなった。給与カットの効果は一時的」と指摘する。これに対して市人事部は「臨時、緊急的な措置がないと乗り切れない」と強調する。
6日の市と市労連の交渉では、全職員の給与カット提示について星川茂一副市長が「説明不足だった」と謝罪したが、撤回は明言しなかった。市労連は特別職カットについても「外堀を埋めるやり方だ」とけん制しており、交渉は長期化する情勢となっている。
京都市が全職員給与カットを提示 市労連「不当」と拒否
京都新聞 2008年10月24日
京都市は23日、来年度から3年間の財源不足額が約960億円に上る財政難の緊急措置として、全職員の給与カットと市の職員厚生会に対する事業主負担を凍結する方針を市職員労働組合連合会(市労連)に提示した。市労連は「突然で不当な内容」と拒否し、次回以降の交渉に持ち越した。
市は2001年秋に「財政非常事態」を宣言し、全職員の給与カットを表明。市労連が事実上のストを決行するなど対立したが、3-5%の段階的なカット率で妥結し政令市初の給与カットを02年度から2年間実施した。
市総務局はこの日の交渉で、具体的なカット率や実施時期は示さなかったが、「緊急措置をしないと乗り切れない。市民の負担を軽減するためには給与減額が必要と判断した」としている。
これに対し、市労連の北本勤委員長は「前回の賃金カットの総括もない。事業見直しの中身や今後の展望も示されず、なぜ人件費なのか説明不足」と反発。今年9月に市人事委員会が出した給与改定見送りの勧告を尊重するよう求め、給与カットに断固反対していく姿勢を示した。
また、市の交付金と職員の会費の負担割合一対一で運営している厚生会事業では、市長部局だけで毎年約2億円の交付金を支出しているが、市議会などから「厚遇」との批判があり、交付凍結を打ち出したとみられる。
市は2001年秋に「財政非常事態」を宣言し、全職員の給与カットを表明。市労連が事実上のストを決行するなど対立したが、3-5%の段階的なカット率で妥結し政令市初の給与カットを02年度から2年間実施した。
市総務局はこの日の交渉で、具体的なカット率や実施時期は示さなかったが、「緊急措置をしないと乗り切れない。市民の負担を軽減するためには給与減額が必要と判断した」としている。
これに対し、市労連の北本勤委員長は「前回の賃金カットの総括もない。事業見直しの中身や今後の展望も示されず、なぜ人件費なのか説明不足」と反発。今年9月に市人事委員会が出した給与改定見送りの勧告を尊重するよう求め、給与カットに断固反対していく姿勢を示した。
また、市の交付金と職員の会費の負担割合一対一で運営している厚生会事業では、市長部局だけで毎年約2億円の交付金を支出しているが、市議会などから「厚遇」との批判があり、交付凍結を打ち出したとみられる。
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