6月賞与に係る給与条例の改正 No.2
2009-05-15(Fri)

写真は「Plumerian cafe -365photo-」から
「夜散歩」 by nanami
先日の記事を読まれた10を超える方々から、ご質問のメールを頂きました。
ご質問は、「改正条例の附則の規定をどうするか」ということです。ご質問は、ブログのメールフォーム等を通してのもので、かつ、匿名のかたもいらっしゃるので、回答はこのブログ上でさせて頂きます。ただし、これは私の個人的な見解であることを最初におことわりしておきます。
ご質問の詳細は、kei-zu様からご紹介いただいた、tihoujiti様の記事にあるように、「内容をザックリ言うと、期末・勤勉手当の暫定割合と、期末・勤勉手当の通常の割合の差について、人事院は、改正法の施行後、速やかに調査して、勧告すべし、という内容」の附則の規定を、人事委員会の設置されていない自治体において、どのように規定したら良いのかということです。
これに対する私の回答は、「規定する必要はない」です。理由は主に三つありますが、人事委員会のない自治体には、人事院に代わる機関が存在しないのですから、規定のしようがない、というのが第一の理由です。
私も、噂の域を出ないこの国の取扱いと同じような内容の規定を作ってみようと、最初は頭を捻り、回りに相談もしました。しかし、国と同じ規定を自治体も規定しなければならない、という発想自体が博物館にでも収めるべき古い思考であると気付きました。今は地方分権の時代ですから、自治体でも国と同じ規定をして、つまり、国と同じ給与政策とすることで住民に対する説明責任を果たせる時代ではありません。鳥取県のように、自治体独自で勧告以上の賞与カットをしているところもあるのです。これが第二の理由です。
また、地方公務員法第24条第3項には、自治体職員の給与は、国の給与等を考慮して定めなければならないことが規定されています。この趣旨を改めて今回の改正に限って附則に規定する積極的な理由はありません。これが第三の理由です。
また、今回の人勧の背景や人事院勧告制度自体の現代的な課題を考えてみる必要もあろうかと思います。
自民党では「総務部会・国家公務員の給与等に関する検討プロジェクトチーム」が立ち上がり、議員立法も辞さない勢いで国家公務員の6月賞与を引き下げる動きがありましたので、改正法は勧告なしでも国会に出る可能性がありました。
そうした動きの中で人事院は、公務員の労働基本権の代償措置としての人事院の役割を果たすべく動いたといえるでしょう。それだからこそ、無理をしてでも臨時調査を実施し、その上で勧告を行うことにより、通常の給与改正プロセスを経ることとしたのではないでしょうか。そして、その勧告の中で、今回の措置に「凍結」という表現を用いて、その特例措置たる性格を強調しているのだと思います。
もちろん、後追いで是正するとはいえ、一時的にでも民間給与との乖離が著しく大きいのは、好ましいことではありませんし、12月賞与により年間分の官民賞与較差を是正するのでは、公務員の生活に強いる負担も大きなものになります。
問題は、現行の給与改正プロセスが、右肩上がりの時代の産物であり、今の時代に合ったものではないことにあります。
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