岡本全勝氏の提言と「内閣人事庁」
2008-03-06(Thu)

村の住宅街
公務員改革:渡辺行革相案に「内閣人事庁」新設明記
毎日新聞 2008年3月5日 2時30分
幹部人事を一括管理する「内閣人事庁」を新設し、関連法案を基本法施行後1年以内に提出すると明記した。すでに判明している「政府原案」は有識者懇談会が提起した人事庁構想を白紙に戻したが、渡辺氏は自身の案を基に法案化を目指す構え。
政府原案が「人材を一元管理する組織」との表現にとどめたのに対し、内閣人事庁の新設を明記。総務省人事恩給局や人事院の機能を移し、「政府全体を通じた国家公務員の人事管理」を行うと定めた。
記事の中では、渡辺氏の内閣人事庁が公務員人事に関して、どこまで、どのように管理するのかは触れられていません。政府原案が「人材を一元管理する組織」との表現にとどめたのに対し、内閣人事庁の新設を明記。総務省人事恩給局や人事院の機能を移し、「政府全体を通じた国家公務員の人事管理」を行うと定めた。
「地方財務 2008年3月号」に内閣府の岡本全勝氏の論文「行政構造改革 第7回 責任の所在と対応策(中)」が掲載されています。
この論文の中で岡本氏は、「内閣で一括採用すべき」との意見に対して、「人数の多さ、職種の多さ、職場の多さ」という理由から「現実的ではありません」とされ、各省ごとの人事管理を前提にした上で日本全体を考えるエリート集団の創設を構想しています。
岡本全勝氏は、「0種公務員の創設」を提唱されています。
これは、課長くらいのⅠ種公務員の中から、出身省庁に残るか内閣に移籍するか、本人の意思を確認し、その意思のある者の中から「0種公務員」を選ぶという選抜方法を採ります。
これにより、出身省庁のしがらみから解放され、「国家官僚」として省益に囚われない本当の意味での国家公務員を創出し、これら「0種公務員を自由任用の母集団にしよう」というものです。
0種公務員の選考を行う場合、Ⅰ種だけでなくⅡ種等にもチャンスを与えて欲しいものです。
さて、どのような方法によるにせよ、現在のモラルの高い若手官僚が、将来、省益を超えて国全体のことを考えられる環境を整備することが目的です。
それを考えた場合、人事権を誰が持つかのほか、自由任用から外れた「0種公務員」の具体的な保障策も含めた「0種公務員」の描きうるキャリアパスを明確にするのもポイントになるでしょう。
また、岡本氏は、ご本人のホームページで、
官僚には、職務内容書(達成すべき目標)が示されていません。よって、業績の評価は、なされていません。現在行われている評価は、業績評価でなく、人物評価です。そして、成果でなく入力(勤務時間、予算や人員の確保)で評価されています。
「岡本全勝のページ」(2008/3/5) http://homepage3.nifty.com/zenshow/
と述べておられます。「岡本全勝のページ」(2008/3/5) http://homepage3.nifty.com/zenshow/
こうした達成すべき目標によらず、人物評価に偏ったものを私は「属人的評価の虚偽」と呼んでいます。
柿沢こうじ氏の著作にもありますが、確かに、役所の人事は「衆目の一致」ところに落ち着くものです。
それはそれで納得性のある人事なのですが、個々人レベルでは、どのように頑張れば良いか分からず、その結果、役人の目は市民国民の目線を失い、内に入り組織のみを見てしまうのではないかと思うことがあります。
これは実績に基づかない評価や職務上の目標が明確でないことの弊害であろうと思います。
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