給料の減額 国との比較において
2009-07-21(Tue)
連休中に友人からメールがあったのをキッカケに、給料の減額について考えてみました。
自治体の代表例をあげると、東京都の条例では以下のとおりです。
国の場合を見てみましょう。
この規定に関する国と自治体の違いは、国の給与法附則に現れています。
つまり、国の場合は、病気休暇等が90日を超えた時点から、その職員の給料は半額を減額された額にされます。結核性疾患の場合は例外とされています。この例外は、旧官吏俸給令の当時、官庁職員結核対策要綱(昭19・1・27次官会議決定)により休暇を取るときには、1年間に限って同令第7条にいう「特旨に依り賜暇休養する者」として、結核は特別扱いされていたものを踏襲したと言われています。しかし、今とその当時とでは医療技術も進歩して疾病の傾向も異なるため、この結核の特例扱いが合理的か否かには議論があります。
さて、この国における俸給(給料)の半減は、「給料の額そのものが2分の1の額に変更される」というものであり、単に給料月額の半分を減じて支給する、というものではありません。その結果として、給料を基礎として計算される他の手当にも影響があります。この例外としては、「特地勤務手当」等があります。
また、病気休暇が90日を超えた場合、この給料額が半額に変更される措置について、運用上の疑問が生じます。たとえば、病気休暇の病気が完全治癒したとします。その完全治癒の診断を受けるために通院した帰宅途中に、不幸にも交通事故に遭い、骨折して安静療養が必要になってしまったとします。これにより、新たな負傷により引き続き療養休暇を取得した結果として90日を超える場合が挙げられます。
この場合、人事院規則9-82第6条に「一の負傷又は疾病が治癒し、他の負傷又は疾病による病気休暇等が引き続いている場合」の取扱いが規定されています。これによると、この場合においても、当初の病気休暇の初日から起算して90日を超えた日については、給料の半額を減ずることとされています。
なお、給料の半減は日単位で日割計算をすることになっています。(人事院規則9-82§7)
公務に限らず、民間企業においても、精神性疾患を罹患する人が増えています。
組織としてこうした職員の各種サポート体制を整備するのも大事ですが、それとともに精神性疾患を患う者を出さないための予防措置も重要です。これは使用者の責任においてだけでなく、我々も働く者として精神性疾患を理解し、ストレス耐性を向上させるとともに、それをコントロールするための基礎知識の習得をすることが必要です。メンタル疾患を患ったら、働く人本人は元よりとその家族にとっても不幸なことであることは言うまでもありませんが、組織的な観点から考えても、メンタル疾患の予防により、それに係るコストを最小化することができます。
メンタルヘルス・マネジメント検定というものがあり、セルフケア、ラインケア、組織管理としてのケアに段階分けされています。ワープロやパソコンの知識や技能と同様に、現代社会の我々には必須の知識だと思います。
(参考)
森園・大村「公務員給与法精義」 (学陽書房)
自治体の代表例をあげると、東京都の条例では以下のとおりです。
(給与の減額)
第14条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第18条に規定する勤務一時間当たりの給料等の額の合計額を減額して給与を支給する。
第14条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第18条に規定する勤務一時間当たりの給料等の額の合計額を減額して給与を支給する。
国の場合を見てみましょう。
一般職の職員の給与に関する法律(以下「給与法」)
(給与の減額)
第15条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第19条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。
となっており、国も自治体も規定は同じです。これは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則を規定したものです。(給与の減額)
第15条 職員が勤務しないときは、(略)その勤務しない一時間につき、第19条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給する。
この規定に関する国と自治体の違いは、国の給与法附則に現れています。
給与法附則6
当分の間、第15条の規定にかかわらず、職員が負傷(略)に係る療養のため、(略)当該療養のための病気休暇の開始の日から起算して90日(略)を超えて引き続き勤務しないときは、その期間経過後の当該病気休暇に係る日につき、俸給の半額を減ずる。
当分の間、第15条の規定にかかわらず、職員が負傷(略)に係る療養のため、(略)当該療養のための病気休暇の開始の日から起算して90日(略)を超えて引き続き勤務しないときは、その期間経過後の当該病気休暇に係る日につき、俸給の半額を減ずる。
つまり、国の場合は、病気休暇等が90日を超えた時点から、その職員の給料は半額を減額された額にされます。結核性疾患の場合は例外とされています。この例外は、旧官吏俸給令の当時、官庁職員結核対策要綱(昭19・1・27次官会議決定)により休暇を取るときには、1年間に限って同令第7条にいう「特旨に依り賜暇休養する者」として、結核は特別扱いされていたものを踏襲したと言われています。しかし、今とその当時とでは医療技術も進歩して疾病の傾向も異なるため、この結核の特例扱いが合理的か否かには議論があります。
さて、この国における俸給(給料)の半減は、「給料の額そのものが2分の1の額に変更される」というものであり、単に給料月額の半分を減じて支給する、というものではありません。その結果として、給料を基礎として計算される他の手当にも影響があります。この例外としては、「特地勤務手当」等があります。
また、病気休暇が90日を超えた場合、この給料額が半額に変更される措置について、運用上の疑問が生じます。たとえば、病気休暇の病気が完全治癒したとします。その完全治癒の診断を受けるために通院した帰宅途中に、不幸にも交通事故に遭い、骨折して安静療養が必要になってしまったとします。これにより、新たな負傷により引き続き療養休暇を取得した結果として90日を超える場合が挙げられます。
この場合、人事院規則9-82第6条に「一の負傷又は疾病が治癒し、他の負傷又は疾病による病気休暇等が引き続いている場合」の取扱いが規定されています。これによると、この場合においても、当初の病気休暇の初日から起算して90日を超えた日については、給料の半額を減ずることとされています。
なお、給料の半減は日単位で日割計算をすることになっています。(人事院規則9-82§7)
公務に限らず、民間企業においても、精神性疾患を罹患する人が増えています。
組織としてこうした職員の各種サポート体制を整備するのも大事ですが、それとともに精神性疾患を患う者を出さないための予防措置も重要です。これは使用者の責任においてだけでなく、我々も働く者として精神性疾患を理解し、ストレス耐性を向上させるとともに、それをコントロールするための基礎知識の習得をすることが必要です。メンタル疾患を患ったら、働く人本人は元よりとその家族にとっても不幸なことであることは言うまでもありませんが、組織的な観点から考えても、メンタル疾患の予防により、それに係るコストを最小化することができます。
メンタルヘルス・マネジメント検定というものがあり、セルフケア、ラインケア、組織管理としてのケアに段階分けされています。ワープロやパソコンの知識や技能と同様に、現代社会の我々には必須の知識だと思います。
(参考)
森園・大村「公務員給与法精義」 (学陽書房)
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