条例で学ぶ政策づくり入門
2010-01-25(Mon)

第一法規の「政策法務Facilitator」(Vol.25)に、東京法令出版から牧瀬稔氏が出版されている単行本「条例で学ぶ政策づくり入門」の紹介をさせていただきました。
「政策法務Facilitator」は、「政策法務の理論と実践」を購読すると、追録とともに提供される政策法務の最新トピックスを収めた小冊子です。
この度、第一法規様のご好意により、拙ブログに転載させていただきます。
第一法規「政策法務Facilitator」(Vol.25)掲載
地方の時代と言われるようになって久しい。著者は、この地方の時代には、「国」対「地方」という関係から「地方」対「地方」の関係へと質的な転換が迫っていると解釈している。また、この新しい意味での地方の時代において、地域間における競争とは何かについて具体的な問題を提起し、この競争に勝つための武器として身に付けるべき政策立案能力について説いている。
3部構成の本書は、第1部で政策力の重要性について指摘し、条例の基礎的事項に触れた上で「愛のムチ条例」など全国のユニークな条例の数々を紹介しつつ、政策条例を立案する際の視点について、図表を交えて解説している。
第2部は、近年注目されている「子どもの権利条例」「協働推進条例」「自治基本条例」など7つの政策条例の事例を紹介している。著者は本書を「初歩」と位置づけているが、各条例の背景や概要の解説には、著者の研究者としての真髄を垣間見ることができ、非常に迫力のあるものになっている。
第3部は、補論という位置づけで、著者独自の政策立案における視点に触れている。政務調査費の現状と方向性について触れた部分は、議員各位にも関心の高いところだろう。また、政策開発とは何かについて暫定的とことわりながら紹介している意外な結論が興味深い。
著者は、政策条例の策定に当たって、他自治体の既存の類似条例を模倣する手法を否定しない。模倣も地域の実情に即した創造につなげるにはセンスが必要である。本書は、読者の興味を惹きつけるであろう数多くのユニークな条例を紹介し、各自治体があの手この手で何をどうしようとしているのかという試行錯誤を解説している。これは、模倣から創造に至るために必要な「政策センス」を、著者が読者とともに捉えようと試みたものではないだろうか。また、本書の随所には「M研究員のメモ」が登場し、読者に考えるヒントを与えてくれる。
郷土を愛する多くの自治体職員と地方議員には、政策センスのエッセンスの詰まったこの一冊を、是非、手に取ってもらいたい。
(磐田市役所総務部職員課 曽野田欣也)
3部構成の本書は、第1部で政策力の重要性について指摘し、条例の基礎的事項に触れた上で「愛のムチ条例」など全国のユニークな条例の数々を紹介しつつ、政策条例を立案する際の視点について、図表を交えて解説している。
第2部は、近年注目されている「子どもの権利条例」「協働推進条例」「自治基本条例」など7つの政策条例の事例を紹介している。著者は本書を「初歩」と位置づけているが、各条例の背景や概要の解説には、著者の研究者としての真髄を垣間見ることができ、非常に迫力のあるものになっている。
第3部は、補論という位置づけで、著者独自の政策立案における視点に触れている。政務調査費の現状と方向性について触れた部分は、議員各位にも関心の高いところだろう。また、政策開発とは何かについて暫定的とことわりながら紹介している意外な結論が興味深い。
著者は、政策条例の策定に当たって、他自治体の既存の類似条例を模倣する手法を否定しない。模倣も地域の実情に即した創造につなげるにはセンスが必要である。本書は、読者の興味を惹きつけるであろう数多くのユニークな条例を紹介し、各自治体があの手この手で何をどうしようとしているのかという試行錯誤を解説している。これは、模倣から創造に至るために必要な「政策センス」を、著者が読者とともに捉えようと試みたものではないだろうか。また、本書の随所には「M研究員のメモ」が登場し、読者に考えるヒントを与えてくれる。
郷土を愛する多くの自治体職員と地方議員には、政策センスのエッセンスの詰まったこの一冊を、是非、手に取ってもらいたい。
(磐田市役所総務部職員課 曽野田欣也)
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