fc2ブログ

*All archives* |  *Admin*

2023/06
≪05  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30   07≫
人事異動の内示
デザート撮影
写真は「Plumerian cafe -365photo-」から
デザート撮影」 by nanami



 例年より1週間ほど早く、3月16日に平成22年4月1日付けの人事異動が内示されました。
 人事に関して、1人の希望が叶った陰に10人の残念だった人がいるとおっしゃる先輩もいます。実際に何割の人が人事異動に満足し、何割の人が不満足なのでしょうか。全員が満足する人事はない、という当たり前なことしか言えません。労働市場がオープンならば、人事異動は個人の責任です。しかし、内部調達人事の組織では、これが人事担当課の責任になります。

 人事異動に対する我々の不満や満足感はどういうところから生まれるのでしょうか。
 基本的には自分の希望が叶ったか叶わなかったかのどちらかでしょうが、自分だけでなく、他人の人事も相対的に気になるものなので厄介です。自分の希望と言いつつ、他人との比較を知らないうちにしているのが人間です。

 私にとっては、私が希望する部署で希望する仕事をできるのがベストです。
 しかし、組織にとっては、組織が必要とする仕事を、最もうまくデキル人に任せるのがベストです。
 前者のベストも後者のベストも、ある程度の持続性はありますが、永続的ではありません。前者の場合、当然、私よりその仕事をベターにできる人が必ずいると考えられるからです。多くの場合、私はこれまで経験のなかった部署で新しい仕事を経験することを好みます。ですから、既にそこでその仕事をしている人は、初任者の私よりベターな仕事ができていると考えられるからです。

 同じ人が同じ仕事を続けていると、良い面もあり、また悪い面もあります。良い面と悪い面との比較衡量をして異動を決めなければいけません。良い面が悪い面に優っているうちは問題はありませんが、逆の場合には困ります。それでも残留する場合もあります。その部署のその業務としては最適でなくても、組織全体の職の中ではベターということもあるからです。そして、その結果、異動の潮時ということになれば、本人の希望を踏まえ、また本人の適性等を考えて、相対的にベストなところへ異動することになります。

 私がイギリスにでも住んでいれば、私のやりたい仕事は、オープンな労働市場の中で、私の実力と使用者側の判断により配置が決まりますが、内部調達人事の場合、個人の希望と組織の必要は人事課が一方的に個人に対して求める形になっています。ですから、イギリスにいれば、私の不満は自分自身と会社と運に対して向けられますが、内部調達人事の場合は、人事課が矢面に立ちます。

 この内部調達人事に特徴的な個人と組織との摩擦は、組織機能の非効率の要因となることが想定されます。それならば、この摩擦を解消するか小さくするにはどうしたら良いでしょうか。
 一つには、公募制があります。これは、一部の職について、オープンな労働市場のような取扱いをするもので、一定の条件の下、やりたい人がやりたい業務やポストに手を挙げるものです。それでも摩擦が大きな場合は、公募対象とする職の範囲を広げるといった拡大策を取ります。しかし、不思議なもので、公募に手を挙げることは少ないようです。他の自治体の例では、ポストへの公募制では誰の手も挙がらないことがあるそうです。そういう組織ならば、ポストに対する摩擦は生じていないのかもしれません。しかし、それでも誰かが昇格すると、不満を持つのが人間なのです。

 この公募制とは違う考え方もあります。
 それは、個人の希望は関係なく、個人は組織の必要に合わせるようにキャリア開発をしていくべき、という考え方です。そもそも市役所は内部調達人事が当然です。それが嫌なら最初からイギリスで就職活動をしていれば良いわけです。また、市役所職員として志を立てたからには、市役所の仕事は、すべて市民の必要から生まれた仕事です。そういう意味では、市役所職員は仕事を選ぶべきではありません。

 しかし、人間に関心や適性がある限り、適材を適所に配置する、ということは組織資源の活用という観点からも非常に重要です。こうした考えに基づく人的資源管理において「個人の希望と組織の必要」が調和する可能性は、これまでの経営理論のいずれの哲学によるものよりも高いのではないかと考えています。

 そもそも、行政の目的は住民福祉の向上であることを忘れてはいけません。この目的に市役所職員の誰一人として異論はなく共通認識と共通目標を持っているわけです。この目的を果たすためのアプローチは人それぞれ異なるわけです。人事の目的である適材適所によるマンパワーの最適化により持続的な住民サービスの向上を図りつつ、将来の必要のために職員の能力開発を踏まえた人事とすることが肝要です。

 いずれにせよ、人事異動は、我々職員にとって意識改革、行動改革、自己開発の最大のチャンスです。そのチャンスを活かすも殺すも仕事をする自分しだいです。
スポンサーサイト



Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

きんた

Author:きんた
Yahooブログ「ある地方公務員の隠れ家」(since 2007/2/24)から移転しました。

【自己紹介】
・1964年 静岡県浜松市生まれ

【趣旨】
まちづくりと公共政策について考えます。
本ブログは私的なものであり、私の所属する組織の見解を反映するものではありません。

【論文等】
政策空間 2007年10月
複線型人事は新たなモチベーション創出への挑戦
政策空間 2009年2月
資源ベース理論による自治体人事戦略の構築

【連絡先】
下のメールフォームからお願いします。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
ブログ内検索
検索キーワード10
最近のコメント
カテゴリー
月別アーカイブ
最近のトラックバック