個人の希望と組織の必要
2010-03-24(Wed)

これほど安定した雇用を保障されているのにも関わらず、公務員の中には組織に対する忠誠心が著しく低い者も見受けられます。それでは、公務員が自分のキャリア形成に無関心かというと、そうではなく、職員の人事異動に対する関心は非常に高く、また不満の声もよく耳にします。その原因は何でしょうか。
一つには「組織の必要」が職員に理解されていない、ということが言えると思います。組織が必要としないものを職員が自分のキャリア形成の中に織り込み、その獲得と向上に努めても意味がありません。組織の責務として、職員に対して、組織が求めるものは何かを明示することが必要です。
組織の求める職に対して、複数の職員がターゲットを絞り競争をします。職には定数があります。その定数とその職を希望する職員の数は必ずしも同数ではなく、人気のある職には常に過剰な候補者がいると考えるほうが現実的です。それが人気のある職であれ、そうでない場合であれ、職員は自らの職務能力の向上を図り、その職を希望する他の職員に対する競争力を高める必要があります。
また、組織は、その求める職の要件を職員に明示するとともに、職員が職務能力の向上を図れるよう継続的に機会を与えなければなりません。それもなるべく職員の意向に沿った形でそれを行うことが理想的です。しかし、組織の必要と個人の希望が合致すると楽観することはできません。実際にはまったく合致しません。個人の希望が善という前提もありません。住民の必要が市役所組織の必要です。我々公務員は住民福祉の向上のために存在しているのですから、我々の希望というものも、組織の必要の中から選択していくべきであり、他の選択肢はありえません。
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