定年延長に思うこと
2010-04-11(Sun)

写真は「Plumerian cafe -365photo-」から
「南の島の色」 by nanami
平成25年度から公務員の定年が延長されることになっています。定年延長をどのような制度にするかは、平成23年中には検討することになっています。定年延長により、人事制度はもとより、退職手当などを中心に給与制度も改正が必要になります。これらの法改正は、平成24年度中の公布が前提ですから、国の制度化内容を見て、各自治体がそれを咀嚼して自らの組織に合った形にアメンドして条例整備をして行くには、かなりの時間を要することでしょう。また、高齢職員の短時間勤務が認められるようになれば、育児短時間勤務制度が導入されて理解が難しくなった勤務時間制度も一層複雑になります。
一つ心配なのは、平成25年度から3年に1年ずつ定年の年齢を引き上げる措置です。国においては、外部団体が豊富にあり、なおかつ、民間への再就職も不可能ではありませんから、60歳になった時点で退職して再就職するという選択肢もあります。しかし、大都市や都道府県庁でなければ、市町村には、受け入れ先となる外部団体などはありません。市町村には、それがあったとしても、公社や第3セクターであり、とても再就職先にはなりえません。
結果的に、定年延長により地方では国に比べ、公務内に留まる人が増えるでしょう。定員管理をしていますから、その結果、高齢職員が残れば、新規採用が抑制されることになります。公務に残る職員の人件費は圧縮されることになるでしょうし、また、そのような場合の定員に関する特例も認められるでしょうが、組織活力の維持という観点からは、大きな懸念材料です。組織の活力を維持するためには、管理職員の経験と年齢のバランスが取れていることが必要です。若い職員を早期登用するばかりでは活力の維持はできません。そこにはバランス良く経験値の高い管理職が配置されている必要があります。現在でも経験値の高い職員が管理職を占めている状態ですから、定年延長の中でこれを是正するためには、給与制度においては高齢職員の給与抑制のほか、人事制度においては複線型のキャリア・プランとともに、中堅以上の職員には新たな能力開発が求められます。
平成18年の給与構造改革、平成19年の育児短時間制度、そして平成22年の時間外勤務代休時間は、いずれも人事院規則が2月に出されていたと思います。条例は、何とか間に合うのですが、規則整備はそういうわけには行きません。国公準拠とはいえ、定年延長に伴う制度整備は、国と同じようにはしたくてもできません。したがって、平成23年中と言わず、一日も早く国において制度設計をし、地方へ情報提供をして頂けると助かります。
(参考)
人事院「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」
最終報告「概要」「骨子」「本文」「参考資料」(いずれもPDF)
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