自治体、非正規職員頼り?
2008-04-30(Wed)

写真は「イングランド 写真の日々」から「Stratford Upon Avon」
by ukphotography
いつか行ってみたいシェイクスピアの生家 by 曽野田欣也
自治体、非正規職員頼り? 正規職員は減、非正規は大幅増
2008/4/30 信濃毎日新聞
県内市町村が条例で定員の上限を定めている正規職員を削減する一方で、臨時、嘱託などのいわゆる非正規職員を大幅に増やす傾向にあることが29日、県、自治労県本部がそれぞれ行った調査で分かった。財政状況が悪化する中で、自治体が労働力を非正規職員に頼る実情が浮かび上がっている。
非正規職員は市町村によって雇用の形態、期間などが異なり、国、県とも実数を把握していない。ただ「職員削減を進めた分を、臨時、嘱託職員にカバーしてもらっている面もある」(松本市)とする自治体もあり、行政の「効率化」が、かなりの部分で非正規職員に支えられている現状をうかがわせている。
非正規職員は雇用期間が半年から数年で、給料も一般的に正規職員に比べ低い。「行政が不安定雇用を膨らませている」との指摘もある。
今年4月には、非正規社員の正社員への転換制度導入などを義務付けた改正パート労働法が施行されたが、公務員は対象外。自治労は継続的に雇用されている非正規職員を正規化することなどを求めているが、「短時間労働など多様な働き方を求める非正規職員も増えており、運動が難しい面もある」という。
非正規職員は市町村によって雇用の形態、期間などが異なり、国、県とも実数を把握していない。ただ「職員削減を進めた分を、臨時、嘱託職員にカバーしてもらっている面もある」(松本市)とする自治体もあり、行政の「効率化」が、かなりの部分で非正規職員に支えられている現状をうかがわせている。
非正規職員は雇用期間が半年から数年で、給料も一般的に正規職員に比べ低い。「行政が不安定雇用を膨らませている」との指摘もある。
今年4月には、非正規社員の正社員への転換制度導入などを義務付けた改正パート労働法が施行されたが、公務員は対象外。自治労は継続的に雇用されている非正規職員を正規化することなどを求めているが、「短時間労働など多様な働き方を求める非正規職員も増えており、運動が難しい面もある」という。
自治労の指摘や改正パート労働法が公務員には適用されないことに言及されていますし、内容的にバランスの取れた記事であると思います。
ダイバーシティーの受容が民間企業の課題として取り組まれているように、行政の任用や勤務形態も多様化してきています。
社会的問題としての不安定雇用を捉えた対策は必要ですが、「自治体の非常勤職員」が即「不安定雇用」だと捉えるのは短絡的です。自治労の指摘を待つまでもなく、非常勤職員として働くことをライフスタイルとして積極的に選ぶ人もいますし、家庭の事情等により非常勤で働くことを望む人もいます。
地方公務員の「任用」について考えると、公務員の「任用」と民間企業の「雇用」とは異なるという見解が通説です。
下級審では通説とは異なる判例も出ていますが、最高裁は通説を支持しています。
職員の労務管理の面から考えると、勤務条件等について事前に十分な説明をして相手方に納得してもらって任用することや、また、非常勤職員も労働者として正規職員と同様な労務管理の対象であることは言うまでもありません。
行革の推進という面から考えると、行革の流れの中で定員削減は避けて通れませんが、「人」は、予算のように削ることはできないという難しさがあります。
直営から委託等により事業実施するものについて、市民の方からサービスの低下を心配する声も聞かれます。「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」の目指す自治体の理想型が実現するまで、自治体が非常勤職員という手法により正規職員による労働力を過渡期的に代替させることにも合理性があります。
定員削減の手法はいろいろありますが、その適用に一つの正解があるわけではなく、各自治体の独自の事情や各種事業の性格などに応じて、まるでサッカーのフォーメーションのように臨機応変かつ変幻自在な組み合わせにより柔軟に対応するべきものだと思います。