嘱託職員 地位保全仮処分
2008-05-11(Sun)

写真は「イングランド 写真の日々」から「ぐずる・・」
by ukphotography
イギリスの子供は可愛いのに、成人すると変わります・・・ by 曽野田欣也
大津京改称 「反対講演で更新拒否」 高島市嘱託職員 地位保全仮処分求め
2008/5/2 京都新聞
滋賀県大津市のJR湖西線大津京駅(旧西大津駅)の改称に反対する講演をしたために、高島市から嘱託職員の契約を打ち切られたのは不当として、市の歴史民俗資料館に勤務していた男性(47)が2日までに、市に地位保全を求める仮処分を、大津地裁に申し立てた。
昨年12月、男性は市民団体の講演会で、資料館職員の肩書きで「歴史上は『大津宮』が正しく、大津京ありきで駅名改称を進めるのは間違い」と発言した、という。男性の代理人は「改称に反対する講演をしたため更新を拒絶された。信条に基づく不当な差別だ」と主張している。
高島市教委は「当初から契約は1年だった。講演の内容とは関係ない」としている。
昨年12月、男性は市民団体の講演会で、資料館職員の肩書きで「歴史上は『大津宮』が正しく、大津京ありきで駅名改称を進めるのは間違い」と発言した、という。男性の代理人は「改称に反対する講演をしたため更新を拒絶された。信条に基づく不当な差別だ」と主張している。
高島市教委は「当初から契約は1年だった。講演の内容とは関係ない」としている。
本件のような解雇に関する労働事件では、労働者のアクションとしては、使用者に対して解雇の「撤回」を求めるか、「労働審判」を利用するなど考えられますが、経済的面で生活に困るような場合には、「地位保全の仮処分」を申し立てます。また、解雇は受け入れて「金銭による補償」を求めるということもあるでしょう。
労働審判は、3回で終了することができるようなシンプルな案件には向いていると言えますが、仮執行はありませんから、内容によっては最初から裁判で争うほうが良いでしょう。
1年の有期契約の契約期間の満了時に契約更新されないことを、なぜ不当な解雇だと主張しているのかは、それ以前に契約の更新が反復されていたか、同じ契約内容の労働者が他にいて、それらの方が契約更新されているのにも関わらず、本件の方だけが契約更新されなかったといった事情があるのだろうと推測されます。
そのような場合には、契約期間終了によるものであっても解雇法理が類推適用されることがあります。
(最高裁第一小法廷 昭和45年(オ)第1175号 昭和49年7月22日判決)
それが最初の雇用契約であれ、契約の更新であれ、契約を結ぶ時点で相手側に十分な説明をして了解を得ておくことが労務管理上、非常に重要です。また、この了解は、文書にしておくべきでしょう。
労働契約法
(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
この条文は、日本食塩製造事件の昭和50年4月25日最高裁判決により確立した「解雇権濫用法理」といわれる判例法理を明文化したものです。(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
平成15年法改正の労基法第18条の2が労働契約法に引き継がれ、同法第16条に規定されています。
(参考)
東京都「労働審判制に関する東京都調査」
平成15年厚生労働省告示「有期労働契約の締結、 更新及び雇止めに関する基準」
厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準の一部改正について(平成20年1月23日基発第0123005号)」(PDF)
厚生労働省編「労働基準法 解釈総覧」(労働調査会)
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