なぜ正社員の給料は高くすべきなのか
2008-05-22(Thu)

「プレジデント」誌 2008.6.2号(株式会社 プレジデント社)
今週書店に並んでいる「プレジデント」誌 2008.6.2号の「経営時論」に「なぜ正社員の給料は高くすべきなのか」という非常に興味深いトピックに対して合理的な主張をしている記事があります。加護野忠男氏(神戸大大学院教授)の論文です。
加護野忠男氏の主張を簡単に言ってしまうと、正社員は長期雇用を前提としてその給料は年功的に上昇し、長期雇用の過程で人材育成され、将来、組織に貢献する立場になるから、というものです。これは一理あると思います。
私の知人が某職業に就いておりました。その職業は定年が若く、就業可能年数が短いものでした。同業他社への転職も盛んな職種で、実績給もありましたが定期昇給もありました。また、定年が早いということもあり、定期昇給は数ヶ月単位で行われていました。
その知人は、「辞めたいけど、定期昇給して給料が段々上がっていくから、なかなか辞められない」と言っていましたから、定期昇給には、人をその会社に留まらせる効果があると言えます。
この知人の意見一つをもって定期昇給の効果を一般化することは軽率です。しかし、本論文の主張は、高橋伸夫教授が著書「虚妄の成果主義」で展開している理論にも共通したところがあり、説得力があります。
プレジデント誌の同論文中、私が興味を持った論点は他にもあり、50歳以上では高い給与は必要ない、というものです。高橋教授の理論とこの点に係る私の持論は別の機会に紹介したいと思います。
高橋伸夫教授の著書「虚妄の成果主義」と併せ、興味のある方は書店で「プレジデント」誌を手に取ってみてください。
なお、高橋伸夫教授には、私が以前、著書から引用をさせて頂く際、著書名を間違えるという失礼をしたにも関わらず、ご丁寧にご指摘を頂いたことに、この場を借りてお礼申し上げます。
(参考)
高橋伸夫「日本に根づくか消え去るか いま「成果主義」を問う」
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